杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ときぐすり

2014年02月08日 | 
畠中恵(著) 文藝春秋(発行) 

「まんまこと」シリーズ第四弾
女房のお寿ずと娘のお咲を亡くし、しばらくは魂が抜けたようだった麻之助だが、町名主・高橋家の跡取りとして、もめごとの裁定の仕事は待ったなし。幼馴染で親友の八木清十郎と相馬吉五郎の助けもあり、少しずつ回復していく・・・。


・朝を覚えず
妻のお寿ずを亡くして一年経ち、それなりに日々を送ってはいるが、本来の姿には程遠い麻之助。そんなある日、清十郎から眠り薬をめぐる騒ぎの相談を受ける。太源という若い医者が処方した薬の効能が、飲んだ人間によっておそろしく違うその理由を知るため、麻之助は、我が身で試すことにしたのだが・・・。

薬の効能を貧乏人で試すというその不届きな行為を「人が人を大事だって思う気持ちにつけ込んで、下司なことをするんじゃねえよ」と啖呵を切る麻之助にスカッとしますが、自分で試しちゃダメでしょ

・たからづくし
町名主としての職と立場と責任のすべてを放り出し、突然姿を消した清十郎を捜す麻之助と吉五郎だが、吉五郎は盗賊の追跡でも忙しく、清十郎を探すことに専念できない。加えて両国の貞から、仲間の男たちを袖にする謎の武家娘の事情を探ってほしいと頼まれた麻之助は、清十郎が遺した書き損じから、あることをひらめく。

吉五郎の追う事件と清十郎の失踪には繋がりがありました
いつも女の方から惚れられるばかりの清十郎が珍しく自分から惚れてしまった女性は、美しい武家の娘でした。町名主の妻としては美しさは逆に騒動の元となり、まして身分高い旗本に嫁ぐことになる娘とは縁が結ばれることもないとわかっていても・・辛いよねぇ清十郎。

・きんこんかん
両国の貞が三人の手下を連れて相談ごとにやってきた。両国橋詰めの盛り場で最近小さな店をそれぞれ開いた三人の娘(おきん・お紺・お寛=きんこんかん)が、ただ一人の同心だけに秋波を送っているその相手が吉五郎だという。しかし吉五郎にはまったく身に覚えがなくて・・・。

突然三人の娘から好意を寄せられて困惑する堅物の吉五郎ですが、娘たちは店を持たせてもらうために吉五郎の歓心(といっても恋じゃなくて誰のお菓子が美味しいかの判定)を買おうとしていたのでした。勝手に吉五郎を使って商売しようと企み、あわよくば娘たちの誰かを妾にしようとした島松屋を懲らしめようと、友思いの麻之助が一計を案じます島松屋以外が得をしたこの顛末は愉快
吉五郎のお舅さんになる相馬様って一筋縄でいかないキャラですねぇ

・すこたん
菓子を食べるとき大切なのは、皿か、それとも茶か? 瀬戸物問屋と茶問屋の跡取り息子同士の、なんとも下らない裁定をすることになった麻之助。調べると背後にはある茶屋娘を巡る恋の争いがあった。二人によくよく因果を含め、争いを終わらせた麻之助だが、しばらくすると二人の間にはまた争いごとが起きてしまった。今度の諍いにはいわくつきの娘「緒すな」との縁談と高額の持参金をめぐる複雑な事情が絡んでいた。今度の裁定は前回のように簡単にはいかず、さらに「緒すな」本人が麻之助の屋敷に直接やって来て――争いの結末はいかに?

仲が良かった二つのお店が、同じ町内になった途端に関係が悪化。近所になったことで自分の方が色んな意味で上だと思いたい主人どうしの鍔迫り合いが始まった。息子どうしが始めた恋の争いは麻之助の裁定で収まったものの、今度は大店の我儘娘の嫁入り話と化けてしまってさぁ大変。あまりの我儘ぶりに戦々恐々となる両家の息子たちは互いに譲り合う始末ですが、そんな中であっさり娘のハートを射止めたのは、普段何の役にも立たない別の傾きかけた商家の跡取り息子だったというな~~んも考えずにありのままを見る方が幸せを掴むのかもね

・ともすぎ
悪名高い高利貸し・丸三が高橋家にやって来た。聞けば最近の吉五郎の様子がどうもおかしいという。調べると吉五郎は舟に乗り、足繁く市谷御門へ通っているらしい。麻之助と清十郎、丸三も市谷御門へ赴くが、そこは武家屋敷の塀が延々と並ぶばかりの武家地。途方に暮れる三人を吉五郎に引き合わせたのは村井新左衛門という武家だった。吉五郎がここに通う理由を新左衛門から聞かされた三人は、考え違いに恐縮する。その後丸三は吉五郎のためにある賄賂事件を調べ始めるが、そのさなかに行方知れずになってしまう。丸三はどこに消えた?

高利貸しと恐れられ、これまで友の一人もいなかった丸三にとって、麻之助たちは初めてできた大事な大事なお友達。「たからづくし」では清十郎のことを親身になって世話したけれど、今回は吉五郎のために奔走します。ところが自分の身内に賄賂事件に関わる者がいて、命の危険に曝されてしまうの。彼を救ったのも麻之助たち。友情に年は関係ないね

・ときぐすり
高い木から降りられなくなった高橋家の飼い猫・ふに。それを助けたのは北国から江戸にやって来たばかりの十四歳の滝助だった。滝助はこれからどうやって暮らせばいいか麻之助に訊くが、これまで盗賊の手下だったという滝助が簡単に仕事につけるはずがない。そして本当に滝助は盗賊と切れているのか? とりあえず麻之助は滝助を糊売りの老婆・むめに預け、袋物師の数吉親方の世話をさせることに。ときが過ぎる中、いつしか支えあうようになるむめ婆・滝助・数吉親方。しかしある夜、盗賊の若頭が滝助のもとにやって来て――どうする滝助!

