170313 IoTで何が変わる? <工事写真の位置情報を自動取得、施工管理の手間を43%短縮>を読んで
日増しに暖かさを感じる日々です。曇り空の中にわずかな陽光を見つけたような鈍い輝きを感じたのは、紀ノ川の瀬でしょうか。
さて今日のテーマはと、新聞や報道を半日みていますが、どうも興味が湧かないのです。いずれも重要な情報とはいえ、そこに登場する人々のそれぞれの姿勢・対応に、取り上げるだけの意味があるのかを時折感じてしまうのです。私の認識や考え方が試されているのかもしれませんが、とりあえずしばらくは傍観しておきたいと思うのです。
それでいくつか情報提供サービスを受けているウェブ情報で、見出しのテーマは、私もいま検討中の事柄と関係することもあり、将来、普及されれば地方の企業体でも取り入れられれば、大きく事業改善が可能ではないかと思い、取り上げることにしました。
といって私もよく分かっていないので、ほぼ内容を引用しながら、勉強しながら、紹介して私自身が少し理解できるようになりたいと思っています。
そもそも最近話題のIoT、何かは漠然に知っていても、具体的な利用実態を自覚的に理解できている人はそれほど多くないのではと思っています(むろん勝手な私見ですが)。
<IoTとは?|IoT:Internet of Things(モノのインターネット)の意味>によれば、<従来は主にパソコンやサーバー、プリンタ等のIT関連機器が接続されていたインターネットにそれ以外の様々なモノを接続することを意味します。>とのこと。
これだけだと、IT関連と他のものが接続することですから、わかったようなわからないような気分になります。
インターネットに接続するものとして3種類があげられています。
・パソコン類(スマートフォン、タブレットを含む)
・機械類
・その他の"モノ"
これらの概要も具体的なイメージはすでに利用している人はそれぞれ浮かんでくるでしょうけど、エアコンなどの家電製品や玄関ドアなどを遠隔操作するといった、TVやネット広告などで知る程度で、さほど将来像というかその可能性が見えてくるわけではありません。
最後のモノあたりが可能性を含んでいるのかなと思っていますと、次のような解説が出てきます。
<"モノ"をインターネットにつなぐことにより以下を実現します。
・離れた場所の状態を知りたい。→離れた"モノ"の状態を知る。
・離れた場所の状態を変えたい。→離れた"モノ"を操作する。
モノのインターネット(Internet of Things : IoT)では"モノ"に対し各種センサーを付けてその状態をインターネットを介しモニターしたり、インターネットを介し"モノ"をコントロールしたりすることにより安全で快適な生活を実現しようとしています。
"モノ"をインターネットに接続して計測データ、センサーデータ、制御データの通信をすることでモノのインターネット(Internet of Things : IoT)が実現されます。>
だいぶイメージが膨らんだ感じになります。そこで<<工事写真の位置情報を自動取得>がなにか問題解決機能を相当含んでいるイメージになります。その情報を学んでみたいと思います。
それによると<建設現場において重要な作業である工事記録の管理。竹中工務店はこうした管理を効率化するシステムを開発した。近距離無線技術を活用して工事写真の位置情報を自動で取得し、現場内でリアルタイムに共有することができる。従来のデジタルカメラと紙図面を用いて行う方法と比較して、作業を43%削減できたという。>
竹中工務店をはじめ大手建設業者は建設IoTをコストカット・効率化などの観点から強力に推し進めているようですが、他のウェブ情報によると、竹中工務店もまた意欲的な技術開発をさまざまなIT関連業者と共同して行っているようです。
ここでは<建設現場での携帯端末で撮影した工事写真を、デジタル図面上に自動的にプロットして一括管理するシステム「位置プラス写(しゃ)」(特許出願済)を開発>したとのことです。
建設工事では多数のさまざまな業者が関与して、何段階も経て工事が進みますが、その工事管理はその事業の成否や進捗速度に大きな影響を与えることは容易に理解できます。
上記ウェブ情報では<建設工事では、品質・安全管理を目的として数多くの工事写真を撮影し工事記録の整備や協力会社への作業指示などを行う。例えば、管理項目の多い大規模病院の新築工事では、工事写真の枚数は数万枚にも達する。膨大な工事写真について、その撮影場所が分かるよう整理する作業に従来の方法では多くの手間がかかっていた。>
工事写真から建設図面に書き入れ、整理しつつ、次の工程への指示や工事手直しの指示などを行うことは大変な手間であり、それが日々きちんと適時適切に報告し、図面等に反映させることは簡単でないこともわかります。現場の工事進展状況が、日々というか、場合により時々刻々と変わっていく状況について、手間をかけてでもやっていないと、設計図書などとの整合性を確認したり、ロジスティクスを管理する工事指揮本部で理解していないと、適切な工事進捗を諮ることが困難でしょう。
