金澤 油彩
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、金澤さんの油彩作品です。
初めての油彩で、ガウディ建築のグエル公園を選択されるとは、素晴らしいチャレンジ精神だと思います。複雑な建築物の細かい所まで、詳細に描き写されているところに脱帽です!茶色系の建物が並んでいますが、どれもそれぞれ違う色で塗り分けられ、きっとパレットが絵の具で埋まるほど色を作られたのでしょう。壁の細かい模様も、点描画の様に色を置いて表現しています。また、左奥に赤い建物がありますが、この赤が茶色と白の建物の中で良いアクセントになっていますね。これだけ色作りが多彩ですので、細部まで見応えのある1枚となっています。
生クリームのように乗っている白い装飾も可愛らしいく、なんだか豪華なケーキの様にも見えてきます!一番目立つ白と青の塔も、陰影の色の入れ方に苦戦されていましたが、その苦労の甲斐もあり存在感のある仕上がりとなりました。中央の大きな窓を持つ建物も、陰影によって丸みを帯びた壁の形が伝わり、ガウディ建築独特のまろやかな形の特徴が捉えられています。見慣れない建物でもどんな姿をしているのかこの風景から分かりますね。
何より画面全体の描き込みのバランスがお上手です。空は絵の具を薄くフラットに、建物は色や形を捉える為に絵の具をたっぷりと乗せ、手前の植え込みはメインの建物を目立たせるためにざっくりと明暗と色彩を追うだけに留め…メリハリを付けた効果から、描きたいものの順位が作者の中でハッキリとしていたことが分かります。
作者的にはまだまだ窓や細部を描き込みたかったと納得がいかない部分もあったそうですが、隅々まで手を抜かず、堅実な制作姿勢に好感が持てます。初めての油彩では絵の具に戸惑ったでしょうが、描き進めていくうちに混色や筆の動かし方など色々気づきがあったかと思いますので、次回はもっと思った通りに描きやすくなっているでしょう。次回作も楽しみにしております!