TVを見るほど思考力は落ちる?
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」340/通算771 2024(令和6)年9/25/水】「フォーリン・アフェアーズ ジャパン ニューズレター(9月22日)」が届いたが、従来の米国民主党寄りのリベラル≒アカ的な論稿は大統領選挙運動が始まっているので控えているのだろうか、中道的なソフトな論を紹介していた。こんな具合だ。
◎「知識と技術が国を支える 新しい国家パワー」: いまや、国のパワーの基礎を支えるのは「経済成長、科学的発見、軍事的ポテンシャルを劇的に強化できる知識や技術」であることが多い。だが、こうした資産は、無形であること、そして、部門や国を超えて広がりやすいために、ひとたび「世に出る」と政府が管理するのは難しくなる。われわれは、知識とテクノロジーが原動力となる現代の世界で、パワーの構成要素が何で、それをいかに育み、応用していくかを考え直す必要がある。
◎「同盟諸国との連携強化を 相互運用性を強化するには」: ワシントン(米連邦政府)は、より多くの軍事物資、兵器を生産して、基地を確保し、それらを同盟諸国と共有していく必要がある。パートナーとともに戦うためのより良い軍事戦略を策定する必要もある。そうしない限り、ますます能力を高め、連携を深める敵(露中北、イスラム過激派など)に圧倒される危険がある。
◎「教育と国家と経済 技術革新で経済と社会を支えるには」: 教育と医療への人的資本投資を怠れば、労働生産性と国の競争力は大きく損なわれる。学校教育を1年多く受けると、平均して約10%収入が増加する。教育の質も関係してくる。例えば、アメリカでは、小学校のクラス担任を質の低い教員から平均的教員に替えると、生徒たちの生涯収入の合計は25万ドル増加する。
・・・・・・・・・・・
しかし今月号の目次をチェックしたら結構“過激”だった。「中国経済危機の本質 過剰生産能力の悪夢」「米中対立と第一次世界大戦の教訓 中国と20世紀初頭のドイツ」「新興大国と覇権国 衝突は不可避なのか」「東アジアと中国の核戦力 核共有と軍備管理の間」「気候変動とポピュリスト 温暖化対策と文化戦争」「政治暴力の連鎖を防ぐには トランプ銃撃事件と政治暴力リスク」「カマラ・ハリスとドナルド・トランプ 中国にとってどちらが好ましいか」「イスラエルとヒズボラ かつてない衝突へ」と“戦意高揚”盛りだくさん。
イケイケドンドンと応援したくなるが、かなりインテリ向けの政治・外交誌だから、日本では(日本でも?)購読者は少ないよう。WIKIによると「フォーリン・アフェアーズ日本語版は2009年2月号を最後に休刊されたが、その後継メディアとして2009年3月から『フォーリン・アフェアーズ・リポート(月刊誌)』がフォーリン・アフェアーズ・ジャパンから直接定期購読誌として出版されている」。
自由民主主義国家は「悪書は良書を駆逐する」という弊害が伴う。結局安直な娯楽系の本ばかりになりやすく、さらに現在では本を読まないスマホ中毒の人ばかりになるという劣化が進んでいる。日本でも同様だ。NHK2024/1/28「出版物の推定販売額 『電子』好調も『紙』大きく落ち込み前年下回る」によると――
<出版科学研究所によると、2023年1年間の出版物の推定販売額は、紙と電子の合計で前の年より2.1%少ない1兆5963億円と、2年連続で前年を下回った。このうち「電子出版」の売り上げは前年を6.7%上回る5351億円となり、中でも「電子コミック」は好調で電子出版の売り上げ全体の9割を占めた。一方「紙」の出版物は書籍・雑誌ともに売り上げが落ち込み、全体で前年を6%下回る1兆612億円となった>以上抜粋
活字人間の小生から見れば「衣食住足りて暗愚化」の様相。多分、世界中でそのようなスマホ中毒&書籍離れでオツムの劣化が進んでいるだろう。残念極まりないが、そう言う小生も加齢により気力、体力、理解力、記憶力、好奇心が急速に衰えているから、教養・学問系の読書やブログ執筆は年内あるいは来年あたりでお仕舞になりそうだ。やるべきこと、やりたいことはやったから、ま、いいか、と思うが、新聞を含めた読書の習慣がまったくなく、暇さえあればスマホをいじくっている40歳の愚息(東京都の消防官)を見ていると「リタイア後はTV漬けか?」とげんなりする。
