日本民藝館
10月18日(日)に山の神とともに初めて日本民藝館に足を運んだ。いま、「アイヌの美しい手仕事」展を開催しており、北海道に何度も足を運び、アイヌの民芸品などを見て関心を寄せていた身としては、ぜひ見たいと思っていた。山の神は最近刺繍やレース編みに凝っているので、そっち方面から興味をもったようだった。
ロシアが占拠してしまっている国後やサハリン(旧樺太)にもアイヌは住んでいるけれども、個人的には、アイヌといえば、北海道をイメージしてしまう。北海道で山を目指して移動しているときにアイヌの文化に意図せずに触れることになったからだろう。
日高山脈を目指せば、二風谷を通過する。ここには二風谷アイヌ文化博物館があるし、雌阿寒、雄阿寒を目指せば、阿寒湖畔のアイヌコタンを目にする。そこではアイヌの木彫りがお土産品として販売されている。恵庭山(雪深くて途中で引き返したが)や樽前山を目指せば、最終的には白老に抜けることになるだろう。ここにはもともとアイヌコタンがあったし、本年2020年7月12日には国立アイヌ民族博物館が開館した。
とうことで期待に胸を膨らませて井の頭線駒場東大前駅で下車し、住宅街の一角にたたずんでいる和風の外観ながら、中は洋風っぽい建物に入った。
展示品は、柳宗悦が収集した日本民藝館の所蔵品に加えて、芹沢銈介のアイヌコレクションもあって予想以上に点数は多かった。独特の幾何学文様が施された衣装、首飾り(タマサイ)、意匠の凝らされた木彫りの鞘に収まった小刀、煙草入れなど、足を止めてじっくり見入ってしまうものが多々あった。
圧巻はおばあちゃんが木の繊維をなめして糸をつくり、籠を編んでいくビデオ。山の神がやっているレース編みの行程にも似た、その緻密かつ丁寧な手仕事を見ていると、先人たちのものづくりに対する熱い魂のようなものを感じた。気の遠くなるような作業を淡々とこなしていく辛抱を凌駕するのは、少しずつ形になっていく、ものづくりの楽しさなのだろう。食い入るように見ている見学者もいた。
「アイヌの美しき手仕事」展。11月23日(月・祝)まで。