2007年11月9日(金曜日)
今日の各新聞の福井県版では、
株式会社整理回収機(RCC)が、
キンキクリーンセンター(KCC)の
ゴミ御殿を5億9900万円で落札したという
ニュースが大きく取り上げられている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
【競売落札で安堵の声】朝日新聞
敦賀市樫曲の民間廃棄物最終処分場に
全国最大規模のごみが違法搬入された問題で、
多額の負債を抱え競売にかけられた
処分場経営会社「キンキクリーンセンター」
(2月に破産)の元役員宅の土地・建物などの
開札が8日、福井地裁敦賀支部であり、
最大債権者の整理回収機構が5億9900万円で
落札することになった。
建物は指定暴力団山口組の傘下組織の組員が
一時占有していただけに、
同機構は「社会的使命が果たせた」としている。
地元住民からは安堵(あんど)の声が漏れた。
開札後、同機構の狩野省市専務ら
3人が県庁で会見した。
売却基準価額(約9600万円)の
約6倍の金額の入札について
「再び暴力団の手に渡らないようにするため、
法的制度を駆使して最大限可能な額を
入札した」と説明。
同機構が将来的に受け取りを
見込める債権の配当と、
落札物件の売却益を考慮しながら、
税金を投じて国民の負担が生じることがない
「ぎりぎりの範囲」で
最高額を算定したという。
狩野専務らは「不良債権の回収と企業再生が
進む中で、残った難しい案件を暴力団関係者と
対抗して処理できるのは、
整理回収機構しかない。
今後も同様の事案があれば使命感を
持って取り組んでいく」と話した。
元役員宅とともに、
暴力団関係者が出入りしていた隣接の
「迎賓館」と呼ばれた建物も、
数カ月以内に解体して更地にされる。
狩野専務は「豪華な建物がなくなれば
暴力団関係者も執着しなくなり、
土地は市場で売却できる」と力を込めた。
同市樫曲の同社の廃棄物最終処分場には、
許可容量(9万立方メートル)の約13倍の
ごみが違法搬入された。
汚水流出を防ぐため遮水壁を設けるなどの
抜本対策事業には、国、県、同市が
約102億円の公費を投入することになる。
処分場の土地の抵当権者でもある同機構は
「処分場の問題は、県や市と協力して
早急に解決したい。
土地は将来的に県民の負担がない形で
県などに譲りたい」と説明した。
計約2800平方メートルの敷地に
立つ豪華な元役員宅や「迎賓館」は、
現在も宅地化が進む静かな住宅街の中でも、
ひときわ目立つ存在だ。
敷地付近に住む主婦の一人は
「周辺に黒塗りの車がずらりと
並ぶことがあった」と顔をしかめた。
同機構が落札するめどが
立ったことについては
「またどんな人が来るかと怖かったので、
良かった」と安堵した様子で話した。
ところでRCC整理回収機構ってなに?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
1.名 称 株式会社 整理回収機構
英文名称:
The Resolution and Collection Corporation
(略称:RCC)
2.設 立 平成11年4月1日
3.沿 革 (1) 平成8年7月26日…
(株)住宅金融債権管理機構 設立
(2) 平成8年9月2日…
(株)整理回収銀行(略称;RCB) 発足
(平成7年1月13日設立の
(株)東京共同銀行を商号変更)
(3) 平成11年4月1日…
(株)整理回収機構 発足
(上記2社が(株)住宅金融債権管理機構を
存続会社として合併)
4.本部所在地
東京都千代田区大手町2丁目6番2号
日本ビル
(本店所在地 東京都中野区本町2丁目46番1号)
5.資本金 2,120億円
6.株 主 預金保険機構
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実は、このRCC、こんな一面もある。
(朝日新聞2007年4月8日朝刊)
【破産させ、債権回収
ホテル・旅館を処理 整理回収機構】
不良債権を銀行から買い取って
貸付金を回収する整理回収機構が、
借り手の会社や経営者ら個人を破産させて
回収を急ぐ姿勢を強めている。
立て直しが遅れるホテル・旅館の処理に
使うケースが目立つ。
機構は「営業譲渡を迅速に進めるため」
と説明するが、
売掛債権を帳消しにされる
出入り業者などから
「機構は身勝手だ」との批判も出ている。
(編集委員・山田厚史)
整理回収機構は2月15日、
栃木県日光市川治温泉にある柏屋ホテル
(片山則夫社長)への破産手続き開始を、
宇都宮地裁に申請した。
機構は直接の債務者であるホテルに加え、
片山さんと、母で女将(おかみ)だった
片山芳子さんにも、連帯保証を理由に
個人破産を申し立てた。
