たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

ある株主総会 <東芝 厳しい再成長 半導体、原発 大幅縮小>を読みながら

2017-06-22 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170622 ある株主総会 <東芝 厳しい再成長 半導体、原発 大幅縮小>を読みながら

 

今日は珍しくある上場企業の株主総会に出席しました。株主になって25年くらいになりますが、初めて出席しました。昔は株主総会の運営指導の一端を担っていたので、いろいろな株主総会に株を買って参考に出席していたことがあります。当時は30分、いやもっと短い時間で終わらせるのが総務部の腕の見せ所、それを補佐する弁護士の腕と思われていた節があった時代です。基本的に総会屋対策が一年かけて準備して対応してきたように思います。

 

で、今日一度もいったことがない企業の株主総会に出席したのは、この間会社制度は大きく変わり、私自身はほとんどフォローできていませんが、総会屋といった問題もいつの間にか議論のまな板にのらなくなったので、だいぶ欧米型の総会運営が行われているのではないかと、半分期待して会場に入りました。

 

昔は議長を含め役員席のある演台の前は、何列かは総務部を中心に固めていたように思いますが、普通の株主が座っている感じです。というのは総務部関係だと、スーツ姿でびっしとしているのですが、普段着がほとんどでした。その点はいい感じかなと思ってしまいました。

 

ただ、議事運営は、総会の招集通知に記載された議事内容を、定款で定まっている議長の社長がたんたんと読み上げるもので、その点はあまり変わっていない印象です。私はソニーの株主総会をTVなんかで垣間見たことがありますが、さすがに当時の社長は自分で企業を引っ張っていくという姿勢で、中身のある説明をしていたように思います。

 

今日私が参加した企業は、私が買った株価から10分の1,いや20分の1くらいには値下がりしていると思いますが、あまり株価に関心がないので、それはどうでもいいことで、事業運営に関心があったのですが、それもあまりぱっとしない表面的な説明だけでした。私が以前株式を買った多くは環境関連事業を熱心にやっているところでした。この会社も世界一のシェアをもつ事業がありながら、どうもぱっとしない感じを受けます。それは環境関係の事業を展開している企業には少なくない印象を受けるのです。廃棄物処理や下水道処理など、どちらかというとインフラでもマイナーなイメージが世間的な評価としてあるのでしょうかね。それは企業の広報スタイル、また企業トップの姿勢に問題があるのかなと思っています。

 

で、株主の質問に入ったら、しばらく誰も手を上げず、最初に手を上げた人は自分のパワハラ被害などを蕩々としゃべってコンプライアンスとの関連で質問するのですが、議案と関連性なしと最終的には処置したのですが、総会議事運営のあり方としても議長として手早く対応してもらいたい気がしました。最初の質問から制限するとまずいといった意識があったのかもしれませんが。その後は株価を心配した質問など、あまり議案の内容に食い込むようなものもなく、株主の力量にも問題があるかなと思ってしまいます。

 

さて、序論が長くなり、すでにブログ書きが1時間半となってしまいましたので、簡単に切り上げます。

 

上記の企業も選択と集中で、本来の事業を切り捨て、新たな環境事業を中心に資本の集中と分離を展開していますが、いまはやりのIoTやビッグデータの活用をうたってはいるものの、独自の差別化・企業戦略といったものを感じにくい印象です。

 

そして毎日朝刊記事<東芝厳しい再成長 半導体、原発 大幅縮小>ですね。東芝は元々の白物家電から撤退し、将来の有望事業として、原子力事業と半導体事業に投資を集中してきたと思いますが、前者はすでに撤退し、後者も売却を進めています。赤字体質を改善するためには、半導体事業を売却しないといけないという財務状態の中、ほぼ出資額の半分を保有しているWDを無視して売却を進める手法は、企業のあり方として、また日本企業の礼儀として、疑問を感じます。

 

