170303 化学物質の問題と対策 <受動喫煙対策>と<「脱炭素」求めて動く環境NGO>を読んで
今朝はどんよりした大きな雲の塊が頭上を覆っているのですが、まるで小春日和のように暖かかったです。土も植物の私より敏感ですから、田畑は野草が群生し、土もほどよい色合いです。
やっと法律相談も終わり、ブログを書こうかと思っていますが、見出しの他にもう一つ気になる記事があったので、まず少しそれに触れておきたいと思います。
<離職した若者の就労支援>という記事です。最近、いろいろな分野で支援活動が広がっていて、民間・行政ともに活発になっているのかなと感じています。その中で、わが国の雇用慣行では新卒採用に重点が置かれ、ミスマッチで早々と退職した場合に、再就職の道が極端に狭い問題が長く放置されてきたと思います。その結果、就職できなくなり、閉じこもりや悪い道に入ったり、就職できてもブラック企業だったり、転職を繰り返すといった悪循環が起こっているように思います。
そういういわばピンチの状況は、企業的には起業のチャンスにもなり得るでしょう。ここでは、中卒、高卒の退職者を対象に、就労支援を始めた企業の支援内容を紹介しています。経営者自身、高卒で就職に失敗した経験を生かして、研修などの内容を再就職に役立つものにして、再就職の道を切り開いているようです。ハローワークを含め行政がこれまで行ってきた支援活動に欠けていたものを補っているのではないかと思います。大卒の再就職にも別の企業が取り組んでいます。
このような支援活動は民間サイドで創意工夫していく方がより実効性があがるのでないかと思います。それは雇う側の企業サイドでも、おきまりの研修を経ただけではできなかった、さまざまな事業上のニーズに適合する、また、企業社会内の雇用慣行にも適合するような人材を採用できることになるのかもしれません。
他方で、雇い入れる企業側も、従来の新卒第一主義といった意識を改めて、自らの雇用慣行を改善していく必要があるでしょう。就労支援は、雇用者、被雇用者、そして行政がこれまでの慣行を打ち破るのでないと、容易に達成できないと思っています。今後の推移を期待して見ていきたいと思います。
さて、本題の「化学物質問題」に入ります。今朝たまたま見た民放TV番組で、受動喫煙の実証実験をしているのを見ました。室内点灯をすると見えない喫煙の紫煙が、真っ暗にして特殊撮影すると、たちどころに広がっていく様がはっきりと分かります。それが6mくらい離れた距離でも少し時間がかかりますが、ちゃんと到達することも分かります。それを見て出演者の中には驚きの声を上げていましたが、私自身がそれに半分びっくりしました。
というのはタバコの煙には膨大な種類の化学物質が含まれていて、その中に多様な発がん性物質もあり、その煙は室内であれば簡単に消失することなく漂うことは当然です。そいうか、喫煙者のタバコから排出される煙はその一部で、有害性のある化学物質の中には吸着性の強い物質もあり、当然、喫煙者の衣服や体の表面にくっついています。ですから、電車の中は禁煙にしても、ホームの喫煙場で十分喫煙した人が電車に入ると、その化学物質が、体内からだけでなく、体全体からも猛烈に排出されます。
それは室内を禁煙にしていても、室外から喫煙者が入ってくると、室内でまき散らすことになります。それが微量だから、直ちに受動喫煙による健康被害が生じると言うことはないでしょう。とはいえ、化学物質に敏感な人の場合、わずかな量でも体調に異変を起こすこともあり、直接、口から排気されただけでなく、エレベータ内のような閉鎖空間では、衣服などに付着した有害物質の影響で体調不調になるリスクもあるでしょう。