「突然でビックリした。
85歳の母までとはひどすぎる」。
同地裁が即日保全命令を出し、
社長も解任された片山さんは言う。
芳子さんは心労からホテルに隣接する
住宅で寝込んでいるが、
立ち退きを迫られている。
柏屋は1926年創業の老舗(しにせ)旅館。
地元の足利銀行からの融資で
94年に新館を建てたが、
バブル崩壊で経営が悪化。
05年に19億円の債務超過に陥った。
片山さんは東京の住宅など
私財を売り6億円を返済。
だが、足利銀の経営破綻(はたん)で
残債28億円は機構に売られた。
●「ハゲタカ」と、地元ため息
ホテルの出入り業者には、
「2月14日以前に発生した債務の支払いは
できません」とのFAXが届いた。
業者の会の内田晃代表は
「事前に何の相談もないまま、
FAX一枚で債権カットとは
あんまりだ」と憤る。
客足の遠のく冬場は売掛金の回収を控え、
5月の連休明けに払ってもらうのが慣行という。
大きな旅館に地域経済がぶら下がっている。
長年食材を納める業者の一人は
「破産で業者の債権を帳消しにして、
自分だけうまい汁を吸う。
まるでハゲタカです」という。
批判に、機構の山川隆久・常務執行役員は
「破産は事業再生のため。今後の展開を
見て判断してほしい」と反論する。
石川県の山代温泉や宮城県の遠刈田温泉でも、
旅館を破産させて営業譲渡した
実績があるという。
ただ、柏屋は、営業を続けながらの
破産手続きという初のケースだ。
破産の手法を採った理由として機構は、
(1)時間がたつと設備が劣化し
営業が困難になる
(2)旧経営者(片山さん)の
協力が得られなかった
(3)妨害を排除し迅速に処理する、
などを挙げる。
柏屋が税金を滞納し、
税務当局が預金や売掛金を
差し押さえる可能性もあるため、
手続きを急いだという。
柏屋は、ホテルの営業を昨年2月から
運営会社「湯けむりの里柏屋」
(平田正春代表)に委託し、
倒産しても引き続き
稼働できるようにしていた。
破産手続きで転売への障害がなくなると
見ていた機構は、「湯けむりの里」に
ついても破産を申請するなど、
事態は泥沼化している。
湯けむりの里の代理人・高橋直弁護士は
「事業再生というが、
機構は資金回収が目的の会社。
自分の取り分だけ増やすのは問題だ」
と批判する。
国会でも「公的機関なのに、
債務者の人権を
脅かすような取り立てをしている」
との批判が出された。
河村たかし衆院議員(民主)は、
「連帯保証人まで個人破産に追い込むのは
破産の乱用だ」などとして、
機構の回収方針をただす
質問主意書を昨年12月、提出した。
機構は06年まで7年間に、
元本4兆460億円の債権を1割未満の
3557億円で買い入れた。
これを高く転売して7年間に稼いだ差益は、
1747億円に上る。
機構の利益は国庫に入る。
「病人の布団をはぐような回収はしない」
(中坊公平・初代社長)という方針から外れ、
収益追求に走りすぎている、
と指摘する関係者は少なくない。
<訂正>
8日付「整理回収機構、破産させ債権回収」の
記事で、高橋直弁護士のコメントとした
「事業再生というが、
機構は資金回収が目的の会社。
自分の取り分だけ増やすのは問題だ」の部分は、
椎名麻紗枝弁護士のコメントに訂正します。
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「ハゲタカ」は小説にもなり
テレビドラマにもなったので、
見られた人も多いのではないだろうか。
まぁ、結末はめでたし、めでたしだったけど・・
ほかにも、人権派弁護士としても
また、香川県豊島のゴミ問題でも
大活躍した中坊公平氏は、実はこの
整理回収機構の元社長。
中坊氏が弁護士廃業宣言をしたのは、
平成15年10月。
メディアが大きく取り上げたことで
つとに有名。この中坊弁護士、
RCCの社長在任中に、
旧住専の大口債権者である
朝日住建の土地の売却をめぐり、
抵当権を持っていた、明治生命(当時)と
横浜銀行に対して、本当の売却価格を伝えず、
RCCが余分に回収したことが
「詐欺」だと告発されたのだ。
東京地検特捜部が「起訴猶予」としたことの
責任をとって、弁護士廃業を表明した。
「起訴猶予」というのは、犯罪事実は
あるが起訴するに値しないという場合
に用いられるそうだから、
手弁当で、豊島のゴミ問題に取り組む
人権派弁護士だと心底、
思い込んでいただけに、この報道には
ショックを受けた。
敦賀のゴミ問題で、なんとか
協力をお願いできないかと、
中坊さんの弁護士事務所に
押しかけたこともあったので、なおさらだ。
はてさて、RCCが落札した
KCCのゴミ御殿・・・
いったいどこに転売されるのだろうか・・・
RCCは救世主なのか
やっぱり「ハゲタカ」なのか・・・
今後の動向が注目される。