筋力トレーニングに取り組む場合、優先して鍛える部位があります。
下記は下腿部の筋肉を表した図ですが、AとBではどちらが大きな力を発揮できるでしょうか。
Aは大腿部が太く足首が細い足で、Bは大腿部から足首まで全体的に太い足です。
答えは、Aです。
全体的な筋肉量が同じでも、筋肉をつける部位により発揮される力は異なります。
競泳に限らずスポーツに共通しているのは、身体の中心部で生み出した力を末端に伝えるという点です。
そのため大きな力を生み出すには身体の中心部を鍛えて大きくする必要があります。
具体的に身体の中心部と言えば、体幹や臀部、大腿部、肩周辺の筋肉です。
これは速く走ったり泳いだりする動物を思い浮かべれば想像がつきやすいです。
例えば馬は腿の筋肉が大きく発達しており、すねや足首は細いです。
イルカは体幹が大きく発達しており、尾びれの付け根部分は細く引き締まっています。
これはホースで勢いよく水を出そうとするときに先端部分を指で細くすることと同じで、水の量が同じであっても先端部分の大きさによって出る勢いが変わります。
大きな力を発揮するためには体の中心部をできるだけ太くし、末端部分(手首や足首)は細い方がよいわけです。
体幹を鍛えず、前腕やふくらはぎばかりを鍛えるというやり方は誤っていると言えます。
私の予想だと最悪の鍛え方をしているのは「ポパイ」で末端ばかりが太いからです。
ホースでいうと出す水の量が少ないうえに出口を広くしているようなもので、ポパイはケンカをしても相当弱いはずです。
さらにヘビースモーカーのうえに、鉄分吸収の悪いほうれん草ばかり食べているという点でポパイはスポーツ選手の悪い見本といえます。
私が水泳のフォームを指導するときに特に強調しているのは、腰と小指です。
それは大きな力を発揮させるフォームをつくるためです。
優先して大きな力を発揮させる部位を鍛え、それができるフォームを作ることで速いスピードで泳ぐことができるようになります。
竹村知洋