幼い時、田舎でラジオを聞くと時々流れて来たのが「やげん堀七味唐辛子」という名称。
勿論単語として耳から入っているだけで、余り考えた事が無かった。
東京に来て、店屋物を取ったりすると、小さな小袋にトウガラシが入って来た物だ。
なので、唐辛子を買い置きすると言う習慣が無かった。
お祭りなどに行くと、時々両脇に並ぶ物売りの中に、唐辛子が山になって売っている物を
見た。何を見ても驚く若い時代だった。
浅草に行って、看板を見た時感動したのは、田舎でラジオを聴いていたお店に出会い
抽象的な物が、現実の物がバーンと視界を占領した。
唐辛子ごときで…今思うと大変新鮮な思いだった。
自宅には、小さな缶に入った物が長い事有ったが、唐辛子だから長持ちすると思って
平気で使って来た。
数年前から、友達に「浅草のお土産だから」と連続で頂く様になった。
私は、このやげん堀の七味唐辛子が、とっても美味しいと思える様になって来た。
説明書きには七味唐辛子は大変デリケートな食品である・・・・と記して有る。
へ~私の認識が間違いだったのね。まるで生物を扱う様にと書いて有る。
おそば、うどん、味噌汁、漬物、もつ煮込みetc使い道は沢山る。
今迄は、冷蔵庫に入れていたけど、1年位は平気で使っていた。折角頂いたのだから
中身を全部入れ替えて、丁寧に使う事にしよう。
店名の由来
「やげん堀」(漢字では「薬研堀」)もちろん浅草の地名ではありません。
今の東日本橋一丁目が、以前の日本橋薬研堀町であり、元々、この辺りの堀の形が
「薬研」という、薬を潰す道具に似ていたのでそう呼ばれるようになったと言われて
います。
事実、この地域には医者や薬問屋が多く、別名「医者町」で通っていたと言われ、
このような場所で生まれた名前なのです。昭和十八年に現在の浅草に移りました。