モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

伝わるこころ

2014-09-07 09:07:36 | 大人 油絵・アクリル
Asabanako麻場 油彩

大人クラス第1、第3土曜日の京谷です。
10月の展覧会へ向けて、皆様まさにラストスパートをかけていらっしゃるアトリエです。
それぞれにテーマをもち、試行錯誤されながら、自らの作品に対峙していらっしゃる姿に、私も毎回刺激を受け励まされております。

そしてまた、一点の作品が仕上がりました。麻場さんの油彩作品です。
絵画に限らずですが、何かを創作する時には必ずといってもよい程に、作者自身の人となりがにじみ出てくるものだと思っています。そして、制作活動そのものには、人間の感情の浄化作用もあったりして、作者が作品のなかに込めた「想い」というものを、第3者が受け止めて分かち合える素晴らしさがあります。長いこと心のなかにあり、言葉では言い尽くせないでいる感情は、自然にどこかへ消えてなくなるものではないでしょう。いつか必ず向き合う時がやってくるのだと思います。

大切にされていた愛猫の死。
そのような出来事が、この作品の背景にあります。主役である猫は、麻場さんにとっては特別な意味を持って存在しています。画面全体の設定(月、キンモクセイ、静かな海、なだからな丘)や、色調や光は、すべて麻場さんの心の代弁です。静かに時が流れている。沢山の思い出がこの作品には詰まっているのです。ひとつひとつの筆のタッチにも、この「想い」が込められているのを感じます。とても優しい作品なのです。

青い色調については、麻場さんにははっきりとしたビジョンがおありだったようです。画面のなかの世界に統一感をもたせるために、あれこれと描き直したり色の調整をしていらっしゃいました。特に印象深かったのは、そろそろ仕上げも近付いたころ、猫の見つめる先に位置する対岸の山々の細部描写のため、手前の丘にも使われた色をほんの微かなタッチで加筆した時のことです。急に奥行き感が出て、風景に「一体感」がでてきたのです。まるで、猫の存在する場所と、わたしたちの場所がつながったかのような印象でした。

なにかを伝えたい。これは、制作活動の原点であると思っています。


追伸:私事となりますが、現在開催中の企画展のお知らせです。
大阪アートコートギャラリー企画・「アートコートフロンティア2014#12」に出品しております。
遠方ではありますが、もしも万一お近くまで御用の際は、是非是非お立寄り下さい!


コメント (4)
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