コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

ヘルメス迷走 part13

2013年10月29日 | ゲームブック
今回で一応、エンディングですが…。

199:
─ナオミを見捨ててはいけない─
キミは自分に言い聞かせた。
しかし、状況は絶望的である。前後を塞がれ、ナオミは捕らえられて
いる。キミの手にあるカードは…
─パンドラだ─
キミは思わず声を上げて笑ってしまった。
「何が可笑しい!」
ナオミを捕らえた男が怒鳴る。
「行政委員会がどうして高い金を出してオレを買うのか、その訳をア
ンタ知っているかい?」
「何?」
男が面食らったような声を上げた。
「教えてやる。これだよ」
キミはポケットからパンドラのついたネックレスを取り出し、高く掲
げた。
「このカプセルの中にはアクシズの人間なら涎を垂らして欲しがる、
ちょっとしたシロモノが入っている。行政委員会はこれを使い、アク
シズとの交渉を有利にしたいんだ」
「何が言いたい?」
静かな声が響いた。ナオミを捕まえた男が後ろを振り向き、愛想笑い
をしたところを見ると、背後の暗がりに誰かいるのだろう。
「誰だ?」
「一応、T・Tの頭目ということになっている。続けたまえ、何が言い
たい?」
「判らないのか?アンタも欲がないな。オレを捕まえて行政委員会に
引き渡す、それで終りにするつもりじゃないだろうな。このカプセル
さえ手に入れば、行政委員会やアクシズとだって対等に張り合える。
ナオミを返してくれ。そうしたら黙ってカプセルを渡してやる」
「信じられるかよ」
誰かが呟いた。頭目が口を開く。
「今の我々には、キミからそれを奪うこともできるんだがね」
「やってみなよ」
キミは凄味のある笑みを浮かべた。血糊のついたナイフを抜く。
「カプセルを握り潰し、ついでにアンタら5、6人を道連れにして死ん
でやるさ」
これはハッタリだった。カプセルはあらゆる状況から中のフィルムを
守るようにできている。スーパーマンだって素手でこれを壊すことは
不可能だ。
「解体しちまったグループの頭目─それもひとりじゃ何もできないよ
うな娘のために、それだけの危険を冒してみるかい?」
暫くの間、周囲を沈黙が支配した。
「ナオミを放してやれ」
「頭目!」
「放してやれと言っている」
男が渋々手を放すと、ナオミはキミに駆け寄った。
「そう言うことだ」
君はクルリと振り向き、路地を塞いでいる男の肩に手をかけた。
「退きな。これが通行証だ」
男の胸のポケットにネックレスを押し込み、キミはナオミの肩を抱い
て歩き出す。追おうとした数人が頭目に一喝されるのが聞こえた。
「アレ、大事なモノだったんじゃないの?」
暫く歩いた時、ナオミに尋ねられ、キミは苦笑した。
「オレに取っちゃどーでも良いようなモンだったのさ」
ナオミが立ち止まった。キミを見上げる。
「リエは、どうしたの?」
ナオミの目は、答えを知っている目だった。それでも尚、確かめずに
はいられないのだ。
「─死んだよ」
スウッとナオミの目が閉じられる。倒れかかるようにキミの胸に顔を
埋めた。
─リエ…ナオミはオレに任せろ。お前よりは頼りになると思うぜ─
静かな夜の街路に立ち、キミは呟いた…。

ちうワケで、任務から開放されてエンドでございます。
次回はもうひとつのルートナオミたちと別れる方を辿ります。
ので、次回は050から079へ進みます。
コメント
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