東北に仕事に行っていた友人から贈り物が届いた。
大迫力の志津川蛸の足一本である。
その友人曰く「三陸の蛸はアワビ喰ってるからアワビの味がするんだよ」
え!マジかよ
と疑いつつも刺身とマリネをこさえた。
さてそのお味は?
丁寧に茹でられた為だろうか、弾力がありながらも柔らかいその身、ジュワッとあふれ出る肉汁は甘くコク深い。
アワビの味とか言われてもアワビなんてここのところ食ってないから忘れてしまったが、絶品の蛸である事は間違いない。
普段モーリタニア産の蛸ばかりをゴリゴリ食べているから志津川蛸のうまさが身に染みる。
震災の2年後志津川を訪れた。
多くの死者を出した志津川病院と、鉄骨しか残っていない防災庁舎以外には何にもなくて、復興工事のため頻繁に行き交うダンプカーでやたら埃っぽかった。
ここにはかつて街があって人々の暮らしがあったなんて想像も出来ない荒涼たる被災地。
今あの志津川はどうなっているんだろう?
そんな事をふと思いながら蛸をかみしめた。