2018年4月6日公開 アメリカ 117分
1977年、ミネソタ州ガンフリント。12歳のベン(オークス・フェグリー)は、母エレイン(ミシェル・ウィリアムズ)を交通事故で亡くし、伯母の家で暮らしている。父とは一度も会ったことがなく、母は「いつか話すから」と言いながら、なぜか父の名前すら教えてくれなかった。ある嵐の夜、母の家に秘かに戻ったベンは、「ワンダーストラック」というニューヨークの自然史博物館の本を見つける。中にはキンケイド書店のしおりが挟まれていて、「愛を込めて、ダニー」と記されていた。きっと父親だと直感して書店にかけようとした電話に、雷が落ちてしまう。病院で意識を取り戻したベンは耳が聞こえなくなっていたが、父親を探すためにニューヨークへと旅立つ。何とかキンケイド書店を見つけるが、店は閉店していた。途方に暮れたベンは、声をかけてきた少年ジェイミー(ジェイデン・マイケル)のあとをついて行き、自然史博物館に辿り着く。
1927年、ニュージャージー州ホーボーケン。生まれた時から耳の聞こえないローズ(ミリセント・シモンズ)は、大きな屋敷に父と使用人たちと暮らしていた。支配的な父とは心が通わないローズにとって、女優のリリアン・メイヒュー(ジュリアン・ムーア)の映画を観て彼女の記事を集めることだけが心の支えだった。ある日、リリアンがニューヨークの舞台に出演すると知ったローズは、彼女に会いに行こうと決意し、ひとりで船に乗る。兄のウォルター(コーリー・マイケル・スミス)が働く自然史博物館にも行ってみたかった。ローズはリリアンが稽古中のプロムナード劇場を探しあてるのだが──。
1977年、父親が自然史博物館で働くジェイミーに、立ち入り禁止の資料室へと導かれるベン。そこでベンは、母と“ダニー”の出会いにまつわる書類を発見する。果たして、ダニーがベンの父親なのか? 彼は今どこで何をしているのか? その先には、ローズが鍵を握る、さらなる謎が待ち受けていた──。(公式HPより)
ブライアン・セルズニックの小説の実写映画化で、自ら脚本も手掛けています。2つの異なる時代が交互に描かれまが、ローズの時代は白黒のサイレントで、ベンの時代はカラーの音声付で区別されているので、二つの物語がこんがらがることはないのは嬉しいな。 ローズ役の子は自身も聴覚障害を持っているそうです。
ローズが家を抜け出して映画を観たり、新聞を切り抜いて集めたりして憧れる女優は、実は彼女の別れた母親だったんですね 両親の離婚は母が女優ということもあり世間的にはスキャンダルです。父親が娘に禁ずるのもその辺の大人の事情なのでしょう。兄の住むNYの舞台に彼女が出演すると知って、ローズは家を飛び出し会いに行くのですが、母は歓迎してはくれませんでした。控室に閉じ込められて憤慨したローズが外に抜け出した先は兄の働く自然史博物館。
一方、ベンも父親かもしれない人物を探してNYへやってきます。お上りさん状態の彼は早速財布の現金を盗られてしまいますが、ジェイミーと出会い自然史博物館へやってきます。家に居場所がなく友人もいなかったジェイミーにとってベンは初めてできた友達。ベンにキンケイド書店が廃業したのではなく移転していることを伝え損なったのも、ベンと別れたくなかったからなのね
ささいな行き違いからジェイミーと険悪になったベンは一人でキンケイド書店へ向かいます。そこで出会った婦人(ジュリアン・ムーア)と書店主は手話で会話し、彼女はローズと呼ばれ・・・ここで二つの物語がようやく交わるんですね
二つの時代の差から推察できるように二人には血縁関係がありました。ローズの息子が愛したのがベンの母親だったんですね。ローズの夫と息子が同じ病で早死にしたという設定を知り、「ベン、大丈夫か~~?」と思ってしまったけど余計なお世話ですね
ベンを心配して後をつけてきたジェイミーとも再会。それぞれが求めていたものを得たのだろうなと思わせる結末でした