時薬(じやく)とはお坊さんが午前中に食べて良いものの意だそうですが、滝助は時が薬になるという意味に解釈し、間違いだと分かった後もその考えが気に入っていたと話します。その言葉に連れ合いや息子を亡くしたむめや数吉、最愛のお寿々を亡くした麻之助の心に浸みていくのです

滝助は盗賊たちの飯炊きに過ぎず、悪事は働いていなかったのですが、盗賊と関わりのあった者を世話するというのはなかなかに気を遣う厄介事の筈。でも麻之助にかかると、これが何だか妙に穏やかな結末に導かれるのがです。敢えて盗賊たちを長屋に呼び寄せたことで、長屋の住人たちにも滝助は使い走りで罪びとではないと周知させることになるあたりは細やかな気配りの賜物ですもの捕り物では吉五郎の颯爽とした姿が描かれていて、この三人、日頃は飲み食い喧嘩に明け暮れているようで、やるときはやる!!って感じね

麻之助のお寿々を亡くした心の痛みも、ようよう癒え始めたのかもしれませんね

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パシフィック・リム

2014年02月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年8月9日公開 アメリカ 131分

2013年8月11日、太平洋の深海の裂け目から超高層ビル並の巨体をもった怪物が突如出現し、サンフランシスコ湾を襲撃。「KAIJU」と名付けられたその怪物によって、わずか6日間で3つの都市が壊滅する。人類は存亡をかけて団結し、環太平洋沿岸(パシフィック・リム)諸国は英知を結集して人型巨大兵器「イェーガー」を開発。KAIJUとの戦いに乗り出す。それから10年が過ぎ、人類とKAIJUの戦いは続いていたが、かつてKAIJUに兄を殺され戦列から離れていたイェーガーのパイロット、ローリー(チャーリー・ハナム)は、環太平洋防衛軍 のスタッカー司令官(イドリス・エルバ)に乞われ再び立ち上がることを決意。日本人研究者の森マコ(菊地凛子)とコンビを組み、旧型イェーガーのジプシー・デンジャーに乗り組むが・・。


ギレルモ・デル・トロ監督による謎の巨大生命体と人類が開発した人型兵器との壮絶な戦いを描いたVFX作品です。日本の怪獣映画へのオマージュなのか、劇中の敵生命体の呼称が「カイジュウ」なんだよね

芦田愛菜ちゃん出演で話題でしたが、元々「怪獣映画」は好みじゃないので劇場鑑賞はパスしてDVD発売を待ってレンタルです戦闘シーンは実写版エヴァンゲリオンみたいな感覚で観ました。人型巨大兵器の中にシンクロするパイロットが乗りこむ様式はまさにエヴァンパイロットは二人だけどねとすると敵生命体は使徒かい?
パイロット二人の相性が合わなければならないので親子、兄弟の組み合わせが殆どですが、ローリーとマコの共通点は愛する家族を敵に殺されていること?必然性がイマイチ理解できなかったなぁ

泣く演技が絶賛されたという愛菜ちゃんの登場シーンは数分のみで、これじゃ上手いのか下手なのかもわかんないぞどうやら東京のどこかの街らしいのですが、車のナンバープレートはアメリカそのものだし、看板も日本語になってない。細かい設定もちゃんとしようよ~~監督
スタッカー司令官が初期のイェーガー搭乗で被爆し末期癌に侵されている設定は原発事故のあった日本からヒントを得たのかしら、などと勘ぐってしまいました

最新型のパイロットのチャック(ロバート・カジンスキー)がやたら生意気で挑戦的なので、これは後々彼がローリーたちに助けられて力を合わせるようになるんだろうと思ってたら・・・大筋では当たってた
ローリーが最後に捨て身で敵陣に飛びこむのも予想してたけど生還してハッピーエンドはさすがヒーローは不死身な7ハリウッド映画邦画なら主役といえど犠牲的精神で特攻・玉砕だったかもあ、その代わりがスタッカーとチャックということなのね

怪獣オタクの生物学者ニュート(チャーリー・デイ)と数理学者のハーマン(バーン・ゴーマン)は共にドイツ人ですが性格も正反対で気が合わず犬猿の仲という設定。怪獣の生態を探るため、自ら怪獣の脳にドリフトしたニュートは重大な真実を知ることになるのですが、同時に他の怪獣に自身の存在を嗅ぎつけられることにもなります。一方数理的見解から怪獣の出現頻度や間隔を割り出したハーマンは撃退策を提示しますが、ニュートが知った真実の検証と補足のため、彼と一緒に二度目のドリフトをするの。
イェーガーに乗り戦うパイロットたちが主軸ですが、科学的アプローチを試みる二人のサブストーリーも面白かったです。
ニュートが敵生命体の「脳」を手に入れようと接触するハンニバル・チャウ(ロン・パールマン)は闇商人のボスで光りもの大好きな強烈キャラ。怪獣に呑みこまれても腹を切り裂いて出てくるツワモノでした。


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