以前、小生は記者時代の同僚や先輩など仲間と年に1回は同窓会旅行をしていたが、元記者でも読書習慣がない人は結構いるようで、60代後半あたりから加齢が進むにつれ共通の話題がナント! TV番組になってしまった。「TVはハードやソフトを創って儲けるもの、大の男が見るものではない」と思っている小生はツンボ桟敷、結局、同窓会への参加は終わりにした。
『なぜBBCだけが伝えられるのか 民意、戦争、王室からジャニーズまで』(小林恭子著、光文社新書)が最近上梓されたそうだが、「TVで一番まともなのは英国の公共放送BBCの番組だ」という内容のよう。小林氏は読売新聞の英字紙「デイリー・ヨミウリ」出身。小生は毎日欠かさずネットでBBCとロイター、産経と読売をチェックしているが、そのうち小林氏の書籍も読んでみよう(インテリ女大好き!)。
ところで日本のTVで「マトモな報道番組」ってあるのか? あったとしても視聴者が頭脳明晰になる、IQが向上する、学者になった、なんていう話は聞いたことがない。東北大学の調査ではTVを見るほど若者(小中学)の学力は落ちるという。大人でも思考力は落ちるだろう。大体、TV番組を創っている人は忙しいからTVを見ない、見るとしても「仕事のためにライバルの番組をチェックするだけである」と小生が世話になったテレビ朝日映像のディレクターが言っていた。世話になった近所の寿司屋のオヤジさんは「明日の早朝に仕入れ仕事があるから」と飲酒は控え気味だった。「お酒はほどほど」「TVもほどほど」。リタイアした人は暇を持て余して終日TVを見たりするようだが、ま、ほどほどに。産経新聞や古典、良書の読書の方が脳みその健康にいいのではないか? 余計なお世話だが・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
必殺クロスカウンター https://www.mag2.com/m/0001690154.html
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
https://note.com/gifted_hawk281/
https://www.facebook.com/shuichi.ishii.14
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」340/通算771 2024(令和6)年9/25/水】「フォーリン・アフェアーズ ジャパン ニューズレター(9月22日)」が届いたが、従来の米国民主党寄りのリベラル≒アカ的な論稿は大統領選挙運動が始まっているので控えているのだろうか、中道的なソフトな論を紹介していた。こんな具合だ。
◎「知識と技術が国を支える 新しい国家パワー」: いまや、国のパワーの基礎を支えるのは「経済成長、科学的発見、軍事的ポテンシャルを劇的に強化できる知識や技術」であることが多い。だが、こうした資産は、無形であること、そして、部門や国を超えて広がりやすいために、ひとたび「世に出る」と政府が管理するのは難しくなる。われわれは、知識とテクノロジーが原動力となる現代の世界で、パワーの構成要素が何で、それをいかに育み、応用していくかを考え直す必要がある。
◎「同盟諸国との連携強化を 相互運用性を強化するには」: ワシントン(米連邦政府)は、より多くの軍事物資、兵器を生産して、基地を確保し、それらを同盟諸国と共有していく必要がある。パートナーとともに戦うためのより良い軍事戦略を策定する必要もある。そうしない限り、ますます能力を高め、連携を深める敵(露中北、イスラム過激派など)に圧倒される危険がある。
◎「教育と国家と経済 技術革新で経済と社会を支えるには」: 教育と医療への人的資本投資を怠れば、労働生産性と国の競争力は大きく損なわれる。学校教育を1年多く受けると、平均して約10%収入が増加する。教育の質も関係してくる。例えば、アメリカでは、小学校のクラス担任を質の低い教員から平均的教員に替えると、生徒たちの生涯収入の合計は25万ドル増加する。
