2018年7月1日公開 スペイン=アルゼンチン 108分 R15+
カナダに住むトマス(ハビエル・カマラ)は長年の友人でスペインに住むフリアン(リカルド・ダリン)が余命わずかであることを聞き、フリアンのもとを訪れる。治療をあきらめ、身辺整理を始めたフリアンは、愛犬トルーマンの新たな飼い主を探し、アムステルダムの大学に通う息子の誕生日を祝うためにオランダへ旅をする。その中でフリアンとトマスは、昔のように遠慮のない関係に戻っていくが……。(映画.comより)
余命わずかな男と彼を取り巻く人々の最期の4日間を描いたドラマです。監督、脚本のセスク・ゲイは母親の闘病生活の実体験をベースもとに本作を製作し、スペイン版アカデミー賞といわれる第30回ゴヤ賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞の5部門を受賞しています。
フリアンはマドリードで役者をしています。妻とは離婚し一人息子とも疎遠になっています。肺がんの治療を一年してきたけれど、結果は思わしくなく、これ以上の治療を望まずに人生の区切りを付けようと決めた彼を翻意させようと、フリアンの従妹のパウラ(ドロシス・フォンシ)がトマスにメールし、妻の「今会わなかったら後悔する」と後押しされてトマスはやってきたのです。
親友だけどもう何年も会っていない二人。ですが時間は関係を薄めたわけではないんですね。初めは治療を諦めないよう説得しようと思っていたトマスですが、フリアンの決意を知ると彼に寄り添う選択をします。親友だからこそ互いを理解しあえる、そんな二人の関係がちょっと羨ましくもあります。
フリアンにはやらなければならないことが沢山ありました。その全てにトマスが付き合います。まずは医師に抗ガン治療を止めると伝えること。(もし日本なら「はい、そうですか」と受け入れてくれるのかなぁ?)次に葬儀のための見積もりをもらう事。具体的に説明されて動揺するフリアンを見て「後は自分の携帯に送って欲しい」と業者に言うのもトマスでした。
息子の誕生日が近いことを知り会うよう勧めるトマスに素直に応じるフリアン。でも息子はアムステルダムに留学中なんですねちなみにトマスは裕福でフリアンは貧乏なので、あれこれの費用は全てトマス持ちです。(いやいや、いくら親友でも自分だったらそこまでできないぞ
ついでに飛行機で日帰りの旅も末期患者には辛そうですが
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実は別れた妻が息子にはフリアンの病状と決意は伝えていたのですが、結局この父子はそのことには触れずに別れます。別れのハグで見せる息子の感極まった表情の理由は、彼が全てを知って敢えて黙って父の選択を受け入れていたからなのね
愛犬トルーマンの新しい「家族」探しは難航します。子犬ならともかく老犬を受け入れてくれる人は少ないんですね。たった一日でも別れがたいフリアンの気持ちもわかる気がしました。話はまとまらず、トマスが去る日を迎えるのですが、空港で・・・。フリアンは初めからそのつもりだったのか、二件目の話が流れた時点で決めたのか、どっちかな
家庭円満なトマスが最後の夜をパウラと過ごしたのは、男女の愛というより、悲しみを抱えた同志の慰め合いのような感情でしょうか。 このシーンがあるからR15+指定なのかな
初めはトマスがフリアンに振り回されているように感じたのですが、親友の決意を受け止めさりげなく助力するトマスを見ているうちに、男同士の友情って、なんか良いなぁと思ってしまいました。(経済力あってこそ、だとも思いますが
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