はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

<font size="-3">意図せずガンダムづくしだった日。</font>

2006-05-08 22:47:22 | アートなど
昨日、5月7日は、録画していたTV番組ひとつと、現代美術の展覧会をひとつ観ました。

録画していたのは4月13日にNHKBS-2で放映された「忙中趣味あり」。ラーメンズの片桐氏ご出演ということで録画していたわけですが、なかなか時間がとれずに放置してありましたところ、連休最終日にようやく見ることが叶いました。
趣味に熱中する人たちを紹介したこの番組。登場する人々もなかなかの強者揃いです。一般市民でこれですから、片桐氏がどんな扱いで登場するのだろうと思っていたら、密着ドキュメンタリー形式。
ガンダムプラモデルのジャンクパーツを使った顔アートができるまでを追ったものでした。
自宅の一室で繰り広げられる作業と、意図を超えて巨大化してゆく作品。
なにもかもが片桐氏らしい(笑)。
いつも常識を越えた「自分の作品」を生み出してしまう片桐氏に天性の芸術家魂を感じました。

さて、午後からは、仙台市のせんだいメディアテークで開催されている「ガンダム展」を見て参りました。
過日こちらのブログでも紹介いたしましたが、これ、ガンダムをテーマにした現代アートの展示会です。
むかしアニメをあまり見ていなかったせいか、ガンダムにはいまひとつピンとこない私ですが、八谷和彦氏の関わる「サイココミュニケーター適性試験」という作品が見てみたくて足を運びました。
2月の文化庁メディア芸術祭でデモテープを見て面白そうだなあと思っていた作品です。
体験型の作品で、いわば「ニュータイプ適性試験」という体裁をとっています。
一次試験でカードの絵柄当て検査をして、2回続けて当てることができると二次試験の受験資格が得られます。二次試験では二人がペアになって、一人が送信者、もう一人を受信者として役を割り振ります。受信者は足下だけを見ながらテストフィールドに吊るされた球体を避けて進まねばなりません。ふつうならば球にぶつかってしまうところですが、そうならないように送信者が思念を送ってうまく導く、という試験です。送信者は頭部に、受信者は耳の下に簡易電極を貼り付けます。送信者は眼球を動かすことで脳の前頭前野を活動させ、その活動電位は増幅器を通って受信者に届き、平衡感覚に作用して受信者の進む方向に作用を及ぼします。
私は残念ながら一次試験で落ちてしまった(笑)ので体験することはできませんでしたが、二次試験の被験者を見ていると案外送受信はうまくいっているように見受けられました。特に子供の反応性が良く、なんだか妙に感心してしまいました。
送受信装置に興味津々です。
二次試験のテストフィールド脇には、この適性試験の元となった論文(を模した作品)が展示されており、そのあまりの徹底ぶりには読んでいて思わずニヤニヤしっぱなしでした。コンセプトや心意気はもちろんのこと、場のアートとしての完成度の高さにはただただ脱帽です。
体験型はこの1作品のみでしたが、他にも圧巻の巨大彫像や、アニメの効果音を具現化した立体作品、スクリーンでアニメ作品の某場面イメージを映像化したインスタレーション、モビルスーツを題材にした絵画、アニメ作品中のモチーフを再現した書画、写真、ペイント、インスタレーションなど、実に多様な作品が展示されていました。
図録には様々な文化人のコメント・解説が寄せられており、中でも斉藤環氏と茂木健一郎氏の解説が印象的でした。

やはり、アニメ原作を知らない私にとってはピンとこない部分が多かったのですが、それでもなかなかに興味深い意欲的な展覧会ではないかと思います。きっと原作ファンにはたまらない催しだったのではないでしょうか。
不思議なもので、原作と切り離せるような作品(つまり、直接的な絵や設定をモチーフに使っていない作品)のほうが私には面白く感じられました。
各作品に対する原作ファンの方の感想も聞いてみたいなあと、何となく思った次第です。

ところで、ガンダム展を見ていてふと思ったのが、直前に見た片桐氏の立体作品のこと。
あの展覧会の会場に片桐氏のガンプラ顔アート作品があっても、まったく見劣りしないんじゃなかろうか、と(笑)。
ガンダムと迫力とコンセプトと個性が見事に同居した片桐氏の作品は、立派に芸術なんだと思います。

そして気がつけば、意図せずガンダムづくしだった昨日。
何だか妙な気分です(笑)。
なお、このガンダム展は5月21日まで。仙台の次は愛知県高浜市と北海道札幌市を巡回する模様です。
詳細はこちら→せんだいメディアテーク「GUNDUM 来るべき未来のために」  でご確認を。