
土曜日の授業を担当させて頂いております岩田です。今年、始めてアトリエミオスの秋の展覧会を拝見させて頂くことになりますがどのような展示になるのか楽しみです。それに向けて今から作品を制作されている方もいらっしゃると思いますががんばってくださいね!
今回ご紹介させて頂きます作品は午前のクラスにいらっしゃっている小林さんの描いた油彩です。全体的に緑系の色を主体としたダークな色調の中に浮かび上がる顔はヒトラーですね。
一般的にこのあまりにも有名なヒトラーという人物から受ける印象は、ネガティブなものだと思いますし、この絵自体の色調も決して明るいわけではないのですが不思議とそれらの要素とは、相反するようなポップな印象を受けます。
西洋を起点とし、現在まで脈々と続いている油絵という表現方法を用いながらもどこかイラストのような軽快さを感じさせてくれます。それらのバランスがかなり絶妙です。
ご本人の油彩の作品としては2作品目になりますが前回は、キャンベルスープをモチーフとした連作を制作されていました。
前回と今回の作品を拝見させて頂いたり、直接お話しをさせて頂くと、普段からデザインやアートなど、色々なものを見ていらっしゃるんだなという事を感じますし、その中から取捨選択をし、どのようなものが好きなのかという事をちゃんと把握されているんだなあということも感じます。
そういった上で、小林さんはご自分の絵を描かれる時もその延長線上の視点にしっかり立ってモチーフ選びから始めていらっしゃるのではないでしょうか。
そしてさらにもう1つ、もしかしたら「こんな空間に飾る」とか「この壁に飾る」といった事までビジョンにあるのではないかなとも感じます。そのぐらい、制作している途中もご自分の絵を客観的に見ているのでは?という印象を受けます。
これは言ってみれば、1枚の絵を描いていながらも自分が「制作者」であり、尚かつ「鑑賞者」であるという事だと思います。
こういった、自分の描いている絵をもう1人の自分が鑑賞しているという視点を持ち、制作をすることで、この絵はこのぐらいが止め時かなとか、もう少しここに手を入れようかなといったバロメーターになるかもしれませんね。