杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

迷子の警察音楽隊

2008年09月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年12月22日公開 イスラエル=フランス 87分

1990年代のイスラエル。空港に水色の制服に身を包んだ男たちが降り立った。彼らはアレクサンドリア警察音楽隊。文化交流のためにエジプトからやってきたが、何かの手違いか出迎えが来ない。自力で目的地へたどり着こうとした彼らは、間違えて一文字違いの別の小さな町に着いてしまう。途方にくれる彼らに助け舟を出したのは、カフェの女主人ディナだった。やがて、国や宗教を超えた交流が始まるが…。(goo映画より)

コメディかと思って観始めたのですが・・・

そもそもイスラエルとエジプトって何度も戦争してきて、1979年に和平条約を結んではいても「冷たい平和」の関係だということを頭に入れておかなくてはです。

一文字違いで目的の町ではない所に「迷子」になっちゃったエジプト警察音楽隊の8人に初めのうちは冷ややかだった町の人々。英語で会話は出来るものの何かとギクシャクとぎこちなかった彼らですが、次第に打ち解けていきます。

音楽隊に一夜の宿を提供するディナや店の常連客?たちとの交流の一夜を描いた物語は、淡々と、時に少しのユーモアと悲哀をも加えながら静かに進んでいきます。

頑固で真面目な団長(サッソン・ガーベイ)は、部下の生意気で奔放な若いヴァイオリン弾きの青年に苦々しい思いを持っているけれど、それは亡くした息子とおそらくは同じくらいの年齢の彼への父親のような気持ちもありそう。

ディナに好意を示されながらも自己制御してしまう生真面目さや、青年とディナの間に起こったことへの心の葛藤なども描かれます。

その青年は地元の若者のWデートにくっついて行き、その恋の手助けをしちゃったり、別の隊員は招かれた家での居心地の悪い空気に身を縮めながらも、歌がきっかけで打ち解けたりとそれぞれに一夜の交流を温めることになるのです。

人と人とが出会ったとき、そこにあるのは国や言語の違いではなく、彼らの中で生まれる気持ちが中心になっていくんだということをさり気なく伝えているんだね。


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