( 写真は昔のものです )
建築士事務所に所属する建築士は3年に1度講習を受けなければならない事になっています。
構造偽証事件の落とし物、でもまあ、今の建築は複雑になり、構造、設備など専門が細分化して街の建築事務所の時代ではなくなっています。
私の頃は 作家 の時代で色々スター的な建築家がいました。
建具など自分で細かなところまで設計し、雨戸、網戸ガラスの障子、紙障子 が広い開口なのにすべて壁に引き込まれて外を一体化できる開放感のある仕組みなどは好きでしたが、今は部品と色々出ていますので何を使うかのような感じ。
深い軒で雨の日でも開口を開放し庭を取り込む空間など大好き。
住宅は夏を基準に設計すべし でした。
クーラーの無い時代冬の寒さは着る物や火で何とかなりましたが夏の暑さは耐え難かったからです。
今は風通しを考えなくてもエアコンは普通に普及していますし、高断熱、高気密、そのために24時間換気が義務付けられたりしているので住宅も風土や地方性が無くなりました。
日本中同じような住宅になっています。
昔の民家はその土地の風土で育ちそれぞれ特徴がありました。
今、色々な大手住宅メーカーの検査をしていますが、どれを見ても同じ。
だいたい住みやすく出来ていますが、私が嫌いなのは、ちまちまと狭いた部屋を沢山作っているもの、一般の方はスケール感がつかめないので部屋数が多いと便利と思ってしまう事があります。
住宅のスケール感で言えば、建て替えの時解体したらなんて狭い敷地だったのだと思います。
大抵そう思います。
また建て替えの住宅の大きさを 地縄(じなわ) を貼って位置を確認しますけど、こんなに小さいの?と思います。
これは誰でもです。
基礎が完成し、構造体が出来て天井レベルが決まったたりからだんだんイメージに近づいて行きます。
また開口が少ないものも閉鎖的で嫌いです。
メーカーさんによって小さな開口、人が通り抜けられない程度の寸法が好きなところもあります。
居間がそういう開口ばかりで、これ何かあったら脱出できない?と思ったものもあります。
段差の多い住宅もあります。
信じられないところに大きな段差があり、検査の時に落ちそうになったところもあります。
高齢になったら上り下りが大変な程度の段差で落ちたら怪我をしかねない段差です。
これは避けたほうが良い。
そして家事の動線が悪いものがあります。
また高齢になった時使いにくい住宅。
メーカーの設計者は若いし、家事をしない人も多いので家事の動線や高齢になった時の使い勝手を考えていない場合も多いです。
ご主人の力が強い場合、主婦の動線を無視しているのもあります。
やはり住宅の設計は主婦( 主夫の場合もありますけど )にとって動きやすい間取りであって貰いたい。
私が好きなのは、今の都市空間では難しいのですけど機械に頼らないで風通しが良く、眺めがよく外の空間と一体化できるような住宅です。
今は雨戸を100パーセント見ません、雨戸は半分閉めたりできるんですけど。
まあ、サッシの性能が良いので開けるか閉めるかのシャッターになったのでしょうけど。
浴室も現場で作る浴室は100パーセント見ません、ユニットバスです。
和室はほとんど見ません。
あっても床が畳と言うだけ、それも新しい仕組みの畳なのでイグサの香りはまずかぐことがありません。
和室らしさを演出する長押や廻り縁などは無くなり、壁や天井も石膏ボードにクロス。
京壁とか漆喰など左官屋さんの出番は絶滅しかかっています。
車も昔はそれぞれ特徴がありましたが今はどれも同じようなデザイン、住宅もそうなっています。
何だか面白くなくなったなと思うとともにまだ良い時代に設計事務所として仕事が出来て良かったなとも思います。