目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

四阿山直下、的岩山稜線までスノーシュー

2020-01-26 | 山行~スノーシュー

標高 約1770m 群馬県

2019年12月29日(日) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 9:40鳥居峠10:00--10:37林道分岐10:47--11:55林道終点(昼食)12:45--13:59四阿山稜線近辺14:12--(不測の事態で稜線付近へ戻る)--14:58林道終点15:10--15:50林道分岐15:58--16:22鳥居峠

前泊はあずまや高原ホテル。温泉があって客室が広いのでまあまあ快適なホテルだ。温泉目当ての観光客、スキーヤー、そして山のぼらーが宿泊している。基本は交通の便が悪いので、皆マイカーでやって来る。

山の神と朝食を済ませ、ホテルを出たのは8:35。そのとき四阿山への登山口がホテルの裏手にあるのだが、そこから冬装備の登山者が一人登っていく姿を見かけた。われわれは四阿山ではなく、四阿山直下の的岩山を目指すので、ここから登ることはしない。

まずは買い出しと菅平のセブンイレブンを目指し、カーナビに目的地を入れ幹線道路を急いだ。


左:鳥居峠。鳥居林道はこの正面 右:鳥居峠車道に路駐。この道の奥は除雪していない

おにぎりやカップスープなどを購入し、すぐさま来た道を戻り、9:40鳥居峠に到着した。駐車場は思った通り除雪されていないし、クローズド。回転場所にしているのだろうか、入口の数メートルだけ除雪してあった林道の端に車を停めることにした。

鳥居林道の入口で山の神ととともにスノーシューをはき、10:00第一歩を踏み出した。


ふかふかの新雪の道をスノーシューで歩く

ゲートを越えて歩き始めると、思いのほかふかふかの新雪で山の神と私の頬はゆるんだ。まさに雪遊びコースだ。だれも歩いていないまっすぐの白い道を進んでいく。

昨夜の雪が鳥のような造形を道端につくっていたり、小動物の足跡が残っていたりと目を楽しませてくれる。白い雪と黒々とした樹木のコントラストが青空をバックに映える。


左:車道分岐で休憩。進路を左にとる 右:ニホンカモシカの足跡だろうか

30分ほどで分岐に出た。あれっ、もう的岩山への分岐なのか? 意外とハイペースで来たのだとこのときは錯覚に陥っていた。持っていた地図が15年前の昭文社の山地図2004年版だったせいもある。

分岐からちっとも急な上りにならないし、明らかに車道なので、これは違うとわかる。いつのまにかふかふかだった雪は、重めの雪に変わり、固く締まったところも出てきて、雪の上を歩く楽しさは失われていった。


左:的岩山へのルートはすべて遮断されていた 右:足跡は私がつけたもの

的岩山への分岐がなかなか出て来ずにじれてきたころ、それらしきルートを見つける。高みに向けて道らしきものがつけられていた。しかしその入口には登山者を拒絶するように古そうな丸太が横に渡してあった。ということは、だいぶ前にこのルートは崩壊したかなにかで通行禁止になっていたのか。ましてや冬場で雪がついている(逆に雪がついているから行けるということもあるが)。

これも含め的岩山への入口らしきところを複数見つけたが、いずれも閉ざされていた。山の神にあえてここから上がるのはやめようといい、目標地を的岩に変えることにした。


左:誰も歩いていない林道を延々と進む 右:林道終点の四阿山案内図

前にも後ろにも人っ子一人いない真っ白い道を、山の神と私はひたすら進んだ。

11:55林道終点に到着。夏場ならここまで車で上がって来られ、駐車できる広いスペースがある。とりあえずここで腰を落ち着け昼食にすることにした。

腹がくちると、もう帰ってもいいかという楽をしようという気持ちと、的岩までは行ってみたいという気持ちが互いに主張を始めていた。ここまでずっと林道歩きの横移動で単調だったし、もう少し高度を上げたい、もっと先に行きたいという気持ちが勝って、12:45先に進むことになった。


左:穏やかな木漏れ日の場所で小休止 右:稜線へひと登り

歩きだしてすぐに登山道をそれていることに気づいた。沢を渡った先に白い道が続いているのが見えて、なにげなしにそちらへ向かったのだが、やおら左手を見やると、谷の向こうにこっちが登山道だぞと主張している道が見えた。地図をみて、あちらが正しそうだ、この道は作業道と判断して戻ることにした。

せっかく登ったのを下り、雪の上に笹がちらちらとはみだし、登山道に見えないやぶっぽいところへ突入していく。やがて先ほど見えていた道になる。

しかし登高していくにつれ、その道は難行苦行の道に変貌していった。雪は深いし、笹も生い茂っていて、場所によっては笹の下に大きな空洞があって、ずっぽりと雪を踏み抜く。膝上くらいに達する積雪に呻吟しながら、しばらく歩いていくと、ようやく一息つける小広いところに出た。

そこから最後のひと登りだ。後方には冠雪した浅間山が猛々しい姿を現している。


樹間越しに浅間山

そろそろ的岩が見えてくるのではないかと思っていたが、的岩が出てくることはなく、13:59稜線に出てしまった。ルートが違っていたのか、まだだいぶ手前なのかよくわからないが、そろそろ戻らないと日が暮れると判断し、ここで休憩をとり引き返すことにした。

そして事件は下山時に起きた。


左:この日の最高到達点 右:山の神の左足にご注目

登り時の膨大なエネルギー消費に比べれば、斜度がある程度あれば、下山はサクサクといく。快調に下って、登り時にいちばん苦しめられた積雪量の多い日陰地帯に差し掛かったときだった。山の神がふいに「あっ」と大きく叫んだ。その声は、、、山の神が先ほどの稜線上に忘れ物をしたのだととっさに思ったが、そうではなかった。

山の神は、ズボっと深くはまった左足を引き抜いたときに気づいたのだ。スノーシューをはいていない。たった今はずれたのではなく、はいていないのだ。はずれてしまったのは、雪が深くなり始めたちょっと上のほうなのかと戻るが、スノーシューは見当たらない。

さらに上の登山道を横切る倒木のところか、もっと先の休憩をしたカーブのところか、登り返しても登り返してもスノーシューはない。スノーシューをつけていないことに気づかずにこんなに移動したのかとあきれる。ここまで来たら、あとは下山開始直後の稜線直下に違いない。その先は山の神一人で登り返し、置き去りにされていた左のスノーシューをついに発見した。やれやれ。


林道終点に戻りホッと一息

思わぬ時間ロスにも、まだ日暮れ前には峠に戻れるという確信があったこともあり、心には余裕があった。14:58林道終点まで戻ってお茶休憩にする。


左:一路鳥居峠へ 右:日が傾いてきた

15:10峠に向けて修行道が始まる。往路は楽しかった道も、ただ長く、単調なだけで苦にしかならない。追い打ちをかけるように足腰が悲鳴を上げ始めている。スノーシューは長時間はいていると、股関節が痛んでくる。スノーシューは雪に沈まないようにしているため、左右幅がけっこうあり、その分がに股っぽく歩かなければならず股関節に負担がかかるのだ。

その後分岐で軽く休憩をとり、最後の力をふりしぼる。あとはわれわれが朝つけたトレースを無心にたどるだけだ。峠近くになると、いつのまにか日が西に大きく傾いていた。


ハードな山行ももうすぐ終わる

夕暮れの景色まで見られるとはねと山の神に。16:22鳥居峠に到着すると、だれにも会わなかったことを証明するようにぽつねんと1台こっきり、愛車のフォレスターが停まっていた。今日もあずまや高原ホテル泊。手早く片付けて宿へと急いだ。


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