杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ターナー、光に愛を求めて

2016年01月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年6月20日公開 イギリス・フランス・ドイツ合作 150分

19世紀、英国。オランダ旅行から帰って来たターナー(ティモシー・スポール)は、無事を喜ぶ父(ポール・ジェッソン)に温かく迎えられる。父は絵の具やカンヴァスを調達し、アトリエ兼住居に設けたギャラリーで買い手をもてなすなど、助手としてターナーを支えていた。最愛の父と働き者の家政婦のハンナ(ドロシー・アトキンソン)と仲睦まじく暮らすターナーだったが、世間に隠している娘が二人いた。未亡人のダンビー夫人との間にできた子供だが、二人の関係が終わってからは金銭的な援助もせず会いに行くこともない。大切なパトロンの一人であるエグルモント卿の屋敷ペットワース・ハウスで贅沢な時を過ごしたターナーは閃きを求めてまた旅に出る。船で辿り着いたのは港町マーゲイト。ふらりと入った宿の窓から見える光きらめく海にたちまち創作意欲をかきたてられるターナー。女将のブース夫人(マリオン・ベイリー)は親切だったが、ターナーは旅先では偽名を使うという習慣を押し通す。旅から戻り、創作に没頭していたターナーの元に自然科学者のサマヴィル夫人(レスリー・マンヴィル)が訪ねてくる。知識と教養に溢れた夫人と互角の会話を交わす父。学校教育を受けなかったターナーに、独学で学んだ読み書きを教えたのはそんな父だった。父に似て50代になっても好奇心旺盛なターナーは、夫人が見せてくれたプリズムの実験に夢中になる。ロイヤル・アカデミーの会員にして教授を務めるターナーは、さっそくサマヴィル夫人の実験にインスパイアされた色彩と光についての持論を講義。だが科学と美術を結び付けることなど思いもつかない芸術家たちは、壇上のターナーをただ呆然と見つめるのだった。そんな中、父の持病の気管支炎が悪化、やがて遂に力尽きた父は妻を精神病院で死なせたことを悔やんでいると告白して息を引き取る。優しい父の面影が心を離れず、ターナーは娼館で娼婦をスケッチしながら慟哭する……。年に1度の大イベントであるロイヤル・アカデミーの展覧会が近付く。作品がびっしりと展示された会場を回り、最後の仕上げをする画家たちにアドバイスを送っていたターナーは、自分の作品の隣に並ぶ最大のライバルのコンスタブルの絵を見て、突如完成していたはずの自分の絵に赤い絵の具を塗りつける。笑い出す者、傑作が台無しだと非難する者で騒然となるが、ターナーは思わぬ決着をつけるのだった。ブース夫人の元を度々訪れていたターナーは、夫人と徐々に心を通わせ、人生で初めて穏やかな愛を知る。その一方、彼の絵画は増々大胆かつ挑戦的になっていく。だが批評家が「実に感動的だ」と絶賛すれば、女王陛下は「薄汚い絵だわ」と吐き捨て、ターナーへの評価は真っ二つに分かれていくのであった……。(Movie Walkerより)


イギリスを代表するロマン主義の画家で、後のモネなど印象派の画家たちにも影響を与えたターナーの人生を描いたドラマ。(ターナーを演じたティモシー・スポールはどうしても「ハリ・ポタ」シリーズのピーター・ペティグリューを連想してしまって困りました
映画に登場する景色はターナーの絵そのものです。どちらが絵でどちらが現実かわからなくなるくらいの不思議な感覚。でも、ターナーの絵は素晴らしくても、彼の性格や生き方は理解も共感もできませんでした。凡人の感覚では天才は語れないってことなのかしらん。

精神を病んだ実母に代わり、父親に溺愛されてきたらしいこと。愛人と娘には酷薄だったこと。家政婦についても同様です。反面、ブース夫人に対する愛情深さは誠実な夫そのものといった感じ。このギャップはどこからくるのかしら?最期まで絵に対する執着は持ち続けていて、創作へのモチベーションも高かったこと(冬の嵐を帆船のマストに自分を縛り付けて体感したなどは狂気と紙一重です)。画家仲間の評価も高かったこと。気持ちをストレートに出すことが苦手らしかったこと。そのため誤解を受けることも多かったことなども描かれていました。

物語としての魅力は感じなかったけれど、彼の描く絵の世界観はたっぷりと味わうことができました。

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