170312 わが国の立ち位置と公正さ <サウジアラビア国王・46年ぶり来日>を見て
今朝はしっかり霜が降りていて、少し寒さを感じたものの、どんどん暖かくなり、もうすぐにでも桜が開花しそうなのどかな日和になりました。
今日も午前中、ぶり縄でヒノキの胸高径25cm、高さ10数mの木に登り、枝打ちをしました。このくらいの木になると10m近くまで登っても、あまり揺れないので、気持ちよく作業が出来ます。その後、竹木が倒れかかっているのを整理整頓して、今日は終わり。
前回は一力七段が張九段にすごい力業で勝ったのをわずかしか見えず、残念な思いをしたので、今日の井山棋聖と伊田八段の対戦は見たかったので、早く作業を終えました。やはりすごい戦いで(といっても実際はよくわからないのが本当です)、最後まで分からない対局でした。でも井山さんは自信をもっているのでしょうね、コウ勝負も余裕を感じます。ただ、前回の解説者・小林覚さんはわかりやすく、若き好男子なんて思っていたのですが、いつの間にか彼も年齢を重ねた印象で、準決勝進出4人の若きエースに比べると一段と風格がでてきたかと思うのです。私も30年近く見ているのですから、いい加減なへぼ碁の領域を脱せないのは精進していないからだけではないのでしょう。
さて報道では、森友学園の騒々しい動きが一段落した後、また同じような大学誘致をめぐる疑惑が取りざたされているようで、後からいろいろ言われないように、手続きのオープンと基準の公正さの担保をもう少し見直してもらいたいものです。豊洲の百条委員会は、報道を見ていませんが、多くの資料を基にしっかりと質問して追求しているようですが、記憶なしとの決まり文句ではぐらされているようですね。これも時間が経過している時点での手続きの限界もあるでしょうが、手続きのあり方自体に新たな改善が必要ではないかと思うのです。この点は豊洲の百条委員会の議事録や報告書が入手できれば?(それなりにがんばっているように思っていますので)、検討して見たいと思っています。
ところで、本日のテーマは、本日来日したサルマン国王の報道を垣間見た限りでの感想です。TVはニュース価値をどこに置くかという視点と、国交に影響を及ぼさないという限度を考慮して、報道しているように思えるのです。ある意味では、トランプ氏が米国メディアを一方的に指弾したのにも、一理あるかもしれないと考える部分です(決してトランプ氏のやり方に賛同するものではありませんが)。
私が見た報道では、エンターテインメント性を話題にする放送局も、NHKなども、あまり大きな違いがない印象を感じました。
まず、国王がなにやら黄金色の航空機タラップの前に立つと、エスカレータとなっていて経ったままの姿で降りてくる様子が映っています。81歳でしたか高齢の国王専属のタラップだそうで、その輸送のために飛行機一機、事前に運んでおくとのこと。それで驚いてはいけません。
国王に随伴する家族、身の回りの世話をする人など全部で1000人とか1500人とかといいます。そのために、リムジン車を用意するけど足りないため、大阪からもチャータするとか。面白いのは国王が雨に濡れないように、10人近くの人が傘を何重にも掲げて、その雨の中の歩行を助けているのです。高齢者を大事にするということとは、次元の違う発想のようです。
むろんハラールフードはホテル側でも厳格な管理で仕入れているでしょうし、いお祈りのための準備(じゅうたん、コーラン、専用のコンパス)なども準備万端というのは、これは普通のおもてなしでしょう。
しかし、国王一人来日のためにこの仰々しい、いわば国王行列は、豊かな国だから贅をこらすのは当然といった風ないでたちで、それを報道側もまるで歓迎している姿勢に違和感を感じてしまいます。
むろん、世界有数の石油産油国であり、OPECの主導的立場にあるサウジアラビアで絶大の権力を握る国王だからこそ、その力を誇示する意味もあるのでしょう。そして脱石油化の道を探るために、東南アジア諸国を訪問し、わが国にも来訪するのでしょう。
