はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

<font size="-3">「茂木健一郎×佐藤雅彦 ギャラリートーク」雑感。</font>

2005-08-12 23:56:14 | アートなど
8月12日19時より開催された、佐藤雅彦研究室展のギャラリートーク、茂木健一郎氏と佐藤雅彦氏の対談を聞いて(見て?)参りました。
内容は「どうしてそれは伝わるのか」と題して、佐藤氏が今までの経験から発見してきた映像関連の「法則」を茂木氏に提示し、それについて茂木氏がどのように感じたかを述べてゆく、という形式。
テーマごとに実際のサンプル映像もふんだんに使われ、さながら佐藤氏の講義を聞いているような、とてもわかりやすい内容でした。
佐藤氏の示す情報量に圧倒され、茂木氏がちょっと気押され気味のように見えなくもなかったです(^^;。
始終なごやかな雰囲気で、時折満場が笑いに包まれるような、総じてとても素晴らしい対談でした。
(ちなみに、笑いの出所はほとんどが佐藤氏。笑わそうとしているわけではないのですが、生真面目に面白いのです。)
詳細レポは追ってアップするとして、とりあえず書きたいことがいくつか。
(覚え書きは8月14日にアップしました。詳細は次の記事をどうぞ。)
まず、初めて生で見る佐藤氏は「そのまんま」でした(笑)。
よく、メディアによって印象が変わる方がいますが、佐藤氏はその対極。対談記事や著作、そして仕事内容からにじみ出る人柄そのまんまの印象なのです。ご自分の向かい合った対象にとても真摯であることが伝わってきました。
そして、やはりというか何と言うか、「文藝春秋」2003年12月号の養老氏の記事における佐藤氏に関しての記述は、根拠がない、ということがわかりました。
佐藤氏自らが否定しておいででしたので、これはまちがいありませんでしょう(^^;。
「養老さんにあんなふうに書かれちゃいましたからねぇ。」と語る佐藤氏の口調は、穏やかでしたがとても不本意そうでらっしゃいました。
また、それに関連して強く思ったのが、『佐藤氏が研究を進めてゆく上での困難は、他ならぬ佐藤氏の能力ではないか』ということです。
どういうことかと申しますと、佐藤氏の研究には脳科学者の助言が必要なのに、脳科学者が佐藤氏とコンタクトを取ると、「佐藤氏の興味対象」ではなく「佐藤氏そのもの」に興味を持ってしまう傾向があるようなのです。
トーク後半、茂木健一郎氏はしきりに佐藤氏を分析しようとする発言を繰り返しては撃沈しておられたようで、最後には「佐藤さんは不思議です。佐藤さんのほうに興味が出てきちゃいました」と宣言しておいででした。
佐藤氏も、「養老さんが『佐藤さんと話をしてみたい』というので会ってみたら、僕の仕事の話ではなく、僕の脳に興味があったようで、まるで・・・・・患者? ねぇ(笑)?」と語ってらっしゃいました。冗談めかしていたものの、その表情はとても寂しげに見えました。
茂木氏しかり養老氏しかり、佐藤氏の脳に釘付けの模様。
わたくしも科学者の端くれとして、たしかにその気持ちもわかります。
しかし、佐藤氏の能力への興味よりも、佐藤氏の提示する表現概念への興味や佐藤氏が「伝えること」に向き合う真摯な姿勢への共感、これらのほうがずっとまさっています。
佐藤氏が良き研究のパートナーを見つけられることを心から願ってやみません。


余談ですが、な、なんとトーク中に茂木氏の口から「ラーメンズ」への言及がありました!
佐藤研の佐藤君という学生さん(当時2年生)の映像作品「反復かつ連続」を見ての感想が「ラーメンズの『時間電話』みたいですね。構造が。」だったのです。
意外なところで耳にし、危うく咳き込むところでした(笑)。
じつはラーメンズファンの想像以上にラーメンズの知名度は高いのかも知れない、そう思った一瞬でした。


写真はギャラリートーク終了後のgggエントランス。
美しくライトアップされた佐藤氏自筆の黒板が印象的でした。

satokenyoru



<font size="-3">「佐藤雅彦研究室展」。</font>

2005-08-12 22:48:41 | アートなど
satokenhiru東京銀座のギンザグラフィックギャラリーで開催されている「佐藤雅彦研究室展」を観て参りました。
トークイベントの前の空き時間を利用しての観賞だったのですべての展示は見られませんでしたが、一部見ただけでも、佐藤研が取り組んできたテーマを非常にわかりやすく提示しているのが見てとれました。
1階には、佐藤研の仕事をテーマごとに示したパネル&実物&映像の展示。
地下1階には、佐藤研の年表と「任意の点P」やピタゴラ装置の実物、そして、Javaを利用したインタラクティブ作品などが設置され、さらに奥には映像作品の上映コーナーまである充実ぶり。
「カノン」「ブレーメン2000」「ソート」などをはじめとする、「広告批評」273号で存在だけを知っていた佐藤研の作品を実際に見られて、とてもエキサイティングでした。
中でもいちばん嬉しかったのがSatoKをもらった2つの作品、コンピュータによるインタラクティブ作品「Bounding Numbers」とフィルム映像「反復かつ連続」を実際に見られたことです。
いろいろな意味で感激のこの「佐藤雅彦研究室展」、8月29日までの開催です。
佐藤雅彦好きはもちろんのこと、「ピタゴラスイッチ」好き、面白い物好きには必見です。
図録もお手ごろ価格の400円で出ていますので、一度足を運んでみられてはいかがでしょうか。
なお、会場は日祝日休館なので御用心を。




<font size="-3">「姫が愛したダニ小僧」仙台公演。</font>

2005-08-12 22:22:45 | 日記・エッセイ・コラム
仙台市民会館大ホールで8月11日に上演された、後藤ひろひと(通称「大王」)作の「姫が愛したダニ小僧」を観て参りました。
伝説のPiper旗揚げ公演再演とあって期待していたのですが、その期待をさらに上回る面白さでした。
やはり大王は天才です!
中盤のある構成には笑いながらも真剣に鳥肌が立ちました。
どうやったらあんなことを思いつき、さらに隙のない演出として成立させてしまえるのか、本当に感服です。
本筋とは無関係なのですが、なぜか衛藤ヒロユキのマンガ「魔法陣グルグル」を思い出しました。
摩訶不思議なキャラクターが出てきたり、クサさそのものを笑いに変えてみせたり、冗談を生真面目に形にしてしまったり、奇妙奇天烈なのにどこかほんわか暖かかったり・・・・大王の描く世界とグルグルの世界、なにか通じるモノがあるような気がしてなりません(笑)。
この「姫が愛したダニ小僧」、これからまだまだ地方を回る模様。
面白いモノ好きな方は、機会があったらぜひご一見を(^^!