とあるクラブチームの一匹狼サポーターの話。
今日もホームでの試合。アウエーチームのファールまがいのプレーに笛が吹かれず
「このやろ、ここは俺たちのホームだぞ!あ~、監督キレろ」
といつものように野次を飛ばすサポーター。
結局試合は負け。そして観客に
「お前らが応援しないから負けるんだ」
と説教。
その後彼はスポーツバーで自棄酒。するとそこに喪黒が。
「ホッホッホ、どうしました?」
サポーターは胸のうちを話す。
「実は僕、サッカー観戦が好きで。いつか地元でJリーグの試合がいつでも見られるようになりたいと思っていたんです」
「ほお、それで何か?」
「でも僕と一緒に応援しようという心有る人がいないんです。そうして応援しているチームは負けっぱなしでリーグ降格の危機なんです」
それを聞いた喪黒、何か名案を思いついた様子。
「よろしいでしょう、あなたの願いを叶えて差し上げましょう」
翌朝、喪黒がサポーターのアパートへ。
「さぁ、これをお試しください。あなたのために用意しました」
それは「クローン59」という薬品だった。
「どうやって使うんですか?」
喪黒は風呂場で薬の実験をした。
「お風呂にクローン59を入れました。どうぞ入ってください」
そしてサポーターは風呂へ。しかし何も変わらない。
「何も変わっていないじゃないですか」
「ホッホッホッホッホ、あなたの髪の毛を少し頂きます」
「どうぞ」
喪黒が髪の毛を抜くとサポーターのクローン人間が誕生した。
「ホッホッホッホ、どうですか。驚いたでしょ」
「は、はい」
「これであなたもサポーター仲間を増やせます」
「ありがとうございます」
こうしてサポーターの応援するチームは持ち直してきたが・・・
「こうなったらサポーターの数を一気に増やすか」
サポーターはクローン59を使いサポーターのねずみ算をやろうとした。
「おや、誰かと思えば」
喪黒の声がどこからともなく聞こえてきた。
「クローンはどうですか」
「最高です。仲間がいるなんて」
「ところで、クローン59はかなり強力なクローン生成力を持っていますので」
「はい、どんどん作りたいと思っています」
「いいえ、あまり多く人を作ってはいけませんよ」
喪黒のこの言葉にサポーターはおののいてしまった。
「いくらサポーターの数が多いからといってメリットばかりあるはずがありません」
「・・・は、はぁ」
そしてその夜、クローン59にクローンを入れて本当にサポーターはねずみ算式にクローンを増やしていった。その数は地元のサッカー場の許容人数を超えるほどだった。
「うひゃー、こんなにサポーターがいればアウエーなんて怖くないぞ」
しかしチーム成績は下降、そして入れ替え戦を迎えた。
「よぉし、こうなったら全力で戦うぞ!」
「オーッ!!」
ついに始まった入れ替え戦。負けさえしなければチームの残留が決まる。応援しているチームにはさかんに声援を送り、相手チームには罵声の嵐。そして90分経ってチームは残留かと思われたが・・・
「約束を破りましたね」
喪黒がスタンドから顔を出す。
「こんなにサポーターを増やすなんて、大変なことになりますよ」
「そ、そんな。だってサポーターが多いほうが試合に勝てるって」
「もうダメです。あなたは落ちるところまで落ちてもらいます」
「そ、そんな!喪黒さん」
「あなたは二度とサポーターができなくなる!」
そう言って喪黒はサポーターに人差し指を突きつけた。
ドーン!
サポーターは断末魔の如く崩れ去った。その瞬間、敵チームの選手のセンタリングがオウンゴールになり、応援していたチームはリーグ陥落となってしまった。
クローンたちはスタンドを飛び出してついに暴動を起こす。
「ふざけやがって、金返せよ」
「無能監督は首だ」
「敵に有利なしやがって、審判ヘタクソ」
そう言って罵声や野次は勿論のこと、水や紙くずも浴びせてしまった。それをサポーターは止めようとしたが・・・
グサッ!
