はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

<font size="-3">バナナを食べた子牛。</font>

2004-11-05 03:08:48 | 科学など
同僚が行った東北地区獣医師大会3学会の抄録集をながめていたら面白い演題をみつけました。
「バナナ給与がF1導入子牛の免疫細胞におよぼす影響」
松田さんという方の発表です。
以下、抄録から抜粋引用しますと・・・・


1 はじめに:現在、F1肥育農家では子牛導入直後からの感染症が多発している。そこで、今回我々は導入時における免疫力の低下を防止する目的でバナナを導入子牛に給与し、免疫細胞に及ぼす影響を調査した。
2 材料と方法:調査期間は2004年6月18日から7月3日とし、管内肥育農家に導入されてきた約1か月齢の雄のF1子牛18頭を供試した。導入0、5、10、15日目に頚静脈より採血を行った。導入1日目より5日間、給与群(n=9)はバナナ(2g/kg)を脱脂粉乳に混ぜミキサーを用いて撹拌し、哺乳バケツで経口給与した。対照群(n=9)は、脱脂粉乳のみを同様に給与した。血液検査は、白血球数、単核球数の測定と白血球表面抗原の解析を行った。白血球表面抗原の解析は抗ウシCD3、CD4、CD8、CD14、CD45R、WC1、TcR-N12、MHC class-II 抗体を用いフローサイトメトリーで行った。各群の検査成績は、導入0日と導入後の各採血日の比較および、同日の給与群と対照群の比較を student の t 検定を用いて行った。
3 成績および考察: (省略・・・・)以上の結果より、F1子牛へのバナナ給与は、メモリーT細胞、γδT細胞の増加を誘導することが明らかになった。子牛に対するバナナの給与は幼齢期における免疫の成熟を促進することが示唆された。
<平成16年度 東北地区獣医師大会抄録集 p36より>


だそうです。
ウシにバナナを食べさせるというだけでも微笑ましいのに、バナナを食べさせた子牛の血液でフローサイトメトリーまでしてしまうという、ローテクとハイテクの共存が強烈に可笑しくって、抄録を読みながら独りで笑っておりました(^^;。
いや、でも、これ、真面目な研究なんですよ。念のため(笑)。
しかも有意に免疫促進効果も得られているし。画期的なのかもしれません。実際(^^。


追:ちなみに、F1というのは、ホルスタインの母に黒毛和種の父を持つ混血牛のことです。雑種1代目の略号で「F1」。ホルスタインよりも少し小柄で肉質も上がるので、出産が楽&肥育できるということで、乳牛の子として重宝されています。
追2:さらにちなみに、フローサイトメトリーというのは、白血球の表面にある物質を特殊な抗体で印をつけ、どんな種類の白血球がどのくらいあるのかを調べるための方法です。ものすごく高価な検出機器がないとできない、とても難しい実験です(^^;。




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2 コメント

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恐るべしバナナ! (丸面)
2004-11-11 21:26:39
恐るべしバナナ!
・・・も、もしかすると、バナナ(の代謝物)に対する抗体をつくろうとしたせいで免疫力が上がってたりして・・・(爆)。
ン億円するフローサイトメトリーを使っただけありましたねぇ(笑)。

おはぎを食べるニャンコや、米飯を食べるワンコなどの話を聞いたことがありますが、
小さい頃、何でも食べてみる時期に、おはぎやお米を食べているみたいですね。
・・・ということは、この仔牛たちは草も食むし、バナナも食べるのでしょうか?(^o^@)
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そう、フローサイトメトリーですよ、フローサイト... (aiwendil)
2004-11-12 21:13:06
そう、フローサイトメトリーですよ、フローサイトメトリー!!!(バン、バン、バンッ!←実験台を叩く音)
なのにバナナ(爆)!
面白すぎます(^^;。

9頭の子牛たち、その後の食生活は・・・・どうなったんでしょうね。
とりあえず近所にバナナ畑がなくてよかった。
盗み食いの癖がついたらおおごとですから(笑)。
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