モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

同じモチーフでも

2023-08-09 20:20:00 | 学生


萌恵 / 綾里  高3

夏休みが過ぎるの早すぎない…?と感じています。マユカです!今回は美大受験を控える二人のデッサンをご紹介していきます。

どちらも良く描けていますね。ガラスの固有色や反射、ガラスの厚みを出すためにもう少しがっつりとB系の鉛筆を使って暗さを乗せてもいいかなとは思いますが、描写が丁寧なのであまり気になりません。
ちなみに左のデッサンはデザイン系の学部志望、右は油画の学部志望…と、同じモチーフを見ながら描いても、画面の構成はこんなにも違います。

デザイン系のデッサンの方は、モチーフを描くというよりは、モチーフ同士の間隔や空気の厚みといった、空間そのものを描いていきます。ライバルたちと構成が似てしまうので、どうやって差をつけるかを見つけるまでが難しいのですが、求められているものが「見ている人に情報を伝えるもの」であるため、画面内にどのようにして置いてあるモチーフなのか、雰囲気をいかに表現するかが構成のカギになってきます。

油画科はモチーフ固有の素材感や特徴を活かし、形、色、イメージなどを捉えて描いていきつつ、自分らしさを大切にします。奇抜な発想や大胆な絵作りが好まれ、如何に目立たせるかどうかを考えるのが難しい所です。求められていることが「描いた人が感じた面白さ・感動を伝えること」であるため、どれだけ豊かな発想ができるかが重要ですが、それだけに振り回されず時間配分に気をつけることが大切です。

これらを踏まえて改めて2人のデッサンを見てみると、左は5つの形の違うガラス製品が置いてあるのでしょう。手前の寝かせてあるガラス製品がプラスチックの筆箱っぽくなってしまっている所と、光の向きが分かりづらいですが、全体的に丁寧に描写されているため質感はしっかり伝わってきます。
右のデッサンは奥にある瓶が手前のグラスに映り込んでいる様を描いているのでしょう。実際に見えている瓶と、グラスの奥に透けている瓶の描き分けにあまり差を感じず、金属のグラスに反射しているように見えてしまいますが、これだけ大きく拡大されたガラスの質感をしっかりと描いている為、ずっしりとした重さを感じます。

選ぶ学科によって色彩の画材はもちろん、デッサンの試験も変わってきます。今はたくさん時間をかけてデッサンの練習ができますが、本番は時間に限りがあり、それもかなり短い(約3時間から6時間)です。その中で構成を考え、下書きに描きこみに…と、焦ってしまいそうになるかとは思いますが、一番大切なのは練習通りに落ち着いて描くことだと私は思っています。本番でも、このくらいしっかりとした描写を心がけてくださいね!

コメント
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