戦後、学習指導要領において部活動はどのような位置づけで現在に至ったかを考えてみます。
1947(昭和22)年 「自由研究」
・学年区別のない活動、学校の教師が指導すること。 → 生徒は自由参加
1951(昭和26)年 「特別教育活動」として正規の教育課程へ
・教科に重点を置きすぎるあまり特別教育活動が軽視されることのないように注意。
1958(昭和33)年 クラブ活動への全員参加の奨励
・生徒・児童の自発的な活動を通して、個性の伸長を図る。
1968(昭和43)年 小学校4年生以上のクラブ活動の必修化
・クラブ活動の教育的意義、教育効果が大きい。
・知育偏重の高校教育を是正し、教科外活動を充実する。
・クラブ活動が部活動へ。
1978(昭和53)年 高校の名称は「特別活動」へ
・個性の伸張に加えて、社会性や実践力を育むことを目標にする。
1989(平成元)年 部活動の参加をもって、教育課程内のクラブ活動の履修へ代替
1998(平成10)年 総合的な学習時間の新設
・クラブ活動の表記が消える。 → 必修としてのクラブ活動廃止
2008(平成20)年 「生きる力」を育む
・部活動の意義と留意点が総則のみに言及。 → 教育活動としての位置づけが曖昧に
2018(平成30)年 部活動の持続可能な運営体制を整える
・地域や社会教育団体との連携を図る
・スポーツ庁が「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定
→ 運動部活動の地域移行へ
教育活動における部活動は学習指導要領の改訂に伴い、その意義を大きく変遷させてきたことがわかります。
それに伴い、教師の役割も変化してきたわけです。
教育課程の中で部活動の意義は大きなものであったことから、部活動は自由参加から必修化されたのですが、教育現場は大変だったということがわかります。
もともと部活動は教員の献身的な努力によって成り立ってきたものであり、労働基準法が定める1日8時間労働の範囲でできるものではありません。
これからは地域や地元コミュニティが子どものスポーツを支える時代になり、部活動ではなく「総合型地域クラブ」としてスポーツに取り組むことが期待されています。
部活動にやりがいを感じて教員を目指す人もいるかと思いますが、今後は中学生や高校生とともに部活動に一生懸命取り組むという時代ではなくなったということです。
今後は部活動の経験をしたことのない人が増えていくことになるので、いずれ大学の運動部にも同じような措置が取られるときが来るのではないでしょうか。
旧校舎です。
竹村知洋