それが適切になされていない現場では時折問題となる、免震データや杭打ちデータの偽装などさまざまな建築瑕疵の要因にもなるでしょう。このようなデータ自体はこの技術開発とは関係ないでしょうが、設計図書等で予定されている図面と現場の進捗との整合性、あるいは変更指示があった場合のその図面化と現場での変更の有無などは、デジタルカメラ画像が一挙に中央指揮系統のPC画面上の図面に表示されれば、これは便利というか、大変な革新的技術ではないかと思うのです。
「位置プラス写(しゃ)」システムは、<近距離無線通信技術「iBeacon」を用いた発信機を建設現場内に配置することで、工事写真の撮影位置を自動的に把握する。従来は工事写真の撮影位置を記録するために、図面上に手作業で位置をプロットしたり、階名や部屋名などを追記したりしていた。同システムでは、位置認識の自動化によりこれらの手間を削減する。>というのです。
現在、多くの現場では、GPS機能付きのデジタルカメラによる撮影が導入され、補助事業では義務的な要請になっているようです。しかしGPS機能がついていても、折角撮影した画像は、本部に持参するか、メール送信したとしても、その画像を図面化するには位置情報をPC図面上にプロットしないと図面に反映しないのではないかと思います。
「位置プラス写(しゃ)」システムは、<撮影された工事写真は撮影位置、撮影日時、撮影者名、撮影時に入力されたコメントなどの情報と合わせてサーバー上に保存される。サーバー上のデータを現場内でリアルタイムに共有することで、協力会社への作業指示をはじめ様々な施工管理業務に活用できる。さらに建設IoTの展開とともに将来的に収集されるデータと組み合わせて活用していくことも可能としている。>ので、さらに現場や関係者での利活用が容易になることが指摘されています。
この点は、別の情報で、<竹中工務店が8割の作業所にクラウド導入、工程表やCADデータを集約>という特注クラウドが膨大な情報を有効に活用できるようになっているからではないかと思っています。
さらにこのシステムの中身に入りたいと思います。その特徴は<工事写真の撮影位置をデジタル図面上へ自動的にプロット プロット間違いを防止し、工事写真のエビデンス性を向上させる。工事写真と図面を1枚の画像に結合し、画像データを自動作成。写真と図面を用いた分かりやすい指示書を簡単に作成できる。>とのことです。
私がこの撮影位置の図面上に自動的にプロットする機能は素晴らしいと思っています。というのは、現場写真というのが多数・膨大に撮影されるのですが、撮影位置や角度が撮影者によって異なり、とくに問題なのは工事前と工事後が同じ位置で撮影されていないことが少なくないこともあり、工事の進捗がわかりにくいため、これではなんのための撮影かと思うこともあるからです。
この撮影位置や角度が手作業で行う場合、仮に撮影位置や角度が適正にされていても、図面上誤差が生じることもあるでしょう。それが撮影と同時に、自動的に図面上に正確な工事進捗状況が反映されるのであれば、それは大変な作業効率のアップに繋がるでしょう。しかも図面と工事写真が一枚の画像に結合するのですから、図面を見てもよく分からなくても画像で理解しやすくなるでしょう。
次の機能も有効ですね。<iBeaconによる位置認識を補正する機能を搭載した。撮影の方角を自動的に把握し図面上に表現し、表示位置を画面上で微修正できる。作業指示や工事記録を支援する。写真にデジタル上で書き込みを行ない作業指示とすることが可能で、従来は工事黒板に書き込んでいた施工日時、場所、状況等の情報を写真上に合成表示できる。>
さらに<全工事写真をサーバー上で一括管理し、情報共有を支援。他のメンバーが撮影した写真も含め、全ての工事写真を本システムの図面上でいつでもどこでも確認可能することが可能だ。図面上に表示する工事写真は日付、撮影者、黒板のテキスト検索によって絞り込むことができる。>と、至れり尽くせりでしょうか。
とまあ、いいことづくしのようですが、そう簡単にいくのか、岡目八目の立場では、多少は気になります。このようなソフトを現場の作業員がどこまで使いこなせるか、とりわけ多数の下請け業者が何段階にも入っていたり、共同企業体事業の場合などでは、セキュリティ制限との関係で、その仕組みが簡単でないと、使いこなすことが簡単ではない印象もあります。
それを現場監督者など限られた人だけが使いこなすというのであれば、そもそもの現場全体での情報共通とか、現場内での相互の情報共有の仕組みとして有効性が狭まるようにも思えます。
ま、よく内容が分かっていないための杞憂にすぎなければいいのですが。
ともかく、このシステムが竹中工務店のように財政的に余裕のある企業だけでなく、安価に利用できるようになれば、それは各地の多様な現場で、ものすごい省エネルギー、コストカット、作業の効率化、作業自体の適正化の担保とか、数え切れないほどの効果を生み出すように思うのは、これまた甘い夢でしょうか。とはいうものの、この「位置プラス写(しゃ)」の普及を期待したいですね。