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こちらは初期の頃の椿のバッグ。
薄墨のふちどりと緑の葉が特徴で懐かしい。
うちの教室では、入会するとまず椿を描く。
当初は、本物や写真の椿を見ながらスケッチしてもらった。
でも、大方の生徒さんは嫌がった。
そこで、楽に描いて形になる方法は無いかと考えた。
それが、お絵かき教室式の描き方だった。
「はい、丸を描いて、次に中を塗りながら・・・」
半信半疑で筆を動かす生徒さん達。
やがて、紙面にそれぞれの椿が咲きはじめる。
これが、写生と違って面白いほど個性が出る。
生徒さんたちも、おたがいの椿を見比べながら楽しそうだ。
以来、椿はうちの一閑張りの看板になっていった。
やがて、生徒さんたちも上達し、展示会や販売を望むようになった。
私は、やる気のある生徒さんにはそれを勧めた。
他人の眼や評価を受けることは、良い鍛練になると思うからだ。
おかげで、あちこちに同じような椿の柄があふれ出した。
「おい、お前の偽物が売られているぞ!」
友人からそんな連絡をもらうこともあった。
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以来、生徒さんと間違われないようにしなければ・・・と、
私にとっても良い刺激になっていった。