2018年11月9日公開 109分
妻に先立たれて18年、娘と二人三脚で家庭を営んできたつもりの佐野道太郎(草刈正雄)だったが、定年退職後、娘(木村文乃)から突然、家事全般を任されてしまう。加えて、娘に結婚を考えている恋人がいることを知り、ショックを受ける道太郎。自由な時間を持て余すため、ひょんなことから地元のラジオ体操に通うことになった彼は、体操会の会長や子どもたち、ご近所さんなど、さまざまな世代の人々と関わりを通じ、それまで知らなかった世界を知っていく。(映画.comより)
定年退職を迎えたシングルファーザーが、ラジオ体操を通じた仲間作りや家庭での主夫業に奮闘する姿を描くハートフルコメディです。公開初日初回を鑑賞しましたが、観客総数5名…大丈夫か??5分違いで上映していた「ボヘミアン・ラブソディ」に取られたかしらん?(実はこっちも気になってます。)
いつもダンディな草刈さんが冴えないおっさんを演じるということでも話題となっていましたが、大丈夫!ちゃんとその辺にいる定年退職で暇を持て余したおっさんに見えました。(褒めてます)
文乃ちゃんは気の強い娘役ですが、ヘアバンドしたショートヘアがとってもキュートで可愛かったです
道太郎の妹役で余貴美子さん、近所の住民みどり役で片桐はいりさんも出演。特にはいりさんのセリフは「おはようございます」くらいしかないという。ちょっともったいないような配役でした
無遅刻無欠勤だけが取り柄のサラリーマンという設定で、退職慰労会の席でも存在感がほぼないのがちょっと切ない導入部。
先に定年となった元上司(平泉成)に誘われラジオ体操に参加したのも義理立てだったのが、気になる喫茶店店主・のぞみ(和久井映見)目当てに入会しちゃうあたり、まだまだ枯れてないじゃん彼女に働かないかと聞かれ二つ返事で引き受けたら、会長がやってる便利屋のお仕事だったというオチも待っていました
会長(きたろう)の「今日もそこそこ楽しくやりましょう」というのがこのラジオ体操会のポリシーなのに、会長の怪我で代理に指名されたのぞみのためにと張り切って逆に会員の反感を買ってしまう道太郎 真面目実直が取り柄の彼の性格が災いします。ラジオ体操の手順を事細かに指図されたら誰だって息が詰まるし運動能力も人それぞれですからねえ
ここぞとばかりに会長の座を狙う輩も現れ、会は分断。さらにのぞみの過去に土足で踏み込んでしまい泥沼化
とどめは娘・弓子の恋人が定職に就かず、好きな天文に明け暮れる便利屋の同僚の薫(渡辺大地)と知り、激怒して娘にもそっぽを向かれてしまう始末。単なる同僚として接していた時は自分の好きな道を行けとか理解ある態度だったのに、こと娘の恋人となると「ふらふら定職もない男にやれるか!」と言っちゃうあたりはまさに「父親」なんですが
四面楚歌な状況はしかし、会長の助言により打開されます。自分の失火で嫁ぎ先を追われた過去をもつのぞみに、置いてきた息子に会うべきと連れ出すんですが、このとき薫が車を出します。 弓子も一緒。現実は息子に拒絶されてしまう(この場面もちょっと切ない)のですが、このことで、逆にのぞみは息子と向き合う決心ができるんですね
離れていった会員を戻そうと、一人ひとりに手紙(カード)を渡す道太郎。実は彼の特技は絵だったという伏線あり。雨降って地固まるという展開で、最後は皆が戻ってきてのハッピーエンドです。弓子が薫の公開プロポーズを受け入れた時も、道太郎は素直に祝福します。
結婚して弓子が家を出た翌朝も、道太郎には体操会の仲間が待っています。やっぱり定年後は地域の仲間の存在って大きいのねぇ~とか思ってしまったぞ