杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

偽りの人生

2014年02月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年7月12日公開 アルゼンチン・スペイン・ドイツ合作 117分

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで結婚8年目の妻クラウディア(ソレダ・ビジャミル)と暮らす医師アグスティン(ヴィゴ・モーテンセン)の心には、ぽっかりと穴があいていた。裕福で安定した暮らしをしながらも、公私共に決まりきった日常に耐え難い息苦しさを感じていたのだ。そんなある日、長らく音信不通だった一卵性双生児の兄ペドロ(ヴィゴ・モーテンセン)が突然訪れ、末期癌に蝕まれた自分を殺すようアグスティンに懇願する。突然の申し出に困惑するアグスティンであったが、ふとしたきっかけでペドロを殺害してしまう。だがアグスティンは、自分が死んだことにしてうりふたつの容姿のペドロになりすまし、人生をやり直そうと考える。ブエノスアイレスから北へ30km程のデルタ地帯、少年時代を過ごした生まれ故郷ティグレに帰り、ここで彼は新たな人生をスタートさせるつもりだった。しかし、ペドロが闇の犯罪に関わっていたことが判明、アグスティン自身も犯罪へと巻き込まれていく。やがて、アグスティンの死に疑問を抱くクラウディアや彼に疑惑の眼差しを向ける幼馴染み、そして心を惹かれていく女が絡み、嘘と真実、因縁と運命が交錯していく……(Movie Walkerより)


ヴィゴの新作だったのですが、楽しそうな内容ではないので劇場鑑賞は見送りましたが正解だったかな。

一卵性双生児でそっくりな外見ですが、性格は全く異なるアグスティンとペドロ。幼馴染のアドリアン(ダニエル・ファネゴ)といつもつるんでいたけれど、気が合っていたのは兄とアドリアンで、アグスティンは弱虫と二人から見下されていたようです。故郷を捨て医者となって成功したように見えるアグスティンですが、心は空虚。子供を望む妻に押し切られ養子をもらう一歩手前でやっぱり無理、親にはなれないと言いだし部屋に閉じこもる姿はまるで駄々をこねる子供です。まぁ、自分を嫌いな人間が子供を愛し受け入れるなんてことができるわけがないんだけどさ。

そんな夫に見切りをつけ出ていく妻にホッとしているあたりが実に情けないそんな時にやってきた兄は末期がんに侵されていて殺してくれと言います。当惑するアグスティンでしたが、発作的に兄を殺してしまいます。仮にも医者ならとてもそんな行動は取れないと思うのだけどアグスティンの中の狂気というか兄に通じるならず者の要素を垣間見るシーンです。また、死を望んだ筈の兄の方もいざ殺されるという場面では必死に逃れようとする。これはもう生存本能というしかないか?まぁ、医者の弟に殺してくれと言ったら普通安楽死だろって気もしますから、不本意だったに違いないのですが

兄になりすまして別の人生を手に入れる筈だったのに、兄が関わっていた誘拐犯罪のせいで追い詰められていく姿はまさに「罪と罰」
養蜂をしている兄の手伝いをしているロサ(ソフィア・ガラ・カスティリオーネ)に年甲斐もなく惹かれていく姿も何だかなぁそもそもアグスティンは目の前の障害から逃げ出す生き方しかしてこなかったんじゃないかしらん?

どんなに外見が似ていても性格までは変わらないから、近しい人には直に正体がばれてしまうのも当たり前。妻は呆れて見放しますが、ロサは正体を知りつつ彼の優しさに惹かれていきます。二人の女性の対照的な反応が面白いです。あぁ、だから彼はロサに惹かれ彼女を守ろうとしたのかなぁ

物語の流れの中でよくわからなかったのは、名付け親んのアドリアンを崇拝していた筈のルーベン(ハビエル・ゴディーノ)がアドリアンにとどめを刺したことです。

結局仲間割れの挙句に負傷して死んでいくアグスティンですが、彼は最期に本当に愛する者のために生きることができてきっと幸せだったのだろうと思いました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする