先日テレビを見ていたとき、出演者のひとりが「ラタトゥイユ」と口にしたのを聞いて、最初にその言葉を知ったのは20歳そこそこくらいだったかな・・・
と思いました。
今ではポピュラーな洋風の野菜の煮込み料理だけれど、当時は聞いたことも見たこともない料理だったので、本でその名を目にしたときは
いったいどんな料理なんだろう・・・と想像力を駆使して考えたものです。
その、ラタトゥイユを私に教えてくれたのが、クニエダヤスエさんが書かれた本でした。
クニエダさんはうちの義母と同い年生まれ。
私の親はもう一回り年上ですが、クニエダさんは言わば親世代にあたります。
でも本から垣間見える暮らしぶりのセンスのよさなど、母や義母とは全く違っていてもはや別次元。
彼女の本からはいろいろなことを学ばせてもらった気がします。
手元には文庫本1冊が残っているだけで、クニエダさんお得意の整理収納について主に書かれたものですが、特に心に残ったのが
ご主人を亡くされてからすぐに遺品の整理にとりかかった、というところでした。
カメラマンだったご主人はクニエダさんを凌ぐほどのセンスの持ち主で、もちろん整理にも長けた方だったようですが、それでもすべてが
片づくまでに1年以上かかった、と書いてあり、ご主人のものの整理を済ませることがご自身の心の整理や第二の人生のスタートにつながった、
という趣旨だったと思います。
義母と同い年だったクニエダさんは今どうしているのだろう、とふと思って検索したところ、既に他界していました。
いつ?と思って見てみると、あの東日本大震災の9日後という、日本中が動揺の最中だった頃でした。
その当時は災害報道ばかりだったので、訃報記事もなかったかもしれません。
先述の文庫本が発行されたのがその1年と数か月前。元は単行本として出されたものを加筆して文庫化したものですが、その本を手にしてから
それほど時を待たずに亡くなられていたことに、少しばかりショックを受けました。
ご主人をがんで亡くされる前、一人息子を亡くされていたクニエダさん。
最期はどんなお気持ちだったのかな、とか、亡くなられるまできちんと整理していたのかな、とか。
もうそろそろ手放してもいいかな、と思っていたその文庫本ですが、もう手放せませんね、きっと。
この本から学んだことで、私自身ずっと実行しているのが、郵便物やDMをその日のうちに処理・処分することくらい。
この本の最後に書いてある「暮らし方は生き方です」という言葉が、暮らしがなんとなく雑になってくると頭のなかをふとよぎって、注意信号を
発します。
なかなか彼女のようにまめに整理してセンスよく暮らす、というわけにはいきませんが、その生き方はこれからもお手本にしていきたいと思っています。