土曜日の深夜、久々に来店してくださったS先生と常連のTさん。。
TさんはS先生の元教え子で、その先生がうちのお店を紹介してくださって以来、
ずっと「あーちゃん」をごひいきにしてくださっています。
そしてS先生は某高校の元教師で、
Tさんを始め、大将のいとこもお世話になったことのある恩師。
「あーちゃん」開店当初に、そのいとこと一緒にお店に来てくださったことがご縁で
大将はS先生とお付き合いが始まり、
時々ひょっこりとお店に顔を店に来てくださるお馴染みさんです。
このS先生にまつわるうちのお店のエピソードは数知れず、
沢山の武勇伝(?)を残してくださった方で、
陽気で、悪戯っ子のような無邪気な笑顔と
誰にでも分け隔てなく接する人の好さに、
初対面でも好感が持てる・・・、そんな雰囲気を持つお方
私が嫁いできた時も、
「おめでとう!」と、
お祝いを片手に駆けつけてくださったことを今でも鮮明に覚えています。
そんなS先生と何年振りになるでしょうか・・・。
懐かしい話をしていると、ふと、先生からこんな不思議なお話を聞かされました。
先生は或る日、同僚と一緒に呑んだ後で、
中瓶ビール5本程を飲んでいたけれど、家までは歩いて帰れる距離だから
運動がてらに一人でてくてくと坂道を歩いて帰ることに。
けれど、さすがにビール5本も飲んだ後ですから
歩きながら、いつもより少し体が重く感じたことで
年齢と共に酒が弱くなったなぁ・・
と思いながらも、
もう少しで家に着くからと、自分に言い聞かせて長い坂道を黙々と歩いたそうです。
そして、やっとのことで坂道の頂上に着き、
目の前の横断歩道の前で、
これを渡れば家に帰られる・・・
と言う安心からか、
ホッ・・と一息ついた先生は、酔いが急に回ってきたみたいに感じて、
信号待ちの暫らくの間、横断歩道の手前の角のコンクリートに腰を下ろして座ることに。
ところが・・・
自分は確かに、横断歩道の手前のコンクリートの部分で信号待ちをしていたハズなのに、
何故か見知らぬカップルに両側から支えられるように抱えられた状態になり、
「大丈夫ですか?!道路のど真ん中で寝ていたら危ないでしょ
」
と、一生懸命に声を掛けられていたのだそうです。
なんでやそんなハズはない
僕はそこのコンクリートの角で腰かけていたんや
自分は横断歩道の手前で腰かけて待っていただけなのに、
何故、見知らぬ人から訳もわからないことを言われなければならないのか
泥酔する程、自分の意識が無かったわけではないし、
ちゃんと信号機の色まで確認してから、ほんの少し腰かけていただけだ・・・
その時の出来事が理解できない先生に、
「おじさんが道路のど真ん中で倒れているから引っ張ってここまで連れて来たんです」
そう言って男性が指を指した、先生が倒れていたという場所に目をやると、
先生が頭にかけていた眼鏡が転がっていたそうで・・・
しかも、
「頭から血が出ていますよ、救急車を呼びましょう!」と言われ、
先生が自分の後頭部に手をあてると、ヌルッとした血のりが・・・
先生はもう、なにがなんだか訳が分からなくなり、
とりあえずは、帰りが遅いことで、恐らく心配しているだろう妻に連絡をとろうと、
そのカップルさんに携帯電話を借りて電話をしたそうです
その後、先生は到着した奥さんに付き添われて救急病院へ行き、
後頭部を6針縫ったとのこと。。
「未だに訳が解らへんねん、なんであの時僕が横断歩道のど真ん中で寝ていたのか・・・。
もし、助けてくれたカップルさん達が通らなければ、自分は車にひかれていたかも・・・
」
それ以来、先生は外出先でもあまりお酒を飲まなくなったとのこと
うちのお店でも、Tさんがいくらお酒を勧めても飲みませんでした
そして、その日はうちのお店に立ち寄ってくださったことで帰りが更に遅くなり、
心配している奥さんのためにTさんが
「ちゃんと連れて帰りますので・・・」と電話をかけていました
この不思議なお話を聞かせていただいた後、
先生から「(不思議な出来事に対して)なぁ、どない思う
」と振られたのですが
「狐にでもつままれたのですかねぇ・・・、兎に角、深酒はいけませんね」
としか、言えませんでした
本当は、背筋がゾッとするぐらい怖い話に思えたのですけど、
それは、私だけでしょうか・・・
ちなみに、S先生が不思議な目に遭った場所は事故がとても多いことで有名で
横断歩道のボタン式信号機の柱にお供えの花が置かれているのをよく見かける場所です。