はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

【提言】人手が足りない場合の形容について。

2006-12-20 23:38:58 | さもないこと
職場でふと思ったこと。

「○○さんが産休で、あと、そのまま育休に入っちゃうのでたいへんなんですよ。」
という言葉を耳にしました。
しかし、この形容は良くない。非常に良くないと思います。
これではまるで産休や育休で休むのが悪いことのように聞こえてしまいます。
たいへんなのは、『産休や育休の人がいる』からではなくて、『欠員の補充がない』からです。
病休も同様。
そこで提案。
このような場合、
「○○さんの補充がないのでたいへんなんですよ。」
とアピールしてはいかがかと。
これならきっと人事の不備を指摘することにもつながります。
言葉の選び方は、ときに意識の根底に影響を与えるもの。
上記の形容を、こっそり広めてゆきたいと思います(笑)。


仙台遠征12月16日-17日。

2006-12-20 23:25:26 | アートなど
先週の土曜、12月16日は仙台で芝居ひとつと展示会3つを観て参りました。
以下、簡単に。

まずは、OCT/PASS と きらく企画 の共同企画公演「ザウエル」。
じつは、今回の観劇はかなりのギャンブルでした。 
OCT/PASS の2000年公演「又三郎」がトラウマになって、私の観劇人生には空白の3年間が生じたという過去があります。
しかし、ラーメンズ効果で再び劇場に足を運ぶようになり、サモアリや猫のホテル、ペンギンプルペイルパイルズやpiper、コンドルズや水と油など、多様で個性豊かな舞台表現に触れ、観劇の楽しさを思い出したこの数年。
アート経験値も積んだ今なら大丈夫かな、と、半ば興味本位で足を運びました。
が、結果惨敗。
人によってはぴったり嗜好にはまるのかもしれませんが、私には許容しかねる世界でした。
4つの点で私の逆鱗に触れてしまうという驚きの内容。
ある意味レアな作品だと思います。
悪意に満ちた痛さが好きな方にはおすすめかもしれません。
舞台装置や効果、照明や空間の使い方はよく工夫されていて秀逸。
役者陣には、魅力的な個性を備えた方も大勢いらっしゃいました。
ただし、大事なところで言い淀みが生じるのが勿体ないなあと残念に思いました。

ところで、この日は終演後にトークイベントがあって、劇団代表と某施設管理者との対談が行われたのですが、そこで、何と言いますか、非常に『閉じた』感じの印象を受けました。
観客と対峙し客席に向かって開かれているはずの舞台芸術なのに、ともすると観客から離れて閉じてしまう危険性が高いのではないかと、そんな気がします。
作家自身が見えないアートのほうが、鑑賞者に対して開かれている場合が多いような気がして不思議でなりません。
仙台の演劇事情はハード、ソフトともに予想以上に厳しそうだなと感じ、残念で遣る瀬無い気分になりました。
バランス感覚優れた若い才能の発掘が期待されます。


さて、次に、せんだいメディアテーク6Fで開催中の「Re: search オーストラリアと日本のアート・コラボレーション」。
オーストラリアと日本の作家が、交換留学のような形で作品制作を行った成果を展示した企画展。
仙台という都市を視座に据えた作品がテーマとなって、東京などの中央都市では味わえない独特の統一感が立ち現れていたと思います。
作品数こそ多くはありませんが、ここ数年横浜や東京で見かけたことのある作品の発展型に出会えたり、思わずニヤリとしてしまう作品に出会えたりと、予想以上に楽しめました。
芝居から受けた毒をすっかり洗い流してもらったような形。
アートの力は偉大です。
印象に残った作品をいくつか。
Alex Davies「会話」: 雑踏を記録したビデオ映像。何気ない風景が延々流れる中、通行人の視線がカメラを向いたその瞬間だけがスローモーションになる、という映像を大画面で映写した作品。とてもシンプルだけれど強烈なインパクト。生物学的な認識特性に依拠した非言語コミュニケーションの可能性の大きさを痛感しました。秀逸です。
志賀理恵子「角隠し」: 多重に露光した写真のプリント作品。現実と空想のあわいのような、形容し難い写真世界が独特。中ほどにあった、眠りにつく男女が緑青を背景に中空で対面している風景が静謐で印象的でした。
Alex Davies「群衆」: 鑑賞者の姿が取り込まれ、蓄積された過去の映像と合成されて再生されるインスタレーション作品。立ち止まって注視すればするほど自己の姿も記録されてしまうというのが何とも皮肉。
クレイグ・ウォルシュ「BIG IN JAPAN」: 仙台を舞台にした広告アート。そのずば抜けたローカルさに思わず素笑い。フェイクも含め、素敵です。これはぜひ明るいうちに行くことをおすすめします。
Haines/Hinterding「建物と植物と星々のための電磁的構成2006」: メディアテークを支える柱のチューブに銅線を巻き付けて電磁波受信アンテナ化し、受信波をノイズ音声として提示したインスタレーション作品。携帯電話を時報にかけてかざしてみたら、心持ちノイズがにぎやかになったのが面白かったです。
The SINE WAVE ORCHESTRA: サインウェーブオーケストラの進化版。空間に配置された8つの柱。そのひとつひとつに音程調節ツマミがついていて、鑑賞者は自由に『演奏』することができます。そしてその演奏された内容が、そのままアーカイヴとして記録されて、今まで記録された内容と共にリピート再生される、という作品。ICCや横浜トリエンナーレ2005で見たものと比べて、自分が残した音の痕跡が直感的に伝わるので、今回のほうがより洗練されている印象を受けました。
平川紀道「compath」: 仙台視点の上空ナビゲーション。知っている街が対象になっているのが新鮮で面白い。

同じくせんだいメディアテークの5Fで開催されていた「村岡由梨 yuRi=paRadox 眠りは覚醒である」。
せんだいアートアニュアル2005 smt賞受賞記念の村岡由梨氏個展。
強烈な個性の発露としての映像作品と、その制作に関連するマテリアル実物が展示されていました。
とにかく独特で強烈な世界観と個性が圧巻。一度見たら忘れられない表現だと思いました。

関連して、同じく5Fの展示「せんだいアートアニュアルの5年間」。
創設から5年間の受賞作について、概要と審査員のコメントがパネル展示されていました。
せんだいアートアニュアルの紹介を兼ねた総覧的展示といったところでしょうか。
せんだいアートアニュアルの実物展示はまだ未見。
展示開催期間が短すぎるのが主な敗因。
次回展示はなんとか都合をつけて行ってみたいなと思いました。

この後、温泉へ行き、それから車で移動して友人宅に宿泊。
そのまま翌日は、旧知の友人たちと久々のホームパーティ。
たいへん盛りだくさんの週末でした。