爪出しふくちゃん

 近ごろ、ふくちゃんはまた甘えん坊である。どういう周期で甘えん坊になるのかわからないが、よく膝の上に乗ってくるし、上着の懐の中に入りたがる。子猫の頃とは違ってすっかり大猫になってしまったから、入ろうとしてもかなり無理がある。少し大きめの上着だとなんとか入ることができて、狭い中でどんな格好になっているのかわからないけれど、ゴロゴロ言って喜んでいる。ふくちゃんがそう言って喜んでいるので、私も頭や足でおなかを突っ張られながら、喜んでいる。
 ふくちゃんが甘えてくれるのは嬉しいのだけれど、ふくちゃんはアンポンタンなのですぐ爪を出すから困る。膝の上でちょっとでもバランスが崩れると爪が出る。上着の中に入りたいと襟元を爪を出して引っ掻く。入れるはずもないタートルネックのセーターを着ているときにも入れてくれと引っ掻くから、糸が飛び出してしまった。上着の中に入ったあとも、ことあるごとに爪を出す。おかげで引っ掻き傷がしょっちゅうできる。みゆちゃんはお利口だから、よっぽどのことがないと爪を出さない。膝の上でも、爪を立てないよう気を使いながらバランスを取っているのがわかる。
 それでもやっぱり、上着の中に入れてくれといわれると、断ることはできない。懐でゴロゴロ言わせていたら、お母さん、おなかの中になに入れてるの、と子供がびっくりしていた。


(余談)「アンポンタン」という名前のパン屋が関東のほうにあるらしい。冗談かと思ったけれど、フランス語で「un pont, un(アンポンタン)」は「夢の架け橋」という意味だそう。しかし、「アンポンタン行こうか」とか「アンポンタン美味しいよ」とか、真顔で言えないだろうな…
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