WDの訴訟提起は当然ではないかと思います。しかも<クローズアップ2017半導体売却、優先交渉決定 東芝窮余の日米韓連合 国が関与、選択肢狭まり>では、東芝は経営者側の意思で売却先を決定できず、首相官邸の意向で売却先を決定してしまったとのこと。このような経営判断は、半導体の技術輸出によって国益が害されるおそれを心配するのは政府としてわからなくもないのですが、漠然としているようにも思えるのです。WHを買収することはアメリカの原子力事業という国益を脅かすおそれはなかったのでしょうか。むろん日米と、いま問題になっている日中とは異なりますが、相手は台湾企業です。シャープが持つ技術とは異なるというかもしれませんが、それもどうかなと思うのです。

 

とくに鴻海が買収したシャープは、見事にV字回復の様相を示し、黒字を達成しています。わずかの間にそのような事業改変が可能なのか、それだけシャープの事業展開が急激な経営環境の変化に追いつかず、赤字事業を温存し、収益性のある事業に集中できていなかったのかと思ってしまいます。むろん一期だけの黒字化では簡単に評価できませんが、東芝の現経営陣では経営の立て直しは容易ではないように感じるのは普通の受け止め方ではないでしょうか。

 

東芝に立ち直ってもらいたいですが、決算報告もできない体質も含め、とても現経営陣に任せられない状況にあるように思えますが、いかがでしょうか。

 

いろいろ書きましたが、東芝という企業自体、ほとんど統括できないできたWHという海外の原子力事業に進出する暴挙に出て、今度は共同事業を行っていたWDの意思を無視して半導体事業を売却する、このような経営判断の合理性はどのように説明されているのでしょうか。

 

東芝の株主総会は628日と、総会集中日に行われますが、株主の多くの疑問・質問に、適当な回答では逃れられないように思うのです。

 

中途半端な議論になりましたがこの辺で終わりとします。


性犯罪への対応 <性犯罪被害者の声、国動かす ・・>などを読みながら

2017-06-22 | 差別<人種、障がい、性差、格差など

170622 性犯罪への対応 <性犯罪被害者の声、国動かす ・・>などを読みながら

 

今朝は昨日の雨の影響でしょうか、その冷気が大地や大気に残る感じででした。TV放映では昨日は紀伊半島南端の新宮市など各地で豪雨災害があったようですね。紀伊山脈の影響なのか、あるいは梅雨前線や高気圧の位置関係のためなのか、紀ノ川沿いはあまり影響がなかったように思います。しかし、異常気象はいつどこでどのような事態になるか予測不可能なのが昨今の状況でしょうか。油断はできませんね。

 

午前中はある株主総会に出かけていましたが、時間があったら別枠でそれに触れたいと思います。すでに5時をとっくに過ぎていますので、まずは本日のテーマを見出しに決めて、これを簡潔にまとめられればと思いますが、わかりません。

 

さて、今日の毎日朝刊は<ぷらすアルファ性犯罪被害者の声、国動かす 刑法規定、110年ぶり見直し>との見出しで、110年ぶりの刑法規定の見直しを取り上げています。従来の「強姦罪」の規定を「強制性交等罪」という名称に改め、<法定刑の引き上げ▽被害者の性差解消(男性も被害者に)▽親による性虐待を罰する「監護者わいせつ罪」の新設>などにより、性犯罪に対して大きな見直しを行っています。

 

朝日新聞は616日付けで<性犯罪厳罰化、刑法改正案成立へ 強姦罪の名称改め>と報じるなど、報道各社は簡潔に報じていたと思います。それで内容を精査しようかと思って法務省のウェブサイトを見たのですが、それらしい発表が見つかりませんでした。テロ等準備罪については簡単なものがありましたが、刑法改正については審議会などの情報はあっても、法案そのものを記載したもの、解説したものが一切見つかりませんでした。ま、ざっとしかみませんので、なんともいえませんが、普通はどこの省庁でも所管の法案については相当詳細な情報が掲載されているのですが、不思議です。

 

とりあえず<衆議院の提出時法律案>を引用します。

 

刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

 目次中「姦淫」を「強制性交等」に改める。

 (以下、相当数の名称変更の改正が規定されていますが省略します。)

