日中も風が強かったけれど、
夜になったらボロ屋が揺れるぐらいの強風になった。
夕方、タミヨさんから電話が入り、買い出しを頼まれた。
ジャガイモ、ニンジン、カボチャに玉ネギ、
キャベツにピーマン
キュウリにナス、鶏の胸肉・・・
重い!!!!!
カートに積んだまま駐車場の車まで運んだ。
カートから降ろすのにも一苦労・・・
背が低いってのは、こういう時に苦労する。
これだけの食材を、タミヨさんは
ほぼ1週間で食べつくすのである。
たったひとりで・・・
そりゃ長生きするわ。
で、5月から週一で、デーサービスに行くようになったし
ますます元気になるんやろな~・・・
夜、タミヨさんから電話があった。
コロナワクチンの予約、とれたで・・・
自分で電話をして予約したという。
簡単にとれたで・・・
ワクチンを接種しようと決意したのは、
わたしや健さん、孫たちなどなどをおいて先に死ねん!
タミヨさんの叔母は105歳まで病知らずで生き抜いたから
95歳のタミヨさんには、あと10年ある・ある・ある!
タミヨさんはずっと市立病院にかかっている。
内科と泌尿器科と整形外科だ。
コロナワクチン接種の予約券が届いたので、市立病院の
担当課へワクチン接種を受けてもいいかどうか電話をしたらしい。
泌尿器科と整形外科では、看護師さんから折り返し
「大丈夫です」と電話があったという。
看護師さんはちゃんと自分の名前を告げてから
話をしてくれたとのこと。
で、やっと内科から電話が来たそうなんだけど・・・
内科からだと言いながら名乗らなかったので
「看護師さんの名前を教えてください」と言ったら
「交換手です」
「あなたの名前を教えてください」
「交換手ですから・・・」
というやり取りが繰り広げられたんだそうな。
タミヨさんは、もし仮にワクチン接種して
なんかあっても「言った・言わない」になって
病院はだれも責任問われんわ!
と、かなり怒っている。
で、「今大地の母親や!って市役所に電話しょうかな・・・」
「あっ、あかんわ。あんた、市役所で嫌われとるもんな」
「まあな・・・先妻の子やしな・・・」
って、余計な一言で相変わらず、
人をイラつかせるタミヨさんである。
タミヨさんのご先祖が残した土地が売れて
相続人の一人だったタミヨさんにもお金が入ってきた。
土地の売買で得たお金の40%は税金で消えてしまったけれど・・・
加えて医療費の負担が3割になり、介護保険料も増額になるなど
出費の額も増え続けている。
タミヨさんは、風呂のガス給湯器を取り換え
エアコンを付け替え、補聴器も買った・・・
せっかく入ってきたお金は、瞬く間に消えていってしまった。
まあね、わたしのお金じゃないしタミヨさんのものだから
文句を言う筋合いじゃないけれど・・・
で、税務署から「確定申告をしてください」という通知が
来たのである。
午前中に税務署へ出むき手続等について話を聞きに行った。
ところが受付で整理券を渡され、けっこう待たされてしまった。
申告期間が1か月延びたとはいえ、たくさんの人が待っていた。
対応してくれた職員さんはとても親切で、そろえる書類などについて
事細かく教えてくれた。
この確定申告で、少しはお金が戻ってくるといいのだけれど・・・
金銭感覚とか経済観念などというモンが
まったく身についていないタミヨさんと健さんは
今日も、ふたりでお買い物だったらしい。
ふたりでなかよく、わたしの悪口を言いあいながら・・・
「あの子に、買い物頼むと安モンばっか買うてくる」
と、タミヨさんがグチってたそうな。
実は、きのうタミヨさんから買い物してきてほしい・・・
と、頼まれていたのだが
今日、電話があって言うことにゃ
「健ちゃんといっしょに行くさけ、あんたはええわ」
だって・・・
まあね、わたしとしては相性の悪いタミヨさんと
買い物に行くのは御免こうむりたいから
健さんにはひたすら感謝・・・である。
午後8時過ぎ、タミヨさんから電話がかかってきた。
テレビのリモコンが見当たらないという。
アンタ知らんか・・・って、知っとるわけないやんか。
今すぐ探しに来いという。
やりかけの仕事を放りだして、タミヨさん家へ向かった。
ゴミ箱まで探したのに見つからんから
パニックおこしそうや・・・
もう探すとこないし・・・
と、キーキー声で叫ぶタミヨさん。
で、わたしはすぐさまキッチンの蛍光灯をつけてみた。
電気炊飯器の上に、鎮座していたのであるリモコンが・・・
タミヨさんをキッチンに呼んだ。
あらまあ・・・誰やろこんなとこに置いたの・・・
(って、あんたしかおらんし)
(リモコンが歩いていくわけないし)
と、声を出さずにつぶやく。
まさかアンタやないやろな・・・
などとのたまうタミヨさん。
あくまでも自分のせいやないと言いたいらしい。
帰り際にメモを渡された。
健ちゃんに渡しといてや・・・
明日からのアッシーの予定表や。
4日連続!
アッシー健さんも大変やわ。
健ちゃん、かわいそうに・・・とタミヨさんが言う。
なんで、かわいそうやねん?
アンタんてな、女と一緒になって・・・
はあ?
アンタ、健ちゃんのことホッタラカシにしとるらしいな
あんなやさしい人、おらんで・・・
あんなぁ、ウチはかわいそうやないんか?
アンタはかわいそうやない! こづら憎いんや・・・
テニャワンこと、ズケズケ言うし
ようアンタんてな女と一緒におるわ・・・
言いたいほうだい、のたまって眠りにつくタミヨさん。
アンタにだけは言われとうないわ・・・と
言うわたしのツブヤキはきっと、聞こえていない。
94年も生き続けてきた化けもんには、
何を言っても通じない・・・
やっとタミヨさんの車を廃車にしてもらった。
今日、引き取りに来てくれた。
これで車検の費用がいらなくなったことが
なんてたっていちばん、ありがたい。
もちろん、事故の心配も・・・
免許証はとりあえず
写真付き本人確認のために、返納しないことにした。
車がないとホンマ、不便や!
いちいち、健ちゃんに頼まなアカンし・・・
アンタは、電話にでんし・・・
と、タミヨさんのグチはいつまでも止まらない。
今回の件で、いちばんの被害者は健さんである。
食料の買い出しや、通院の送迎に講座の送り迎えなど
ひんぱんに、
アッシー君として駆り出されることになったからだ。
さすが! 健さん!
わたし以外の女には、94歳のババアにでもやさしい!
と、言ったら、
案の定 切り返された。
アンタは、女やない!