はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

東京遠征12/23。

2006-12-23 00:00:00 | さもないこと
本日23日は、東京で芝居を2本観て参りました。

まずは、渋谷のパルコ劇場で上演中の、パルコ劇場プロデュース(脚本 後藤ひろひと)「みんな昔はリーだった」昼公演。
大王の新作ということで足を運びました。
内容は、ブルース・リーを軸に、かつて中学時代を共に過ごした5人の少年と1人の少女をめぐる物語。
ダメダメな感じで話を進めておきつつ、見る側が釈然としない気分になっているところへ、それらがある瞬間のための周到なお膳立てだったと気付かせる、という構成には毎度のことながら『大王さすが!』と舌を巻きました。
中学生男子のどうしようもないバカさ加減ときらめきを、独特の視点で優しく描いた作品だなと思います。
喩えて言えば、B級映画に宿る輝きへの讃歌。
あんな台詞で?!という台詞で泣かされたのは少し悔しくもありますが、むしろその点が快感に。大王マジックです(笑)。
芝居そのものは満足でしたが、少々気になったのが役者陣のコンディション。
この日は調子が悪かったのでしょうか? それとも毎回こんな具合だったのでしょうか?
台詞回しや言い間違いで『あれっ?』と思わせる部分が多く、気になりました。
ところで余談ですが、昔、大阪朝日放送のテレビ番組「探偵ナイトスクープ」で『ある年代の男性は皆ブルース・リーの物真似ができると夫が言うので本当かどうか調べてください』という依頼があって、その調査の結果、インタビューされた通行人のほぼ全員がブルース・リーを熱演していたので、その光景に唖然としながらも妙に感動的な気分になって大笑いしたことがありました。
その時の記憶を彷彿とさせる舞台。かつてのリーたちには特におすすめかもしれません。

つぎに、新宿シアターモリエールで上演中の「あ・うん」夜公演。
向田邦子の原作を、立川志らくが脚色・演出した舞台です。
片桐仁氏が出演というので足を運びました。
戦前昭和10年代を舞台にした、とある夫婦と親友をめぐるほのぼのとした人間模様。
シーン切り替えと暗転が多く、ちょっと冗長かな、といった感も否めませんでしたが、独特の悠長な流れは昭和初期日本の風情を見事に描き出していたかと思います。
落語的要素を取り込んでいたり、軽口問答シーンを盛り込んだりと随所に工夫がみとめられるのも楽しい。
こちらは役者陣が皆すばらしく、2時間半の長尺ながら、安定感に満ちた舞台は安心して観ることができました。
客入れと客出しの誘導や前説もよかったです。
公演全体が醸し出す雰囲気が暖かく、小さな劇場でぎゅうぎゅう詰めになって観る舞台にふさわしいような気がしました。
28日まで上演されているようですので、興味のある向きにはおすすめです。