 

 第百七十九条を第百八十条とし、第百七十八条の次に次の一条を加える。

 (監護者わいせつ及び監護者性交等)

第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

 (以下も同様の趣旨で省略)

 

 第二百四十一条を次のように改める。

 (強盗・強制性交等及び同致死

第二百四十一条 強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第百七十九条第二項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は七年以上の懲役に処する。

2 前項の場合のうち、その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは、人を死傷させたときを除き、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

3 第一項の罪に当たる行為により人を死亡させた者は、死刑又は無期懲役に処する。

 (以下も同様の趣旨で省略)

 

この法改正について、毎日記事は性犯罪被害者の要望と対比して、簡潔に要約しています。

 

<性犯罪被害者が求めた改正点

 ※○は実現、×は実現せず

(1)法定刑の引き上げ          ○

(2)被害者の性差解消          ○

(3)親による性虐待を処罰する規定の新設 ○

(4)学校教師やスポーツ指導者の処罰規定 ×

(5)「暴行・脅迫要件」の廃止      ×

(6)年少者の性被害の時効停止      ×

(7)非親告罪化             ○

 ※(7)は反対する被害者もいる>

 

上記の(4)は類型的にも問題視できるように思えます。議論不足か、「共謀罪」法案の議論の中で、十分な議論を尽くす時間もなかった影響もあるでしょう。(5)は裁判例の中でより要件を緩和する解釈は期待できるようにも思うのです。(6)は理想的には最もと思いつつ、果たして時効制度とうまく整合性がとれるか難しい判断ですね。

 

<「男性が思う『嫌よ嫌よも好きのうち』は大きな間違い」「同意のない性行為は犯罪」。>というのは、至極ごもっともです。ただ、これを見て、映画Disclosureの核心的な一場面を思い出しました。女性の上司が部下で昔の恋人に性交を迫る、セクハラ・パワハラの場面で、なんども男性がNoというのを無視して強要する場面があり、その後男性がセクハラしたと左遷されそうになり、仲裁裁判を提起し、その審理の中で、男性側の弁護士が、NOと言ったのが何十回(偶然録音されていて数えた)といったのに対し、上司の女性がNONOというのは本気でないといった趣旨の弁解をしたのに対し、男性側弁護士はNONOだと言うのです。ま、このやりとりはものすごくおもしろいので、細々と言い出すといけませんのでこの程度にします。

 

たしかこの映画、カナダで見たのでもう20年以上前ですが、すでに女性によるパワハラ、セクハラが北米ではある程度あったのでしょうね。

 

ともかく上記で省略した条項の中で、重要なポイントがあります。いままでは女子が被害者として想定されていましたが、それを「者」として、男女いずれも被害者として想定したのです。性差はないのですね。むろんわが国ではほとんどといっていいくらい女性が被害者でしょうけど、今後は男性被害者も当然、でてくるでしょうね。

 

親や義理の親など監護者によるDVを絡めてた強制的な性交は実態として少なくないように思えます。これが18歳未満の者ということで、未成年者を監護する者だけを想定しているようですが、それで十分か、監護者の範囲を限定しすぎていないかは問題と思っています。

 

ま、私自身は、従来の強姦罪とか強制わいせつ罪とかをほとんど担当したことがなく、できればやりたくない、やるとすれば絶対にえん罪の可能性がある場合というスタンスでしたので、この分野の犯罪実態や処罰の状況はあまり知りませんので、この程度にします。

 

性犯罪が起こった場合の対応(むろん予防的機能もありますが)としての今回の刑法改正はそれなりに効果があると思います。他方で、やはり起こらないことが一番ですね。

 

性暴力をなくすために/上 被害者の声、ようやく法に 悪夢、トラウマ 苦しみ知って>を初め

性暴力をなくすために/中 足りぬ支援施設、人材

性暴力をなくすために/下 自制する力 教育で

の連載記事は貴重な情報だと思います。

 

そろそろ一時間になりました。別の話題も少し取り上げたいので、この辺でこのテーマは終わりにします。