たしかにわが国は中東の石油にエネルギーの多くを依存しており、その代表的立場の国王が来日するのですから、歓迎するのが当然かもしれません。しかし、原発依存がいま見直されています。それは福島第一原発事故の除染、廃炉、最終処分について確固とした見通しがほとんどついていないという現実をみれば、人間による統御が困難なエネルギーという視点で選択が困難な道ではないかと思うのです。原発がもつエネルギーの効率性とか、コストパフォーマンスとか、いずれも原発事故による影響が考慮されて折らず、疑問です。
では石油はどうでしょう。気候温暖化への影響は悪化の一途をたどっています。まして遠い中東から運ぶことによるいわゆる直接的な運送コストにとどまらず防衛・防護コストも実際は膨大な金額になると思います。当然のように中東からの石油に依存する現在のエネルギー政策は、抜本的な変更を検討する時期に来ているのではないかと愚考する次第です。
代替エネルギーとしての再生可能エネルギーは、まだまだベースロードとして安定的に供給することができる段階でないことは理解できますが、意識改革をすることにより大きく舵をきることで、一段とスピードが上がるのではないかと期待したいと思います。
このエネルギー議論は、最近ほとんど勉強していないので、新聞をちらっと見る程度の知識で述べているので、この話はその程度にして、本題の、わが国の立ち位置の公正さとは一体何かについて、少し考えてみたいと思います。
わが国は、隣国・韓国の朴大統領が憲法裁判所により弾劾罷免され、近く行われる大統領選挙で、従来の対日外交を180度変更するような反日を主張する候補者が当選する可能性が高まる中で、北朝鮮の脅威をさらに強く懸念しています。政権の対応は、地政学的というのか、現状からするとやむを得ないのかもしれません。
しかし、北朝鮮については、たしかに国民の多くが飢餓や貧困で困窮しているのに、金政権の周囲や一部の支持層のみ裕福な生活をしながら、核開発やミサイル実験を繰り返して、攻撃的な姿勢にあることが問題とされています。それ自体、もっともな批判であり、わが国の防衛力強化を進める姿勢に多くの支持をえているであろうことは理解できます。
他方で、ではサウジアラビアはどうでしょうか。北朝鮮と似ている部分がないでしょうか。豊かな資源で経済的にも豊かというのは国王側に立つ層であって、一方で国民の2割以上は飢餓に近い貧困状態にあり、それが放置されたままにあるのではないでしょうか。
私自身、今年に入って、ある報道でわずかだけですが、秘密裏にビデオ撮影した内容が訪英されているのを偶然見ました。豊かさとは無縁の路地裏が映り、ゴミを漁るような姿も映っていました。そして体制への苦情でも言うと、令状もなく拘束され、拷問されるといった話しもあった記憶です。
で、この情報に類似するものがウェブ上でないか確認したのですが、英語圏の情報ではほとんどありません。ガーディアンの情報がありましたが、私が見た報道に比べると、それほど酷いものではないと思います(だから削除されないで残っているのかもしれません)。アラビア語は読めないので、検索していませんが、いかに情報が遮断されているか、あの豪勢な国王たちの振る舞いの背景には、見放された多くの国民がいることを私たちは忘れてはいけないように思うのです。報道がその面では、それは欧米の名だたるマスコミも同じで、CNNもBBCも変わりないでしょう。
取材自体が制限されているでしょうし、情報提供するとその国民自体の生命の危機もあるのではないかと思われます。これは北朝鮮と似ていませんか。
だからとって金正恩政権のいかなる施策も正当化できるものではないと思いますが、だからといって、サルマン国王が求める脱石油化の多様な事業について、協力するのであれば、国連のミレニアム開発目標(MDGs)をしっかりと制度的に保障した上で、検討してもらいたいものです。単に石油供給先として、大事に対応しないといけないという姿勢では、わが国が国家の品格を貶めるものになりかねないと思うのです。