平泉 標高約30m
2008年9月19日(金)晴れ
平泉といえば、中尊寺。その境内には松尾芭蕉の像が建てられている。この地で詠んだあの有名な俳句を記念するものだ。
夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡
北上川のほとりには、この句碑が建てられていて、それを見に行くのも一興だ。結果的には句碑は見に行かなかったけれど、中尊寺を訪れるのは非常に楽しみにしていた。いまや世界遺産に登録もされたしね。
左:国民宿舎サンホテル衣川荘 右:衣川城(懐徳館)
前泊は、奥州市国民宿舎サンホテル衣川荘。スタンダードプラン1泊2食つきが当時で7,500円(税別)だったが、いま調べてみると12年前と変わらず同じ金額になっている。さすがは国民に寄り添う国民宿舎だ。
国民宿舎のお隣に衣川城(懐徳館)があって、チェックイン後洗濯物をコインランドリーに放り込んで、山の神と歩いて行ってみた。当時すでに建物の安全性に問題があって立入禁止になっていた。廃屋チックになっていたが、いまもそのまま放置されているのだろうか。
左:中尊寺参道へ 右:弁慶堂
朝風呂に入って朝食をとり、8:20衣川荘をチェックアウト。フロントにはやたらと元気で笑いを誘うコミカルな動きをする名物おじさんがいた。前日に前沢牛のおみやげを買ったときに対応してくれた人で印象に残っていた。朝風呂の帰りにすれ違うと、はつらつとした声でおはようございますっ!と挨拶。そのおじさん、衣川荘ではこの後敬老会が催されるのだと説明してくれた。たしかに紅白の幔幕が張られ、金婚、米寿、白寿と書かれた紙が貼られた受付の机が出されていた。ちょっと解説すると、金婚は結婚50年、25歳で結婚したとすると、75歳くらいの方々か。米寿は米の字が表すように八十八歳、白寿は百から上の一本棒をとった、つまり百マイナス1で99歳だ。こんな催しを大々的にやる街なのだから、きっと老人が多いのだろうと負のイメージをもちつつも、逆にお祝いできるくらい元気なのだから、それはそれで活気があっていいことだとも思えた。
ところでお目当ての中尊寺は、国民宿舎からほど近くにある。駐車場に車を置いて(当時で駐車料400円)、山の神と参道に向かう。参道の入口付近は月見坂と名付けられ、ゆるやかな上りとなる。まず江戸時代に建てられた弁慶堂が出てくる。地蔵菩薩と義経、弁慶の木造が安置されている。そこからいくつもお堂が出てきた後、宝物館に至る。ここで拝観料800円(当時)を支払う。
金色堂入口。中は撮影禁止
そしてハイライトの金色堂だ。私は奥州藤原氏の全盛時代に中尊寺が開山され、金色堂もその時なのかと思っていたが、意外なことにそうでなはく、慈覚大師円仁が850年に開山していて、金色堂は藤原清衡によって1124年に建てられている。
金色堂はいま、上の写真の現代的な建築物の中に収まっている。実物を前にすると、こぢんまりしているなと小ささにまずがっかりしてしまうのだが、よく見ると、いたるところに漆が使われ、精巧な螺鈿や象牙、宝石の細工が施されていて、その細密さに驚かされる。また金箔の多さとその輝き、金色の仏像に目を見張ることになる。
杉並木の参道
金色堂を出るころ、平日ではあったが、徐々に団体客が押し寄せ始め居心地が悪くなってきた。山の神とそれを避けるように、中尊寺の最奥、かんざん亭まで足を延ばした。ラッキーなことにNHKの平泉のビデオが流れていて、それを眺めながら山の神と一息つき、その後再び月見坂に戻った。
土産物屋を少し覗いた後、次に毛越寺(もうつうじ)へ移動した。
2点とも:毛越寺、右は遣水
毛越寺の駐車場で残念ながら、また駐車料(300円)をとられ、さらには拝観料500円をとられる。でも毛越寺の庭園はいい。これを見るだけで元がとれるともいえる。松の巨木や遣水(やりみず)、庭の木々がうまく配されていて、とても心が落ち着く場所だ。ただ池は露骨に人工的で鼻白むのだが。
左:毛越寺の石仏 右:岩面大佛
庭を愛でた後、山門付近で茶をよばれ小休止。昼どきには、せっかく岩手にいるのだから盛岡冷麺が食べたいねと山の神が言い出して、韓国料理の店ソウル〇〇に入店する。具が少ないなと不平をこぼしながらも、まあまあ納得の味だった。
そして昼食後はまだ時間があるからと、達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう)へ移動することになった。
パワースポット達谷窟毘沙門堂
達谷窟毘沙門堂は岩に建物が食い込むように建てられていて、なぜここにという驚きの建築物だ。境内には、上の写真、磨崖仏の岩面大佛もあって見どころは多い。岩面大佛は残念ながら江戸時代の地震で崩れてしまい、いまはお顔だけを拝することができる。
厳美渓
本日のお宿にチェックインするまでにまだ時間があるので、最後に渓谷美で有名な一関の厳美渓(げんびけい)に行くことにした。ここの名物はこの優美な景色とともに食するかっこうだんごだ。対岸につながるロープに括りつけられたかごにお金を入れて、木槌で合図を送ると、対岸のお店でだんごとお茶を用意してかごに入れて送り返してくれる。テレビで見たようなシーンが、実際に目の前で繰り広げられていた。
エピローグ~秘湯五色温泉で全国行脚の老夫婦に会うへつづく
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