その意味で、塩崎厚労大臣が積極的に受動喫煙対策を法制化しようとしていることは評価してもよいと思っています。ところが、記事によると、<小規模なバーやスナックを除き、飲食店を原則屋内禁煙にする厚労省案に対し、自民党の小鑓(こやり)隆史氏は「小さな焼き鳥屋さんのような店は(たばこが吸えなくなれば)廃業や厳しい状態になる」と指摘。>されています。
厚労省案の例外自体も、受動喫煙の問題を直視したとき、後退していますが、それすら認めない自民党などの意見は、受動喫煙の問題を直視していないように見えるのです。
すでに小規模飲食店へのヒアリング調査では、全面禁煙にすることにより売上が上がるとみるほうが多いとの結果も出ています。たしかに地方では若干、違うかもしれませんが、都会では時代の趨勢は禁煙化が大多数から支持されていると思います。
喫煙の文化はわが国においても長い歴史をもち、とりわけ農林漁業の現場や、土木現場では、喫煙が当たり前であり、きつい肉体労働の中で、それが数少ない息抜きであったことは確かでしょう。そして大気の真っ只中なので、周囲に気を遣う必要などなかったこともなかったこともあるでしょう。
しかし、喫煙の習慣は、自然に家庭の中でも継続するでしょうし、家族に気を遣って外で喫煙しても、その有害物質は体内、衣服などに残存しています。家族への影響も考える必要があると思います。
住みにくい世の中になったと喫煙者からは言われそうですが、タバコはやはり有害物質を多種多様に含んでいるのですから、アスベストと若干、似たように、時限爆弾を抱えて生きていくようなものかもしれません。タバコの有害性をまったく知らないまま成仏する人もいるでしょう。しかし多くは、やはりそれぞれの体の限界、閾値を超えたとき、突然、発症し、その苦しみは死ぬまで耐えがたいことになるでしょう。
それはご自身だけでなく、家族や親しい人にも、そうなって欲しくないと考えるのが自然ではないでしょうか。少なくとも厚労省案程度の規制は速やかに制度化する必要があると思います。
さて、話変わって、別の有害化学物質とそれに対する取り組みです。<メイ・ブービさん=「脱炭素」求めて動く環境NGO事務局長>の記事では、トランプ大統領が気候変動の科学性への疑問?から環境規制の緩和、EPAの職員予算の大幅削減などを主張し、石炭・石油開発投資に大きく舵を切っていることに対し、しっかり着実に対応しようとしている運動が紹介されています。
<温暖化に懐疑的な米トランプ大統領は化石燃料の規制緩和を表明し逆風が吹くが、「再生可能エネルギーに向かう市場の力に彼は勝てない。どんな政策を取ろうとも運動は前進し続ける」と力を込める。>というのです。それは<地球温暖化につながる化石燃料関連産業への投資の中止を求める「ダイベストメント」運動を展開する国際環境NGO「350.org」>を大学時代から立ち上げて数々の実績を上げてきた自負があるからでしょう。
<ダイベストメントは現在、年金基金や保険会社など76カ国の約700企業・団体が実施し、運用資産総額は5兆ドル(約570兆円)に上る。>というのですから、驚くべき規模です。市場経済の中で、株式投資が世界経済を牛耳るわけですから、それに対抗する手法として、インベストメント(投資)に対して、ダイベストメント(投資撤退)はまさに正鵠を得たやり方ではないかと思います。
<海外主要銀行の「石炭ダイベストメント方針」調査レポート>はその一例を示しています。
わが国の対しても、メイ・ブービさんは、<日本も石炭火力発電の新規増設計画を多数抱える。同NGOは、化石燃料や原発の関連事業への融資が少ない銀行を選んで使う個人向けのキャンペーンも始めた。「世界は化石燃料の利用拡大をリスクと見て撤退しつつある。豊かな歴史と最先端技術を持つ日本が、公的年金基金でダイベストメントしたアジアで最初の国になってほしい」と期待を込める。>と情熱的なメッセージを送っています。さて、若き才女の声にきちんと応える、わが国の若き有志の活躍を期待したいものです。