サポーターの心臓にフーリガンの旗の先端が突き刺さってしまう。
「うわぁぁぁぁぁ」
サポーターは断末魔の声を上げて死んだ。
「Jリーグが発足して11年、サッカーファンも変わってしまいました。
しかし、彼も一人で純粋に応援していたらこんなことには・・・
ホーッホッホッホッホッホッホ」
今日もホームでの試合。アウエーチームのファールまがいのプレーに笛が吹かれず
「このやろ、ここは俺たちのホームだぞ!あ~、監督キレろ」
といつものように野次を飛ばすサポーター。
結局試合は負け。そして観客に
「お前らが応援しないから負けるんだ」
と説教。
その後彼はスポーツバーで自棄酒。するとそこに喪黒が。
「ホッホッホ、どうしました?」
サポーターは胸のうちを話す。
「実は僕、サッカー観戦が好きで。いつか地元でJリーグの試合がいつでも見られるようになりたいと思っていたんです」
「ほお、それで何か?」
「でも僕と一緒に応援しようという心有る人がいないんです。そうして応援しているチームは負けっぱなしでリーグ降格の危機なんです」
それを聞いた喪黒、何か名案を思いついた様子。
「よろしいでしょう、あなたの願いを叶えて差し上げましょう」
翌朝、喪黒がサポーターのアパートへ。
「さぁ、これをお試しください。あなたのために用意しました」
それは「クローン59」という薬品だった。
「どうやって使うんですか?」
喪黒は風呂場で薬の実験をした。
「お風呂にクローン59を入れました。どうぞ入ってください」
そしてサポーターは風呂へ。しかし何も変わらない。
「何も変わっていないじゃないですか」
「ホッホッホッホッホ、あなたの髪の毛を少し頂きます」
「どうぞ」
喪黒が髪の毛を抜くとサポーターのクローン人間が誕生した。
「ホッホッホッホ、どうですか。驚いたでしょ」
「は、はい」
「これであなたもサポーター仲間を増やせます」
「ありがとうございます」
こうしてサポーターの応援するチームは持ち直してきたが・・・
「こうなったらサポーターの数を一気に増やすか」
サポーターはクローン59を使いサポーターのねずみ算をやろうとした。
「おや、誰かと思えば」
喪黒の声がどこからともなく聞こえてきた。
「クローンはどうですか」
「最高です。仲間がいるなんて」
「ところで、クローン59はかなり強力なクローン生成力を持っていますので」
「はい、どんどん作りたいと思っています」
「いいえ、あまり多く人を作ってはいけませんよ」
喪黒のこの言葉にサポーターはおののいてしまった。
「いくらサポーターの数が多いからといってメリットばかりあるはずがありません」
「・・・は、はぁ」
そしてその夜、クローン59にクローンを入れて本当にサポーターはねずみ算式にクローンを増やしていった。その数は地元のサッカー場の許容人数を超えるほどだった。
「うひゃー、こんなにサポーターがいればアウエーなんて怖くないぞ」
しかしチーム成績は下降、そして入れ替え戦を迎えた。
「よぉし、こうなったら全力で戦うぞ!」
「オーッ!!」
ついに始まった入れ替え戦。負けさえしなければチームの残留が決まる。応援しているチームにはさかんに声援を送り、相手チームには罵声の嵐。そして90分経ってチームは残留かと思われたが・・・
「約束を破りましたね」
喪黒がスタンドから顔を出す。
「こんなにサポーターを増やすなんて、大変なことになりますよ」
「そ、そんな。だってサポーターが多いほうが試合に勝てるって」
「もうダメです。あなたは落ちるところまで落ちてもらいます」
「そ、そんな!喪黒さん」
「あなたは二度とサポーターができなくなる!」
そう言って喪黒はサポーターに人差し指を突きつけた。
ドーン!
サポーターは断末魔の如く崩れ去った。その瞬間、敵チームの選手のセンタリングがオウンゴールになり、応援していたチームはリーグ陥落となってしまった。
クローンたちはスタンドを飛び出してついに暴動を起こす。
「ふざけやがって、金返せよ」
「無能監督は首だ」
「敵に有利なしやがって、審判ヘタクソ」
そう言って罵声や野次は勿論のこと、水や紙くずも浴びせてしまった。それをサポーターは止めようとしたが・・・
グサッ!
サポーターの心臓にフーリガンの旗の先端が突き刺さってしまう。
「うわぁぁぁぁぁ」
サポーターは断末魔の声を上げて死んだ。
「Jリーグが発足して11年、サッカーファンも変わってしまいました。
しかし、彼も一人で純粋に応援していたらこんなことには・・・
ホーッホッホッホッホッホッホ」