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山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

ナショジオ2014年11月号エベレスト 史上最悪の雪崩事故

2014-12-13 | マガジン

 ナショナルジオグラフィック日本版2014年11月号

2014年4月18日エベレストのクーンブ・アイスフォールで雪崩による大事故が発生した。その後シェルパたちがストライキを起こすなど混乱を極め、その年の登山隊はすべて入山できなくなったという報道を覚えておられる方は多いと思われる。雪崩の状況は? その後にいったい何が起きたのか? 詳しい事情が「ナショナルジオグラフィック日本版2014年11月号」でレポートされている。

この日、シェルパの一人、ニマ・チリンの耳が泣いた。ネパールでは、危機が迫ったときに甲高い音が聞こえることがあるという。それを「カン・ルヌ(耳泣き)」といって、恐れているということだ。ニマ・チリンは自分を信じて、下山を決意。ほかのシェルパにそれが知れると動揺が走り、追随するものが出た。しかし、耳が泣こうが凍傷になろうが、生活がかかったシェルパの大半は、予定を変えられないと先へ進んだ。そして低い雷鳴のような音をとどろかせながら、巨大な氷塊の崩落が起きた。16人が犠牲になった。ニマ・チリンや助かったシェルパたちは、その音の直後全身真っ白になる。

事故のあとは、混乱の極みだったようだ。犠牲者へのネパール政府からの補償金は、葬儀代もまかなえないほどの額だった。死の淵から生還したシェルパたちの労働条件の改善要求は高まった。政府が得る年間の登山料は、300万ドルもある。自分たちの危険な労働への対価、保証がなければ、働けないと。保険金の引き上げや、山で死傷した労働者の家族を支える基金の増額など入れた要望書が政府に提出された。こうした背景には、欧米のさまざまな情報をシェルパたちが享受できるようになり権利意識が高まったことにあるという。

このあと犠牲者の家族の悲惨なストーリーが臨場感あふれる筆致で綴られている。まるで日本の週刊誌のようだが。一家の大黒柱を失った奥さんや子どもたちの行く末が案じられる。

NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2014年 11月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
日経ナショナルジオグラフィック社

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