アンの絵本日記&g

大人にも楽しめる絵本の紹介と
稲垣吾郎さんについて(時々)語ります。

今日の絵本

2012-04-09 17:52:26 | 絵本
「おうじょさまとなかまたち」(4分半)
アローナ・フランケル:文・絵
もたいなつう:訳
すずき出版:発行
2008.6初版第1刷(1400円)

食いしん坊の小さなイモムシは、平和にくらす王女さまの動物たちにとってはいやな存在。
動物たちを挑発しながら、イモムシは大きく育ち、ついには怪物になってしまいました。
おだやかで、自信に満ちた王女さまは、怪物になったイモムシに立ち向かって、王国に平和を取り戻しました。

アローナ・フランケルはやわらなか色彩とタッチで、しあわせ感に満ちた幼いひとと母親のようすを多く描いています。
絵本からは、作者がポーランドに生まれたユダヤ人で、幼い日々にホロコーストを経験し、12歳でイスラエルに移民したという事実を感じることはありません。
2005年刊の自伝的回想記『少女』がその年のサピール賞(イスラエル版ブッカー賞)とヤド・ヴァシェム(国立ホロコースト記念資料館)の賞を受賞してはじめて公になった事実でした。
自伝で彼女は、「何の権利も自由もなかった子ども時代」と語っています。
それゆえに、きっと、子どもたちが自由で伸び伸びと育ってほしい、という願いを込めて絵を描き、言葉を綴ったのでしょう。
(訳者あとがきより)