ASKA新曲を無断公表した井上公造氏、著作権法違反で懲役5年以下も…『ミヤネ屋』も
28日、警視庁は覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで、ASKA(本名:宮崎重明)容疑者を逮捕した。ASKA容疑者は2014年、同法違反などの罪で懲役3年、執行猶予4年の判決を受け、執行猶予中の身だった。
そのASKA容疑者と昨年12月以降、しばしば個人的に連絡を取り合っていたという芸能レポーターの井上公造氏は、28日放送のテレビ番組『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)に出演し、昨年12月にASKA容疑者から送付されたという未発表の楽曲を公開。同番組は「独占入手 ASKA元被告 “新曲”」というテロップと共に放送した。
この井上氏の行動についてASKA容疑者は、放送後に受けた同番組の取材において、「公造さん、曲を流しちゃダメだって」と抗議。プロのミュージシャンであるASKA容疑者が作曲した未発表曲を、本人に無断で公開した井上氏の行為に対し、批判の声も上がっている。
ASKA容疑者は自身のブログ上で、近日中に動画共有サイト「YouTube」上で新作楽曲(アルバム)を発表する予定であることを明かしており、そこに今回井上氏によって公開された楽曲も含まれることが推察されるが、今回の井上氏、および『ミヤネ屋』の行為は、法的に問題があるのであろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏に解説してもらった。
著作権を侵害
私もこの放映を録画で拝見しましたが、MCの宮根誠司さんの“したり顔”を見ながら、テレビもずいぶん思い上がったことをするなと感じました。
番組では、芸能レポーターの井上公造氏がASKA氏から提供されたという新曲を流していましたが、これは著作権という権利の“束”の一つである「公表権」という権利を侵害する違法行為となる可能性があります。
実は、著作権とは、楽曲をCD化してお金にしたり、みんなの前で演奏してお金をとったりする「財産権」としての権利のほかに、自分の楽曲を勝手に改変されないようにしたり、自分の楽曲に「自分の作品である」ことを明示したりする「人格権」としての権利があるのですが、今回の井上氏の行動は、「人格権」の一つである「公表権」を侵害することになります。
この「公表権」とは、まだ公表されていない楽曲のような著作物を世間に公表する時期や方法を独占する権利、いい換えれば第三者に勝手に公表されない権利をいいます。
今回、「ASKA氏から提供されたという新曲」が未発表のものであるならば、井上氏が『ミヤネ屋』でその楽曲を公表してしまうと、ASKA氏が「この時期に、こういう方法で発表する」という権利を侵害するわけです(前科者であろうと、逮捕される者であろうと関係ありません)。
ところで、その場合の『ミヤネ屋』や同番組を制作している読売テレビの責任ですが、“事前の台本”ではなく、生放送ということで突然、井上氏がこの楽曲を流してしまった、というのであれば、故意や過失がないものとして不問とされるでしょう。もっとも、事前に井上氏と打ち合わせて楽曲を流すような台本となっているのであれば、責任は井上氏と同じです。
なお、可能性は低いですが、刑事罰としては、「公表権」を侵害した者に対しては、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれらを併科される場合もあります(著作権法119条2項1号)。もっとも、現時点では、親告罪といってASKA氏の告訴がなければ始まりません。
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芸能レポーターもあまりに自分主義になりすぎてきているのでは・・・・・