畠中恵(著) 文芸春秋(発行)
江戸町名主の跡取り息子・麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・清十郎と、堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、大好評連作短篇シリーズの第5弾!
今回の密かなキーワードは実は「女難」。独身で嫁取りの話がひきもきらない清十郎ですが、いったいその理由は? 未だ妻を亡くした悲しみが癒えない麻之介、養子に入った家で年齢の離れた許婚のいる吉五郎、そして彼らの親友で大金持ちの金貸し丸三とその妾のお虎。いずれも清十郎の運命の人が現れることを願っているが、様々な障害や思わぬ事件に巻きこまれ……。(内容紹介より)
今回は清十郎の縁談話が中心となっています
・まったなし
祭りのための寄進が今年に限って集まらないのは?
跡目を継いで間もない若い町名主の哲五郎の町内だけ寄進が少なかったのは、出来過ぎる手代の辰平への複雑な感情が起因していました。まぁ、人間だもの、若いんだもの、気持ちはわかるよな~~
そこに長屋の夫婦の喧嘩と縁談が絡んだ噂の流布が重なりてんやわんやの大騒ぎが勃発しますが、例によって麻之助が3つのトラブルを一気に解決です。
教訓:噂の火消しは見極めが肝心
この噂を消すためのだしに使われた清十郎が麻之助をぽかりと殴ったのはご愛嬌
・子犬と嫁と小火
消えた子犬が発見された場所と火事の因果関係は?
して良いことと悪いことの見分けがつかないのは困りもの。本来年端のいかない子供だろうと罪は罪だとは思う・・・が、やはりまともに罪に問えば死罪にも値するとなれば、大人は落としどころを考えなくてはならないわけで・・・ばらして遠方預かりというのは名案なんでしょね
ここで清十郎のお相手としてお香とお安、二人の女性が登場してくるわけです
読んだ第一印象から、どちらが清十郎のハートを射止めるかは何となく想像ついちゃいますね。
・運命の出会い
大江戸とは思えぬ見知らぬ景色から帰る方法は?
これは流行り病に罹った麻之助が見た夢の話。
疫神が次々姿を変えて麻之助をあの世へ誘う中で、お由有が清十郎の父親に嫁いだ本当の理由を麻之助は改めて知ります。16の頃、尋ねることの出来なかった返事を聞いて苦笑する麻之助です。あの時も今も、彼にはお由有を受け止め守ることができないとわかっているから切ないね
それはともかく、夢の中でもしっかり疫神を出し抜く麻之助って本当はものすご~~く頼もしいんじゃないかしらん
・親には向かぬ
幼い子供を悪名高い高利貸しに預けたのは一体なぜ?
明松屋の身代を巡り剣呑なことになります。幼い跡取り息子を守るため麻之助が親友の丸三を巻き込み一計を案じますが・・・。
これまで麻之助たちの良き相談相手として登場していた丸三ですが、いざという時には麻之助より知恵も力もある「大人の男」の本領を発揮します。
それでいてお妾さんのお虎さんとのやりとりは、世間に通る強面の顔と全く違う「男の可愛さ」が滲み出て破顔してしまう。丸三の人柄を大いに楽しむという見方もできるようです。
・縁、三つ
婚礼用の白無垢に染みを付けてしまったのは誰?
恋の三角関係といっても、この時代のそれは当人同士の感情だけで動くわけではないところが面倒なところ。
染みをつけた犯人は意外でしたが、結局縁談も流れてしまうのね。事件解決に一役買ったお安と清十郎の関係も動き出します。
今まで縁談相手に好きだと言われたことがないと悩むお安に麻之助は「自分から好きと言うのもいいもんだよ」と助言しますが、この視点を変えてみるというのはかなり重要なポイントよね
・昔から来た文
親友・清十郎の縁談が一向に進まなくなった理由は?
互いに意識し始めた清十郎とお安、の筈だったのに、何故かお安の返事がありません。清十郎の過去につきあった女性たちが書いたと思われる中傷の文がお安に届き、彼女は自分が釣り合わないのではないかと悩んでいたのです。丸三のお妾のお虎も乗り出し犯人探しが始まりますが、どうやらその女性たちではない様子。(振られたことでいつまでもうじうじしていると思うのは男の勝手な己惚れで、女性はそんなに弱くない。それぞれが己の幸せをしっかり掴んでいたのには思わずにんまり
)犯人は全く別の角度から登場します。それは「運命の出会い」でのお由有のことと大いに関係がありました。まさに次に続く・・という感じで、またまた騒ぎが持ち上がりそうな気配です。
それはともかく、お虎の手引きにより美しく変身したお安を改めて意識した清十郎でしたが、何よりも彼女の心映えの美しさに「長く支え合える一生の相棒」だと気付きます。お安が待ち望んでいたあの言葉も清十郎なら自然に掛けられるのね~
江戸町名主の跡取り息子・麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・清十郎と、堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、大好評連作短篇シリーズの第5弾!
今回の密かなキーワードは実は「女難」。独身で嫁取りの話がひきもきらない清十郎ですが、いったいその理由は? 未だ妻を亡くした悲しみが癒えない麻之介、養子に入った家で年齢の離れた許婚のいる吉五郎、そして彼らの親友で大金持ちの金貸し丸三とその妾のお虎。いずれも清十郎の運命の人が現れることを願っているが、様々な障害や思わぬ事件に巻きこまれ……。(内容紹介より)
今回は清十郎の縁談話が中心となっています

