「太陽が消えた…」バヌアツ火山島 噴煙で視界ゼロ 残る島民にも避難命令
火山活動が再び活発化を続けるバヌアツのアオーバ島では25日、島上空をすっぽり覆った黒い噴煙によって視界がゼロとなり、これまで比較的被害の程度が低かった東部ですら安全が確保できないとして、防災当局は362世帯約1000人が暮らす集落に対し、強制的に避難するよう指示を出した。
アオーバ島では噴火活動が激化した昨年10月、約1万1000人の島民が近隣の島々に緊急避難しているが、噴火回数が減った昨年末からは、一部の島民が帰還。しかし、今年3月末から4月にかけて再び活発化し、あいつぐ爆発によって、地球上で過去3年間に起きたどの火山噴火よりも多くの二酸化硫黄が大気中に放出。酸性雨によって耕作地は荒れ果て、地下水は汚染され、主要産業である農業を続けるのは絶望的だ。
25日の爆発的噴火では、火山灰を含んだ黒い噴煙が完全に島上空を覆ったため、太陽の光が地上に届かず、昼間でも自動車のヘッドライトをつけなければならないほどだった。米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星がとらえた画像を見ると、島中央のマナロ・ヴォイ火山から噴出した火山灰が、島の東半分から隣のマエウォ島、ペンテコスト島まで運ばれているのがよくわかる。
地元メディアによると、火山活動が始まって以来、島の東側は降灰が比較的少なかったため、島民が残っていたが、もはや安全は保証できないとして、災害当局が警戒レベルを引き上げ、立入禁止エリアを火山の半径2キロ範囲から3キロに拡大。この決定に伴って362世代約1000人が住む集落に対して、強制的に島外脱出するよう指示を出した。