加藤 顔彩
岩田です。今回は、加藤さんの静物着彩をご紹介します。
こちら、定番のモチーフ。対象をしっかり見て描いていますね。
金属、ガラス、貝など其々の質感までも良く感じられ、作者自身が楽しんで描いているなーというのが伝わってきます。
写実的にモノを描く場合、描画材が何であれ、描いていると、絵の具が”目で見ている対象そのモノ”に変わる瞬間があります。
描き始めて暫くは、当然ながら、絵の具で描いているなあと自分でも感じているのですが、全体的に色を置き、徐々に細部に行くにつれて筆を画面に置くスピードもゆっくり且つ慎重になってくると、遂にその瞬間が訪れます。これこそが、写実の真骨頂です。
加藤さんも多分、その瞬間に魅了されている一人です。
特に奥に描かれた茶色っぽい花器は模様などがあり、中々一筋縄には描けるものではありませんが、ここまでそのものらしさを良く出せたなあと感心していまいます。
しいて言えば、あとは「空間」と「影」でしょうか。
コーヒーミルの縁の前後の空間、貝の縁などモチーフそれ自体の中に空間性を出せるともっとリアリティは増してきます。そしてモチーフによって、台上に投影される影にはもっと違いがある筈です。影もモチーフ一つとして扱う気持ちを持って挑んでみて下さい。