モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

観察力と客観視

2025-01-30 22:57:10 | お知らせ


置田 油彩

こんにちは!マユカです。今回は置田さんの作品をご紹介していきます。
海外情緒あふれる表情の2枚。どちらも洋画のワンシーンや映画ポスターを描写したものです。洋画の特徴として、豊かな表情でのコミュニケーションがありますが、その活き活きとした表情筋を上手く画面に写しとれています。顔がメインの作品になってくるため、細かなバランスや陰影のつけ方に置田さんのこだわりを感じます。肌に使われている色や重ね方からも自然な立体感を感じ、人の顔の描写に手馴れている雰囲気を感じます。これらの映画を見たことのある方であれば、そのセリフやストーリーなどを思い出すことが出来るのではないでしょうか。

始めに目に飛び込んでくる情報が強いため、絵の「顔」を見てしまうと満足感を得ることが出来てしまうのですが、メイン以外は目に入らないだろう...と手を抜いてしまうと、日ごろよく見るものなだけあってバランスの違いなどがすぐにばれてしまい、かえってそこが目立ってしまうこともしばしば。顔だけ描ければいい!というわけではない扱いの難しいモチーフなのです。
しかし置田さんの作品はそれがなく、例えば左の作品であれば、ただ黒を混ぜるだけだと緑っぽくなってしまう影色が、茶やオレンジを混ぜたような色身を使うことで黄色の上着の影色が自然なところを見るに、観察力の高さが伺えますし、右の作品であればニット帽の高さや幅なんかは顔に近い部分であるため骨格などが気になりがちですが、それも違和感なくスッと見ることが出来ます。肩の位置が見えない分、手の場所を調整するのが難しそうですが、なんだか絵の外に書かれている部分も脳内で補完できてしまいそうなほど、自然な描き方が出来ています。

観察力は、モチーフを見て理解するだけではなく、背景やパーツと比較して調節していくような「違和感に気が付く力」も必要になってきます。自分の絵を客観的に見ることが出来ればより実物に近づけて描く力が付いて行くので、なんだかうまくいかない時には少し立ち止まって自分の絵をじっくりと見直す時間を作ってもいいかもしれませんよ


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