板東しょうごの「ふるさと三木に帰れる町に!」

一度三木から離れた若者が、ふるさとに帰ろうとしても、仕事がないから帰れない。若者がふるさと三木に帰ってこれる町にしたい!

二宮厚美神戸大学名誉教授の講演を聞いて - その3(分権化)

2014-05-06 19:10:02 | 研修会など

 法人税や所得税を上げるとグローバル社会では企業や富裕層が海外に逃げていくという議論があります。

二宮先生の、国公労連のインタビューでの議論です。

高い税金だから逃げていくという理屈の前に低い税金でも逃げていく企業は逃げる

企業が立地する、投資するのは海外の市場で儲かると判断するからである。

また、多国政企業(グローバル企業)にとって母国の力は必要であり、例えばテロの危険性、財産の没収、不当な訴訟に対して守ってくれるのは進出相手国ではなく日本企業なら日本国であり、多国籍企業は無国籍ではありえない

それでも、出ていくような愛国心のない企業はほっておいたらいい。

 

 私にとって、グローバル企業が母国を必要とするという議論は初めて聞く話で合点がいきました。

また、「愛国心のない企業」の話はいつも思っていることであり、そんな企業に国が気を使わなければならないというあり方絶対おかしいと思っています。

 

 さて、グローバル社会では、法人税や所得税を下げなければ国際競争力が低下してしまうという理屈で法人税を下げて、消費税を基幹税化し税の在り方が垂直型再分配(累進課税等)から水平型再分配が税の在り方に変って行くという話を以前しました。

二宮先生は、消費税以外にも今の分権化の議論の中にも水平型再分配に移行する仕掛けあることを指摘しています。


 その前に、現在、集権vs分権という構図で議論がなされています。以前は革新と言われる我々が地方分権を主張して来ました。

主張してきた私たちがいま分権にどちらかと言うと反対の論陣を張っています。

どうなっているのか、私も説明出来なくていました。

分かりやすい引用がありましたのでご紹介します。これは、一橋大学名誉教授の渡辺治先生の講義(第9期とちぎ自治講座(2012.2.4))の一部分(※P10の下から4段目から)を抜粋したものです。

 

例えば、ここで美濃部さんが登場したとしますと、確かに財源は乏しいけれども東京都の福祉や医療、介護、教育というものに対してその自由な条例の基準を使って国のミニマム基準をもっと上げることができるわけです。

東京都は当時自主財源でもって老人医療費の無料化をやったわけです。

国は怒りました。今と逆です。

ナショナルミニマム基準を下げるために地方自治体が努力をするんではなくて、当時の美濃部都政はナショナルミニマム基準がないあるいは低すぎるということで、自治体の権限を使いながら上乗せあるいは横出しという形で行ったわけです。

※美濃部=元東京都知事の革新知事

 

これまで、国がナショナルミニマム(※国が国民に対して保障する生活の最低限度のこと)基準を引き上げる努力をすべきことを地方自治体が代わりに行う為に分権を主張していました。

それが、今は国のナショナルミニマム基準を引き下げ、または地方自治体に丸投げすることに問題ありとしています。

 

 二宮先生は、今の税制について、国は「応能負担型」垂直型再分配の税収にもとづいているが、地方自治体の住民税は「応益負担型」水平型再分配機能の色合いが強い。

たとえば、生活保護など典型的な「垂直型所得再分配」で、生存権がかかっているから、全国の統一した行政がやらないとダメ。

地方自治体の運営は主に住民全体が負担して、住民全体、地域全体が利益を受ける。

そうした国と地方の役割の違いがあることを指摘します。

 

 しかし、分権化の議論が進むと税の在り方についても、国の責任を地方に押し付けていくと、地方税中心の税制になります。

すると応益負担型税制で対応することになり、ますますナショナルミニマムを守ることが出来なくなります。

 

 だから基礎自治体を合併して一定程度の規模が必要だという議論もあるようです。

しかし、根本はナショナルミニマムは国が責任を負うべきであり、「応能負担型」垂直型再分配の税収を基本とした税制度を手放さないことだと思います。

 

 

 

 最後に、二宮先生の議論を聞いて自分なりにまとめようと試みましたが、基礎学習の不足による中途半端、思い込みで十分まとめきれませんでした。

今後、もっと勉強していきたいと思います。

 

 

コメント
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