水初めて涸る頃土竜は土に
みずはじめてかるころもぐらはつちに
いつの間に秋の訪れわが身にも暦みしとき俄かおもほゆ
二十四節気は一年を24等分した期間のことで、約半月ごとに変わる。
七十二候とは、二十四節気をさらに約5日ずつの3つに分けた期間のことで、初候・次候・末候に分けられる。
陽暦九月(和風月名 葉月)の仲秋は、白露の始まる日から秋分の始まる日の前日までを言う。
秋分の末候が、水始涸(みずはじめてかるる)で2022年10月3日からの5日間を言う。
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稲作が盛んな日本では、水田の水を抜き、稲刈りに備える頃と解釈されていますが、七十二候の原点とされている『礼記月令』や『淮南子』では「陰気益々強くなり水涸る」として、乾いて枯色になった秋の情景そのものをさしています。
湿気の多かった夏が終わり、みずみずしく茂っていた草木も潤いを失い、どこかもの侘しく、乾いた雰囲気が漂っています。
日本人は四季の中でも晩秋をもっとも尊び、閑寂の中に漂う「もののあはれ」に、奥深い豊かさや美しさを感じてきました。
水そのものが涸れてしまうわけではありませんが、水辺にいけば、秋の風情がたっぷりと味わえます。
ぜひ水辺の枯れ色をみてみてください。
秋は、生々流転の命の季節。盛んに鳴く虫たちは地中に卵を残して静かにいのちを終えていき、くさぐさもさまざまな形で種を残し、枯れてゆきます。
水面に浮かぶ浮き草たちも、色づき始めています。
落水させるのは通常、出穂後約30日、稲刈りは40〜 50日後とされていますが、稲が実って美味しくなるのは、この水を切ってからの登熟期間で、秋の残暑が欠かせません。
お米は日中の気温が高く、夜は冷えこむ方が美味しくなります。うちの田んぼも無事に実るだろうか、と最後まではらはらしますが、毎年、残暑の強い陽射しのおかげでなんとか実ってくれています。