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しかし今月号の目次をチェックしたら結構“過激”だった。「中国経済危機の本質 過剰生産能力の悪夢」「米中対立と第一次世界大戦の教訓 中国と20世紀初頭のドイツ」「新興大国と覇権国 衝突は不可避なのか」「東アジアと中国の核戦力 核共有と軍備管理の間」「気候変動とポピュリスト 温暖化対策と文化戦争」「政治暴力の連鎖を防ぐには トランプ銃撃事件と政治暴力リスク」「カマラ・ハリスとドナルド・トランプ 中国にとってどちらが好ましいか」「イスラエルとヒズボラ かつてない衝突へ」と“戦意高揚”盛りだくさん。
イケイケドンドンと応援したくなるが、かなりインテリ向けの政治・外交誌だから、日本では(日本でも?)購読者は少ないよう。WIKIによると「フォーリン・アフェアーズ日本語版は2009年2月号を最後に休刊されたが、その後継メディアとして2009年3月から『フォーリン・アフェアーズ・リポート(月刊誌)』がフォーリン・アフェアーズ・ジャパンから直接定期購読誌として出版されている」。
自由民主主義国家は「悪書は良書を駆逐する」という弊害が伴う。結局安直な娯楽系の本ばかりになりやすく、さらに現在では本を読まないスマホ中毒の人ばかりになるという劣化が進んでいる。日本でも同様だ。NHK2024/1/28「出版物の推定販売額 『電子』好調も『紙』大きく落ち込み前年下回る」によると――
<出版科学研究所によると、2023年1年間の出版物の推定販売額は、紙と電子の合計で前の年より2.1%少ない1兆5963億円と、2年連続で前年を下回った。このうち「電子出版」の売り上げは前年を6.7%上回る5351億円となり、中でも「電子コミック」は好調で電子出版の売り上げ全体の9割を占めた。一方「紙」の出版物は書籍・雑誌ともに売り上げが落ち込み、全体で前年を6%下回る1兆612億円となった>以上抜粋
活字人間の小生から見れば「衣食住足りて暗愚化」の様相。多分、世界中でそのようなスマホ中毒&書籍離れでオツムの劣化が進んでいるだろう。残念極まりないが、そう言う小生も加齢により気力、体力、理解力、記憶力、好奇心が急速に衰えているから、教養・学問系の読書やブログ執筆は年内あるいは来年あたりでお仕舞になりそうだ。やるべきこと、やりたいことはやったから、ま、いいか、と思うが、新聞を含めた読書の習慣がまったくなく、暇さえあればスマホをいじくっている40歳の愚息(東京都の消防官)を見ていると「リタイア後はTV漬けか?」とげんなりする。
以前、小生は記者時代の同僚や先輩など仲間と年に1回は同窓会旅行をしていたが、元記者でも読書習慣がない人は結構いるようで、60代後半あたりから加齢が進むにつれ共通の話題がナント! TV番組になってしまった。「TVはハードやソフトを創って儲けるもの、大の男が見るものではない」と思っている小生はツンボ桟敷、結局、同窓会への参加は終わりにした。
『なぜBBCだけが伝えられるのか 民意、戦争、王室からジャニーズまで』(小林恭子著、光文社新書)が最近上梓されたそうだが、「TVで一番まともなのは英国の公共放送BBCの番組だ」という内容のよう。小林氏は読売新聞の英字紙「デイリー・ヨミウリ」出身。小生は毎日欠かさずネットでBBCとロイター、産経と読売をチェックしているが、そのうち小林氏の書籍も読んでみよう(インテリ女大好き!)。
ところで日本のTVで「マトモな報道番組」ってあるのか? あったとしても視聴者が頭脳明晰になる、IQが向上する、学者になった、なんていう話は聞いたことがない。東北大学の調査ではTVを見るほど若者(小中学)の学力は落ちるという。大人でも思考力は落ちるだろう。大体、TV番組を創っている人は忙しいからTVを見ない、見るとしても「仕事のためにライバルの番組をチェックするだけである」と小生が世話になったテレビ朝日映像のディレクターが言っていた。世話になった近所の寿司屋のオヤジさんは「明日の早朝に仕入れ仕事があるから」と飲酒は控え気味だった。「お酒はほどほど」「TVもほどほど」。リタイアした人は暇を持て余して終日TVを見たりするようだが、ま、ほどほどに。産経新聞や古典、良書の読書の方が脳みその健康にいいのではないか? 余計なお世話だが・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
必殺クロスカウンター https://www.mag2.com/m/0001690154.html
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