はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

東京遠征6/16。(「花展」「アートで候」「見えるもの/見えないもの」)

2007-06-18 01:44:17 | アートなど
一昨日6月16日(土)は、上野で3つの展示を観て参りました。いずれも17日終了の会期ギリギリなものばかり。
とりあえず簡単にメモ。

・東京国立科学博物館「花 Flower~太古の花から青いバラまで~
 花と文化、そして植物における花の位置づけと、花の色のしくみ、様々な植物と育種について包括的に提示した良質の企画展。
 最相葉月のノンフィクション「青いバラ」で取り上げられていた、サントリーの遺伝子導入プロジェクトの成果である青いバラが展示されているというので足を運びました。デルフィニジンを合成させる酵素発現にまでは漕ぎ着けたようですが、『青』というよりは『薄い紫』とでも形容すべきトルコギキョウのような色合いで、代謝産物である色素の発色まではコントロールしきれていないようなのが印象的でした。
遺伝子操作と発現制御はまったくの別物であることは、分子生物学とマクロの生体両者を扱ったことのある方ならよく御存知と思いますが、サントリーの青いバラプロジェクトはその発現制御がいかに難しいかを露呈させているようで非常に興味深く感じられます。
青色色素の代表デルフィニジンを有する初めての品種を開発したということで大きく評価はされるでしょうが、その色素の発色条件をどのように改良してゆくのか、そして今後、サントリーのプロジェクトがどの方向へ向かうのかがとても気になるところです。

・上野の森美術館「アートで候 会田誠・山口晃 展
 現代美術の気鋭若手作家である会田誠と山口晃の作品を集めた企画展。
 二氏の学生時代作品から代表作、さらに書き下ろし最新作までを集めた充実の展示でした。
 かたや、圧倒的な画力がありながら常に人を食ったようで真剣にふざけている感のある会田誠。
 かたや、これまた圧倒的な画力と構成力で緻密な日本画的諧謔世界を構築する山口晃。
 どちらも徹底的に考え抜かれた戦略と戦術があるのが見てとれて、しかもそれが技術と不可分に結びついて大きな個性になっているところに興味を引かれました。
 戦う表現者会田誠、巧みな戦略家山口晃。日本の美術世界を牽引してゆく可能性に満ちた二人のように思えました。
 会期ギリギリなので一時は諦めようかとも思いましたが、結果的に行って良かったと心底思いました。

・東京芸術大学陳列館「<<写真>>見えるもの/見えないもの
 19人の写真展。近くだったのと、題名に引かれたのとで足を運びました。
 個性豊かな表現。写真に作家性を付与するものとは何だろう、と考えさせられました。


3館回って、その後国際こども図書館のカフェでお茶。
鴬谷、品川、銀座伊藤屋を経由して帰路。
暑さの中、12時間の長旅(?)がこたえたのか、17日はまた動けなくなってダウン。
今週はもう少し自重してみたいと思います。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アートで候、見に行かれたのですね。 (にらたま)
2007-06-18 15:47:27
アートで候、見に行かれたのですね。
私も先週会期が近いとあわてて見に行きました。
予想通り、なのか外国人の方が結構いらっしゃったように感じます。
山口晃氏の作品は特にジャポニズムを感じる作風ですし海外にもファンは多いのかもしれません。
会田氏の作品は、正直なところもう少し代表作品(切腹女子高生とか。。。)などの大作があればよかったのにと思いましたが
毛色の異なる2人の組み合わせが結果喧嘩をすることなく
一つの展示にまとめられているのはおもしろかったと思います。
会田氏のヴィトン、山口氏の四天王図が個人的には好きでした。
さしずめ会田氏の人を食うような雰囲気は河鍋暁斎、
そう考えると山口氏は、んー誰でしょう?歌川国芳?

梅雨のはずが予想外の水不足、暑さには十分お気をつけてください。
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>にらたまさま (aiwendil)
2007-06-24 09:08:12
>にらたまさま
行きましたよ~。
私が行ったときは、思ったより空いていて助かりました。
たしかに外国人の方をよく見かけましたね。
山口氏の作品などは、日本語文化圏以外の方々の目にはどのように映っているのでしょうね。非常に興味のあるところです。
私も四天王図に、特に普問天にとても惹かれました。
そして、会田氏のヴィトンは強烈ですよね(笑)。
唖然として思わず笑ってしまいました。
そういえば以前、横浜トリエンナーレ2001でジューサーミキサーを観たことがあったのですが、今回時を経て見てみると、以前よりそのすごさが解るような気がして面白かったです。

私の場合、山口氏には、画風こそちがうもののボッシュを連想していました。
日本の絵師だと・・・・誰でしょうねえ(笑)?
ところで、迂闊なことに河鍋暁斎は知りませんでした。
ちょこっと調べてみたらなかなか激烈な絵師のようですね。
興味を引かれます。
機会があったらぜひチェックしてみようと思います。

本当に極端な空梅雨ですよね。
酷暑にならないことを祈ります。
にらたまさんもどうぞご自愛を。
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