植松 油彩
岩田です。本日は、植松さんの作品をご紹介します。
こちらは、アフリカ象が土煙を上げて走っている姿。6号の油彩ですが、迫力を感じさせる1枚です。
全体の色の構成もブルーグレーの空にオーカーとアンバー系の大地がとても美しく響き合っています。主役の象を見ると、影側には空の色を、光が当たっている側には大地の色を反映させることで、背景とも親和性を持たせているのと同時に、背景を出来るだけぼかしながら、逆に象の鼻のごつごつとした質感を描き込むことで、見せたい部分にしっかりピントを合わせています。
主役と背景の関係性においては、非常に上手くまとめられている作品ですが、ここからもう一歩突っ込んで、視点の誘導ということを視野に入れ作品を構成していくと、より奥深い作品になっていくと思います。
最初に鼻の質感を見せて、次に鼻先へと向かって土煙の様を楽しませてくれるまでは良いのですが、鑑賞者としては、次は是非背景も楽しみたい。
そうなった時に例えば、先ず左に目を行かせるのか、はたまた右か、となると土煙を左右同じようにぼかすのではなく、どちらかの描き込みを多少強くして視点をそちらに誘導し、その上の大地のコントラストをやや利かせながら色合いをより美しくし、更に奥のグリーンと空へ・・・といった具合に背景へと繋がる道筋を作っていくのです。
でも、決してわざとらしくならないようにすることがポイント。そんな感じで自身が鑑賞者になったつもりで、全体を構成してみて下さい。