・まったなし
祭りのための寄進が今年に限って集まらないのは?
跡目を継いで間もない若い町名主の哲五郎の町内だけ寄進が少なかったのは、出来過ぎる手代の辰平への複雑な感情が起因していました。まぁ、人間だもの、若いんだもの、気持ちはわかるよな~~

そこに長屋の夫婦の喧嘩と縁談が絡んだ噂の流布が重なりてんやわんやの大騒ぎが勃発しますが、例によって麻之助が3つのトラブルを一気に解決です。
教訓:噂の火消しは見極めが肝心

この噂を消すためのだしに使われた清十郎が麻之助をぽかりと殴ったのはご愛嬌

・子犬と嫁と小火
消えた子犬が発見された場所と火事の因果関係は?
して良いことと悪いことの見分けがつかないのは困りもの。本来年端のいかない子供だろうと罪は罪だとは思う・・・が、やはりまともに罪に問えば死罪にも値するとなれば、大人は落としどころを考えなくてはならないわけで・・・ばらして遠方預かりというのは名案なんでしょね

ここで清十郎のお相手としてお香とお安、二人の女性が登場してくるわけです

・運命の出会い
大江戸とは思えぬ見知らぬ景色から帰る方法は?
これは流行り病に罹った麻之助が見た夢の話。
疫神が次々姿を変えて麻之助をあの世へ誘う中で、お由有が清十郎の父親に嫁いだ本当の理由を麻之助は改めて知ります。16の頃、尋ねることの出来なかった返事を聞いて苦笑する麻之助です。あの時も今も、彼にはお由有を受け止め守ることができないとわかっているから切ないね

それはともかく、夢の中でもしっかり疫神を出し抜く麻之助って本当はものすご~~く頼もしいんじゃないかしらん

・親には向かぬ
幼い子供を悪名高い高利貸しに預けたのは一体なぜ?
明松屋の身代を巡り剣呑なことになります。幼い跡取り息子を守るため麻之助が親友の丸三を巻き込み一計を案じますが・・・。
これまで麻之助たちの良き相談相手として登場していた丸三ですが、いざという時には麻之助より知恵も力もある「大人の男」の本領を発揮します。


・縁、三つ
婚礼用の白無垢に染みを付けてしまったのは誰?
恋の三角関係といっても、この時代のそれは当人同士の感情だけで動くわけではないところが面倒なところ。
染みをつけた犯人は意外でしたが、結局縁談も流れてしまうのね。事件解決に一役買ったお安と清十郎の関係も動き出します。
今まで縁談相手に好きだと言われたことがないと悩むお安に麻之助は「自分から好きと言うのもいいもんだよ」と助言しますが、この視点を変えてみるというのはかなり重要なポイントよね

・昔から来た文
親友・清十郎の縁談が一向に進まなくなった理由は?
互いに意識し始めた清十郎とお安、の筈だったのに、何故かお安の返事がありません。清十郎の過去につきあった女性たちが書いたと思われる中傷の文がお安に届き、彼女は自分が釣り合わないのではないかと悩んでいたのです。丸三のお妾のお虎も乗り出し犯人探しが始まりますが、どうやらその女性たちではない様子。(振られたことでいつまでもうじうじしていると思うのは男の勝手な己惚れで、女性はそんなに弱くない。それぞれが己の幸せをしっかり掴んでいたのには思わずにんまり


それはともかく、お虎の手引きにより美しく変身したお安を改めて意識した清十郎でしたが、何よりも彼女の心映えの美しさに「長く支え合える一生の相棒」だと気付きます。お安が待ち望んでいたあの言葉も清十郎なら自然に掛けられるのね~
