追川 油彩
自分の目に見えるものを見えた通りに描く近代絵画を、「網膜的」と批判したマルセル・デュシャン。「観念としての芸術」つまり、絵画に本来あるべき「精神性」や「哲学」を喪失してはいけないと唱えた人です。
さて追川さんのこの2枚の絵はどうでしょう?
画面の中に無限の距離感や空間性が混ざり合い、ミステリアスというより、眩暈がするような不安な要素が散りばめられ、足元が、いえ、頭の中がすくわれるような気がします。
黒を基調としながら、下地にショッキングピンクを置いているあたり、「綿密な実践作業にちゃちなアドバイスは不要です!」と、挑戦状を突き付けられているような気持ちで見守らせて頂きました。
目に見えないものを深化させた、この問題提起な絵画。うっかり不可解な詩集を手に取ってしまい「さてどう読み解くのが正しいのか?」自らの陳腐なイメージを試されているようで恐ろしい…というような顔になった皆さん。この絵を前にしてどんな感想を唇からこぼしますか? オバラ