人間は身体を動かすエネルギーである筋肉内のATP(アデノシン三リン酸)がなくなると3つのエンジンを使って再合成をしながら活動しています。
筋肉の活動が活発になると「乳酸」が蓄積し、筋肉内の水素イオンが増加することで酸性になります。
人間の身体が健康であるときの体液は弱アルカリ性です。
筋肉内が酸性になることでエネルギーの再合成の量が減り、筋肉の活動のレベルが低下します。
これが疲労です。
そこで疲労を防いで持久力を保つトレーニングをする必要があります。
疲労を防ぐトレーニングは2種類あります。
①筋力トレーニング
筋力トレーニングで筋肉を太くすることで、乳酸が蓄積しても水素イオンを分解する能力を上げて、筋肉が酸性になることを防ぐことができます。
特に「速筋繊維」を肥大させることが必要です。
速筋を使うトレーニングはウェイトトレーニングでいうと、「下げる動作」を重視することです。
持久力を保つためには筋肉を太くする必要があります。
②有酸素トレーニング
乳酸は疲労の原因であり悪いものととらえられがちですが、実はエネルギーとして再利用することができます。
そのために必要なのが有酸素トレーニングです。
有酸素能力を鍛えることで乳酸をエネルギーとして再利用する能力を高めることができます。
有酸素能力は心肺機能によるものであるため、呼吸循環系能力を向上させる必要があります。
具体的な有酸素トレーニングの内容は別の項目で解説します。
筋肉を太くしたうえで有酸素能力を高めるというのは矛盾しているように見えるかもしれません。
これもよくある誤解で、筋肉を太くすると持久力が落ちる、というものがあります。
ボディビルダーにように極端な例はともかく、私が今まで学び経験してきたことで考えると、一般的な競泳選手であればウェートトレーニングで筋肉を太くしたことによって持久力が落ちるということはありません。
もし持久力に悪影響が出ているとしたら、単に有酸素トレーニングが足りないだけなのではないかと思います。
たいていウェイトトレーニングが好きな選手は有酸素トレーニングが苦手なことが多く、その逆もよくあります。
競泳選手として優れた筋肉の色は「ピンク色」ですから、大切なのは筋力と有酸素能力のバランスが取れた練習に取り組むことだと考えています。
竹村知洋